16 / 229
第3章 旅立ち
第16話 帝都でお買い物
しおりを挟む
翌朝
起床後、身支度を整え1階で手持ちの草の皮を向いて葉肉を出す作業をしていると、玄関をノックする音が聞こえた。
誰だろうか?
帝都に居る知り合いは、ボッシュしかいないから、ボッシュだろうと思い玄関を開けた。
「は~い」
玄関を開けるとそこには、すらっとして綺麗どころのエルフの女性が居た。
「えっと……」
「ラミナさん、はじめまして、ボッシュの妻のガーネットと申します」
『ほんまやで』
本当に?
と思う前にミントが教えてくれた。
「あっ、はいラミナですよろしくお願いします……、それで何の用でしょうか……」
「旦那から、あなたの洋服を見てやってくれって頼まれてね、よかったら、一緒に買い物行きません?」
葉肉を出したら乾燥過程があるから、乾燥させてから行こうと思っていたが。
「えっと、薬を作っているので少し待ってもらってもいいですか?」
「構いませんよ、何の薬を作っているんですか?」
「顔や体を洗うときに使う洗料を作っているんです」
「石鹸でしたら、商会に置いていますよ?」
「あれ?そうなんですか?」
「えぇ、1階に置いてあるはずですよ」
先日商会の雑貨を一通り見たつもりだったが気づかなかった。
『あれはあかん、肌がパサパサになんで』
身体や顔を洗う洗料は村に居た時から作っていたからか、肌がパサパサになる洗料と言うのが想像つかなかった。
「そうなんですね、でも精霊さんが、肌がパサパサになるって言っているので……」
「そうですけど、パサパサにならない洗料を作るんですか?」
「そのつもりです」
「そぅ……」
予定していた葉の皮を向き、葉肉同士をひもで結び吊るした。
「その葉は、エロアの葉ですよね?」
「そうです、ラベ・エロアの葉ですよ」
「食べると肌に良いと聞きますが、洗料になるんですか?」
「なりますよ、石鹸みたいに固形ではなく、液体洗料ですけどね。それに花とかの香料を入れるといい香りがするんですよ」
「そうなんですか、先ほどラミナさんからいい匂いがしたのですが……」
「村で取れる。ルマーンツバキって花の香料を混ぜた洗料を使ってるからだと思います」
「そう、もし今作っているのができたら、少し分けてくださいます?」
「良いですよ~、ちょっと準備してきます~」
2階のリビングに置きっぱなしのカバンを取り1階に戻った。
「お待たせしました」
「行きましょうか」
「はい」
家を出てガーネットの後について行こうとすると。
「鍵を掛けましたか?」
「あっ」
村ではそんな習慣が無かった為か鍵をかける習慣が無かった。
慌てて鍵をカバンから取り出し、鍵をかけた。
「習慣をつけてくださいね」
「はい」
『今度から、鍵かけ忘れてったら言うわ』
「うん、お願い」
本当にこういう時は頼もしい存在だ。
「すいません、鍵かけました」
「いきましょうか」
ガーネットの後について行くと、商会本部の横の建物に入った。
すると、そこは、女性物の小物や衣類等がたくさん並んでいて、村から出てきた私にとってはなんだか場違いな気がした。
「なんか綺麗な場所ですね」
「ここは、女性の物を専門に取り扱っている私のお店なんですよ」
「へぇ~」
ミントとアクアも興味があるのか店内を飛び回っていた。
「こっちにいらっしゃいな」
ガーネットの側に行くと、私が着られるサイズの服が並んでいた。
「ん~、どれがいいでしょうかね」
ガーネットは、並んでいる服を取っては、私の前に当て、次の服を取っては当てを繰り返していた。
個人的に、2着ほど気になった物があった。
「ん~、私としては、これとこれとこれが、ラミナさんに似合っていると思うのだけど」
そういうと、私が気になっていた2着の服と、もう1着の服を手渡された。
「奥に試着室があるから、試着してちょうだい」
1着着ては、ガーネットに見せるを3度繰り返した。
個人的に、3着全部買ってもいいな、なんて思った。
「私としてはその3着は良いと思うのだけど、ラミナさんはどうかしら?」
「私もこの3着が良いと思います」
「そう、ならその3着を差し上げますよ」
聞き間違えた?
「ぇ?」
「代わりと言っては何ですが、あなたが今作っている洗料が出来たら少し分けてくれません?」
どう考えても、こちらが貰いすぎな気がした。
「分けるのは構わないんですが、いいんですか?」
「えぇ」
本人が良いというなら貰っておこう、その分渡す洗料を多めにすればいいかな?
