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願いを叶える薬

第64話 結界魔法の応用

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 皆を起こし戦える者達がユキたちが戦っている場に駆け付け参戦した。

 さて、自分はどうするか……、理屈が正しければ浄化で狼を殺せるはずだが、と思っていると。

「キュィッキューーーーーーーーーー」

 戦いながらユキが何か訴えている。何を訴えている?

「キュィッキューーーーーーーーーー」

 同じように鳴いている辺り何かを訴えている。何をだ……?

『はぁ、彼女は結界魔法を使ってって君に向かって叫んでるんだよ』

 あぁ、結界魔法とかもう久しく使ってない事に気づいた。道理でミグニーの森で魔物に襲われたりしたわけだ、急ぎ結界魔法を使おうとすると。

『ちょっとまって、せっかくだからいいことを教えてあげるよ』

 ん?だれ?頭に響いてくるような声だ、声の主を探すも自分の周囲に声の主らしき人は見当たらない。

『ボクの姿は見えないよ、ライって人が言ってたろ君に声かけたのはユキって子が必死に訴えているのに気づかないから、仕方なく声かけただけなんだから』

 あぁ最初からそばに居た水の精霊ってやつか……。

『そう、んじゃ教えた通りにやってみて、地面に手を付けて魔素を流し込む、ドライアドの木にやったようにやればいいよ』

 精霊に言われた通り地面に手を付けて体内の魔素を流し込んでみる。

『そのまま、イメージは敵とその攻撃を通さない結界を張るつもりで魔法を発動させるんだ』

 イメージは敵とその攻撃を通さない絶対防御をイメージし。

「結界!」

 すると地面につけている自分の手元から白い魔法陣の様なものが広がり始めた。

『いいねぇ広さ大きさは調整できるからね試しに一番前で戦っている子の近くまで広げてみると良いよ』

 地面から白いオーロラの様な物が立ち上がっている。それを前で戦っているユキや最初に反応した男の元まで広げた。

「うぉってこいつは……」
「キュィッ!」

 ユキと男は少し驚いている様子だった。そして後方にいる子どもからは。

「わぁ、きれい~」

 なんて無邪気な声も聞こえた。

『そう、それでいい、君は光弾や浄化の応用を使っているのに結界魔法だけは全然だよね。結界魔法も応用できるからいろいろ試してみるといいよ。んじゃまたね』

 それだけ言うと声が聞こえなくなった。

 光弾はライトボールの事か?浄化の応用は特定の菌を浄化させるという事だろうか?となると結界魔法を逆に使えば封印魔法になるのか?

 対象を中に閉じ込め大きさ調整出来るって事は……、粒子レベルまで圧縮できるとしたら?

 結界魔法で相手を圧殺で倒せるような気がした。

 改めてユキたち戦ってる人たちの元に行くと結界の中から攻撃するか、ユキのようにヒットアンドウェイと行った感じで結界の外に飛び出し攻撃して結界の中へ戻るみたいな戦いをしている人もいた。

 弓矢や投擲武器なんてないし、ここは今教わったばかりの応用をやってみるか?

 結界の中から手だけ結界の外の地面につけ魔素を流し込んでイメージは先ほどと同じイメージで“結界”と唱えた。

 すると元々張っていた結界が消失し、新たな結界が手元から発動した。

「おい!何してる!」
「すいません、まさか元の結界が消失するとは思わなくて、ちょっとだけ時間稼いでください」

 このまま狼達の居る所まで一気に広げてみると、結界の障壁に押し出されるように狼達が後退していった。

 これダメじゃん?ただの結界じゃん?

 封印魔法みたいな形で圧殺とかできそうなんだけどな……。これもいろいろ工夫したりしなきゃダメか。入る事は出来ても出ることはできないこれにすればよかったかな?結界の意味がなさなくなるか。

 その後は、自分も落ちている石を結界の中からの攻撃を繰り返し狼を殲滅させた。

「追い払えたな、13匹中全討伐かAランクの相手に死者無は十分だな」
「Aランク何ですか?」
「あぁあいつらはマンイーターとも呼ばれるブラックウルフなんだが、単体ならBランクだが群れを成した時点でAランク扱いなんだよ、ってかお前、聖女と同じ結界がつかえるのか」
「聖女と同じ?」
「あぁ、その様子じゃ教会の人間じゃないのな」
「そうですね」

 教会から逃げてるというのは言わないほうが良いだろう、そんな感じがした。

「そうか、そっちの2人の手当てしようか」
「あぁ、それは自分がやりますよ、そっちが本業なんで」
「そうか、じゃあ頼む、終わったら寝てくれ次の見張りは俺だからな」
「了解です」

 その後怪我している2人の元にいった。

「大丈夫ですか?」
「あぁ大丈夫だ」
「怪我した場所見せてもらっても?」
「あぁ、右腕を引っ掻かれただけだから気にすんな、あっちも似たようなもんだ」
「いやいや、狼の中には人間にとって死ぬ毒を持っている者もいるので」
「まじで!?じゃあ頼む」

 触診スキルを使い、狂犬病ウィルスや他の病原菌に感染していないかチェックし、持ち込んだ傷薬を塗って対処終わり、もう1人も同様の対応をして済ませた。

「ありがとな、あんたの薬は止血だけじゃなく綺麗に傷口をなおすのな」
「まぁそうですね」
「んじゃ俺らは戻るわ、あんたの相棒が構ってほしそうにしてるぞ」
「ん?」

 2人の男は立ち上がり、見張りの男と一緒に討伐した狼の処理をし焚き火のある場所に戻っていった。後ろを振り向こうとした瞬間背中をグリグリしてくる感触があった。

 後ろを振り向きユキを抱き上げた。

「ユキおつかれさま」
「キュィ~♪」
「ユキは怪我はないね、大丈夫?」
「キュッキュ!」
「そっか、んじゃ頑張った御褒美あげないとね」
「キュィ~♪」

 尻尾をばたばた振っているのを見てやっぱり狐もイヌ科だよななんて思いながら、自分らが寝るスペースに戻り、ビーフジャーキーを5枚ユキにあげた。

 ユキは嬉しそうにカジカジタイムに入っていた。

 自分も寝る前に結界を張っておこう。

 地面に手を付けたんまりと体内魔素を流しながら、敵の侵入を許さない結界をイメージし結界を発動させた。

 あとはどれだけ持つかだけど、まぁ朝までは持ってくれることを祈りながら目を閉じた。
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