「ありがとうございます」
頭を下げた。
『なぁなぁ、ラミナ』
「ん?」
『これ買わへん?』
ミントとアクアが2人いっしょに同じところに居た。
「どうしたんです?」
「いえ、精霊さんが……」
ミントとアクアの居る所に行くと、小さな小瓶に何か液体が入っていた。
「ガーネットさん、これは何ですか?」
「香水ですよ」
精霊であるミントがなぜ香水を?
『これな、この辺りじゃ手に入らん香料やねん』
ミントはそう言うと、1本の小瓶の上に立った。
ミントが立った、1本の小瓶を手に取った。
「これって何の香水なんですか?」
「あら、まだ残っていたんですね、それは海峡を挟んで東にミネユニロントって国があるんですが、その国の中央にある湖に咲く花の香水なんですよ。花自体が珍しくなかなか手に入らないんですよ」
『せやろなぁ~、ファントムフラワーやもん』
「珍しいの?」
『8月の中旬に花が咲くんやけど、その湖でしか咲かんのや』
何か特殊な条件でもあるのだろうか?
「ん?どうしたんですか?」
念話じゃなく口に出していたことに気づいた。
「あっ、精霊さんがファントムフラワーって教えてくれたんで……」
「なるほど、ラミナさんは植物の精霊と契約しているんです?」
「そうです。植物と水の精霊と契約しています」
「そうでしたか、その香水持っていきますか?」
「ぇ?」
「欲しいのであれば差し上げますよ、その代わりに……」
なんとなく何を言われるかが想像できた。
「洗料ですね」
「えぇ」
『ええんちゃう?この香水から結構な香料とれるねんな?』
『そうですね、その小瓶の半分位の香料は取れますよ』
貰ってもいいのかな?
完成した洗料と交換と思えばいいのかな?
「んじゃ、貰いますね」
「えぇ、他に何か必要なものはあります?」
「ん~大丈夫です。あっ、薬草とか売っている場所を教えてくれると……」
「それじゃあ、一緒に行きましょうか」
「おねがいします」
その後、ガーネットと一緒に帝都内の薬草を置いている店や、色々なお店を回ったりして1日を過ごした。
夕方になり、色々な物を買って自宅まで戻って来た。
「今日は色々とありがとうございました!」
ボッシュやイアンとは出来ない話が色々出来て楽しかった。
「いえいえ、私も娘が出来たようで楽しかったし、また一緒に買い物をしましょ」
「はい、お願いします!ところでお子さんはいらっしゃらないんですか?」
「なかなか出来ないのよ」
『エルフは長寿種やからねぇ』
『そうですね、子どもができにくいのは種族故ですね』
『何とかしてあげられない?』
『そうですね、色々頂きましたし、お礼をしましょうか、ラミナ、彼女に背を向けてもらうように言ってもらっていいですか?』
「あの」
「ん?」
「ガーネットさん、少し後ろ向いてもらっていいです?」
ガーネットの頭の上に“???”が浮いているのがわかったが、何も言わずに背を見せてくれた。
『彼女の腰に手を当ててください』
「ちょっと失礼しますね」
「えぇ?何をするの?」
「水の精霊さんが、今日色々頂いたお礼だって」
『そのままでいてくださいね』
そういうと、自分の腕付近にアクアが停まり何かし始めた。
何をしているんだろう?
『子どもができやすい身体にしてるんや』
『あ、そうなんだ』
『これですぐ妊娠すると思いますよ』
「これで大丈夫みたいです」
「ラミナさんの手のひらから何か流れ込んできている感覚がありましたけど、何をしたんですか?」
「子どもができやすい身体にしたみたいです」
「ぇ!?ほんとに!?ありがとう!精霊の加護を貰えるとは思わなかった!」
興奮気味のガーネットを見て、精霊の加護って?
「精霊の加護……?」
「えぇ、精霊に力を貰う事を精霊の加護と呼ぶんですよ」
「へぇ……、そうなんだ」
「えぇ!それじゃあ私は帰るね!」
ガーネットはそう言うと嬉しそうに去っていった。
玄関を締めようとすると。
「ちょっと待って、伝え忘れたことが」
気づけばガーネットが戻ってきていた。
「なんですか?」
「明日は1日風が強いので外出するなら気を付けてくださいね」
「ぇ?」
「明日は毎年異様なくらい強い風が吹く日なんです」
「そうなんだ、わかりました」
「えぇ、それじゃあ」
そう言うと再びガーネットが去っていった。
『そっか、もうそないな時期なんやね』
『そうですね……』
なぜか、ミントとアクアの雰囲気が暗かった。
起床後、身支度を整え1階で手持ちの草の皮を向いて葉肉を出す作業をしていると、玄関をノックする音が聞こえた。
誰だろうか?
帝都に居る知り合いは、ボッシュしかいないから、ボッシュだろうと思い玄関を開けた。
「は~い」
玄関を開けるとそこには、すらっとして綺麗どころのエルフの女性が居た。
「えっと……」
「ラミナさん、はじめまして、ボッシュの妻のガーネットと申します」
『ほんまやで』
本当に?
と思う前にミントが教えてくれた。
「あっ、はいラミナですよろしくお願いします……、それで何の用でしょうか……」
「旦那から、あなたの洋服を見てやってくれって頼まれてね、よかったら、一緒に買い物行きません?」
葉肉を出したら乾燥過程があるから、乾燥させてから行こうと思っていたが。
「えっと、薬を作っているので少し待ってもらってもいいですか?」
「構いませんよ、何の薬を作っているんですか?」
「顔や体を洗うときに使う洗料を作っているんです」
「石鹸でしたら、商会に置いていますよ?」
「あれ?そうなんですか?」
「えぇ、1階に置いてあるはずですよ」
先日商会の雑貨を一通り見たつもりだったが気づかなかった。
『あれはあかん、肌がパサパサになんで』
身体や顔を洗う洗料は村に居た時から作っていたからか、肌がパサパサになる洗料と言うのが想像つかなかった。
「そうなんですね、でも精霊さんが、肌がパサパサになるって言っているので……」
「そうですけど、パサパサにならない洗料を作るんですか?」
「そのつもりです」
「そぅ……」
予定していた葉の皮を向き、葉肉同士をひもで結び吊るした。
「その葉は、エロアの葉ですよね?」
「そうです、ラベ・エロアの葉ですよ」
「食べると肌に良いと聞きますが、洗料になるんですか?」
「なりますよ、石鹸みたいに固形ではなく、液体洗料ですけどね。それに花とかの香料を入れるといい香りがするんですよ」
「そうなんですか、先ほどラミナさんからいい匂いがしたのですが……」
「村で取れる。ルマーンツバキって花の香料を混ぜた洗料を使ってるからだと思います」
「そう、もし今作っているのができたら、少し分けてくださいます?」
「良いですよ~、ちょっと準備してきます~」
2階のリビングに置きっぱなしのカバンを取り1階に戻った。
「お待たせしました」
「行きましょうか」
「はい」
家を出てガーネットの後について行こうとすると。
「鍵を掛けましたか?」
「あっ」
村ではそんな習慣が無かった為か鍵をかける習慣が無かった。
慌てて鍵をカバンから取り出し、鍵をかけた。
「習慣をつけてくださいね」
「はい」
『今度から、鍵かけ忘れてったら言うわ』
「うん、お願い」
本当にこういう時は頼もしい存在だ。
「すいません、鍵かけました」
「いきましょうか」
ガーネットの後について行くと、商会本部の横の建物に入った。
すると、そこは、女性物の小物や衣類等がたくさん並んでいて、村から出てきた私にとってはなんだか場違いな気がした。
「なんか綺麗な場所ですね」
「ここは、女性の物を専門に取り扱っている私のお店なんですよ」
「へぇ~」
ミントとアクアも興味があるのか店内を飛び回っていた。
「こっちにいらっしゃいな」
ガーネットの側に行くと、私が着られるサイズの服が並んでいた。
「ん~、どれがいいでしょうかね」
ガーネットは、並んでいる服を取っては、私の前に当て、次の服を取っては当てを繰り返していた。
個人的に、2着ほど気になった物があった。
「ん~、私としては、これとこれとこれが、ラミナさんに似合っていると思うのだけど」
そういうと、私が気になっていた2着の服と、もう1着の服を手渡された。
「奥に試着室があるから、試着してちょうだい」
1着着ては、ガーネットに見せるを3度繰り返した。
個人的に、3着全部買ってもいいな、なんて思った。
「私としてはその3着は良いと思うのだけど、ラミナさんはどうかしら?」
「私もこの3着が良いと思います」
「そう、ならその3着を差し上げますよ」
聞き間違えた?
「ぇ?」
「代わりと言っては何ですが、あなたが今作っている洗料が出来たら少し分けてくれません?」
どう考えても、こちらが貰いすぎな気がした。
「分けるのは構わないんですが、いいんですか?」
「えぇ」
本人が良いというなら貰っておこう、その分渡す洗料を多めにすればいいかな?
「ありがとうございます」
頭を下げた。
『なぁなぁ、ラミナ』
「ん?」
『これ買わへん?』
ミントとアクアが2人いっしょに同じところに居た。
「どうしたんです?」
「いえ、精霊さんが……」
ミントとアクアの居る所に行くと、小さな小瓶に何か液体が入っていた。
「ガーネットさん、これは何ですか?」
「香水ですよ」
精霊であるミントがなぜ香水を?
『これな、この辺りじゃ手に入らん香料やねん』
ミントはそう言うと、1本の小瓶の上に立った。
ミントが立った、1本の小瓶を手に取った。
「これって何の香水なんですか?」
「あら、まだ残っていたんですね、それは海峡を挟んで東にミネユニロントって国があるんですが、その国の中央にある湖に咲く花の香水なんですよ。花自体が珍しくなかなか手に入らないんですよ」
『せやろなぁ~、ファントムフラワーやもん』
「珍しいの?」
『8月の中旬に花が咲くんやけど、その湖でしか咲かんのや』
何か特殊な条件でもあるのだろうか?
「ん?どうしたんですか?」
念話じゃなく口に出していたことに気づいた。
「あっ、精霊さんがファントムフラワーって教えてくれたんで……」
「なるほど、ラミナさんは植物の精霊と契約しているんです?」
「そうです。植物と水の精霊と契約しています」
「そうでしたか、その香水持っていきますか?」
「ぇ?」
「欲しいのであれば差し上げますよ、その代わりに……」
なんとなく何を言われるかが想像できた。
「洗料ですね」
「えぇ」
『ええんちゃう?この香水から結構な香料とれるねんな?』
『そうですね、その小瓶の半分位の香料は取れますよ』
貰ってもいいのかな?
完成した洗料と交換と思えばいいのかな?
「んじゃ、貰いますね」
「えぇ、他に何か必要なものはあります?」
「ん~大丈夫です。あっ、薬草とか売っている場所を教えてくれると……」
「それじゃあ、一緒に行きましょうか」
「おねがいします」
その後、ガーネットと一緒に帝都内の薬草を置いている店や、色々なお店を回ったりして1日を過ごした。
夕方になり、色々な物を買って自宅まで戻って来た。
「今日は色々とありがとうございました!」
ボッシュやイアンとは出来ない話が色々出来て楽しかった。
「いえいえ、私も娘が出来たようで楽しかったし、また一緒に買い物をしましょ」
「はい、お願いします!ところでお子さんはいらっしゃらないんですか?」
「なかなか出来ないのよ」
『エルフは長寿種やからねぇ』
『そうですね、子どもができにくいのは種族故ですね』
『何とかしてあげられない?』
『そうですね、色々頂きましたし、お礼をしましょうか、ラミナ、彼女に背を向けてもらうように言ってもらっていいですか?』
「あの」
「ん?」
「ガーネットさん、少し後ろ向いてもらっていいです?」
ガーネットの頭の上に“???”が浮いているのがわかったが、何も言わずに背を見せてくれた。
『彼女の腰に手を当ててください』
「ちょっと失礼しますね」
「えぇ?何をするの?」
「水の精霊さんが、今日色々頂いたお礼だって」
『そのままでいてくださいね』
そういうと、自分の腕付近にアクアが停まり何かし始めた。
何をしているんだろう?
『子どもができやすい身体にしてるんや』
『あ、そうなんだ』
『これですぐ妊娠すると思いますよ』
「これで大丈夫みたいです」
「ラミナさんの手のひらから何か流れ込んできている感覚がありましたけど、何をしたんですか?」
「子どもができやすい身体にしたみたいです」
「ぇ!?ほんとに!?ありがとう!精霊の加護を貰えるとは思わなかった!」
興奮気味のガーネットを見て、精霊の加護って?
「精霊の加護……?」
「えぇ、精霊に力を貰う事を精霊の加護と呼ぶんですよ」
「へぇ……、そうなんだ」
「えぇ!それじゃあ私は帰るね!」
ガーネットはそう言うと嬉しそうに去っていった。
玄関を締めようとすると。
「ちょっと待って、伝え忘れたことが」
気づけばガーネットが戻ってきていた。
「なんですか?」
「明日は1日風が強いので外出するなら気を付けてくださいね」
「ぇ?」
「明日は毎年異様なくらい強い風が吹く日なんです」
「そうなんだ、わかりました」
「えぇ、それじゃあ」
そう言うと再びガーネットが去っていった。
『そっか、もうそないな時期なんやね』
『そうですね……』
なぜか、ミントとアクアの雰囲気が暗かった。
174
お気に入りに追加
686
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」
まほりろ
恋愛
十八歳の私は異母妹に婚約者を奪われ、父と継母に毒殺された。
気がついたら十歳まで時間が巻き戻っていて、母の葬儀の最中だった。
私に毒を飲ませた父と継母が、虫の息の私の耳元で得意げに母を毒殺した経緯を話していたことを思い出した。
母の葬儀が終われば私は屋敷に幽閉され、外部との連絡手段を失ってしまう。
父を断罪できるチャンスは今しかない。
「お父様は悪くないの!
お父様は愛する人と一緒になりたかっただけなの!
だからお父様はお母様に毒をもったの!
お願いお父様を捕まえないで!」
私は声の限りに叫んでいた。
心の奥にほんの少し芽生えた父への殺意とともに。
※他サイトにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※タイトル変更しました。
旧タイトル「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる