56 / 91
願いを叶える薬
第56話 枯れたドライアドの木
しおりを挟む
シーサーペント騒動から数日後ようやくオリビの町に到着した。
町の周囲は高い木々に囲まれた石造りの家が目立つ街だった。
積み荷はアイテムボックスの中なのか全員が降りるとリオスさんが使っていた船をアイテムボックスにしまっていた。
「しばらくはこの街の宿に居てくれ、既に父がこっちに向かっているらしいから、そう遠くないうちに会えるだろうよ」
「すいません、いろいろありがとうございます」
「いいよ、いいよ、こちらも君から売れ残りの品と交換で様々な香辛料分けてもらったからね、こちらも感謝しているよ、それじゃあ我々はいくよ」
「はい、ありがとうございました」
「誠明、ユキちゃんまたね」
リオスさんやロアナ姉妹そして他のハイエルフの人たちはオリビの町について直ぐに街を出ていった。
あ、ドライアドの木どれだか聞き忘れたな……。ロアナさんのお爺さんが来たら聞いてみればいいか。
とりあえずまだ日が高いので、少し森の中を探索することにした。
オリビの町をでて、ユキを自由に走り回らせつつ、後について行った。
前を走るユキは街道から外れ真っすぐにどこかを目指しているような感じで道なき道を走る。自分はユキを見失わない様について行くのがやっとだった。
どれだけ走ったか不明だが、崖下に海が見える高台にたどり着いた。
「キュィ~ッキュ~」
「ん?」
高台にたどり着くと今度は、ユキが高台のあちらこちらをくるくる回るように走って何かを訴えているように見えた。
「どうした?」
「キュ~ッキュ~キュィ」
言ってることが分からないが、何か訴えているのは行動を見ていてわかる。ユキがくるくる回っていた所や何か訴えているような仕草を見せた場所に行くと何を訴えているのかがなんとなくわかった。
その高台には、見た感じ雑草や落ち葉や枯れ木等で分りにくいが平らに整地された土地がいくつか並んでいたり、井戸があったり、大木の幹に大きな穴が開いていておとな2~3人が住めるようなスペースがあった。それに崖から海を見渡すと、オリビの町と思しき町が見えた。
「もしかして、昔のハイエルフ達の居住跡地か?」
「キュィ~」
自分の言葉にユキが相槌をうつような鳴き方をした後今度はまた森の中に入って行った。
森の中に入ってすぐに、枯れた大木が目に入った。
周囲の木々はまだ緑の葉を沢山つけているのにもかかわらず、その大木だけは葉を1枚も付けていなかった。
その大木の前でユキはお座りして自分を待っていた。
「もしかしてドライアドの木……?」
オリビの町の近くにあると聞いていたし、先ほどいた高台からオリビの町が見えていた。
「キュッキュ!」
ユキは2度頷きながら答えた。
「何でそんなことわかるんだ?」
「キュィ~キュー」
まぁ言ってる事はわからんが、分かる理由があるんだろう。オリビの町からも近いし、ここでドライアドの木を観察するのもありだな。
「どうしようか、せっかくだしここに住んでみるか?」
「キュッキュ!」
ユキはOKなのか、まぁ衣食住そろっていればいいし、住めるようなスペースもあるし住居跡地に診療所をだそう、そう思い居住地跡地に戻り、吸土の魔石を使い、診療所の地下と同じ大きさの穴をあけた後、アイテムボックスから診療所をだした。
久々にユキと一緒に診療所に入り3階の自宅に戻り寛ぎゆっくりとした時間を過ごした。
翌朝、ユキと共にドライアドの木に向かうと1人のエルフの中年男性がいた。
もしかしてって思ったが、見た感じおじいちゃんとかいわれるような歳じゃないように見える。
「おはよう、君が誠明君だね、私はリオスの父、ロアナ達の祖父である。ライだ」
「あ、すいませんオリビの町で待つように言われたのに……、自分は伊東誠明です。よろしくおねがいします」
「あぁよろしく、君たちをここに導いたのは私の依頼だったからね」
導いた?
ここに向かって走ってきたのはユキのほうだ、ユキを見ると。
「キュィ?」
ユキも“?”が浮いているようだった。
「どうやって導いたんですか?」
「どうやって?精霊の声か姿を見なかったのか?」
「いやそんなものは……」
「キュィ♪」
ユキが姿か声を聞いたのか、それで何かを追いかけるようにここに来たって事か。
「そうか、君ではなく、その子と先に繋がったのだな」
「先って?」
「2人の内どちらかが精霊の姿か声を聞けばここに来てもらえるかと思ってね」
その結果自分より先にユキが精霊を認知したのか。
「そうでしたか、何故ここに?」
「ふっふ、ここはね聖女様がドライアドの実を受け取った場所なんだよ。まだ実を付ける状態じゃないが君たちならここが良いと思ってね」
「何か意味が?」
「うん、この木はね数百年前に 1度枯れてしまったんだよ、ただ100年ほど前に聖女様が一時的に復活させてね、君たちなら出来るんじゃないかと思ったんだよ」
やっぱりすでに枯れた木だったのかと思ったと同時に、聖女様が一時的に復活させた?どういうことだ?
「わかっていないようだね、この木に触れてごらん」
「はぁ……」
ライさんに言われた通り、大木に触れると微かにだが触れた手のひらから何かが大木の方へ流れていくような感触があった。
「もしかしてまた?」
「そう、また実を付ける可能性があってね、ここは海風の影響で魔素だまりが出来なくてね若いうちなら自然の魔素でなんとかなるが、大きくなり魔素を賄いきれなくなって枯れてしまったんだよ」
いわゆる栄養失調みたいな状態なのか。
「それじゃあ今触れた時に木に流れていったような感触は?」
「君の体内の魔素だね」
「じゃあ魔素を与え続ければ……」
「そう、葉をつけ花を咲かせ実ができる」
なるほど、聖女様がここに来た理由もそれか、自分たちには絶対健康があり、それゆえに魔素が枯れるような事がない。
「導いてくれてありがとうございます」
「いや、よいよい、一度枯れたドライアドの木は枯れたことのない木よりも綺麗な花を咲かせるんだよ」
それはちょっと見てみたいかもしれない、どれだけ時間がかかるか分からないが頑張ってみよう。
町の周囲は高い木々に囲まれた石造りの家が目立つ街だった。
積み荷はアイテムボックスの中なのか全員が降りるとリオスさんが使っていた船をアイテムボックスにしまっていた。
「しばらくはこの街の宿に居てくれ、既に父がこっちに向かっているらしいから、そう遠くないうちに会えるだろうよ」
「すいません、いろいろありがとうございます」
「いいよ、いいよ、こちらも君から売れ残りの品と交換で様々な香辛料分けてもらったからね、こちらも感謝しているよ、それじゃあ我々はいくよ」
「はい、ありがとうございました」
「誠明、ユキちゃんまたね」
リオスさんやロアナ姉妹そして他のハイエルフの人たちはオリビの町について直ぐに街を出ていった。
あ、ドライアドの木どれだか聞き忘れたな……。ロアナさんのお爺さんが来たら聞いてみればいいか。
とりあえずまだ日が高いので、少し森の中を探索することにした。
オリビの町をでて、ユキを自由に走り回らせつつ、後について行った。
前を走るユキは街道から外れ真っすぐにどこかを目指しているような感じで道なき道を走る。自分はユキを見失わない様について行くのがやっとだった。
どれだけ走ったか不明だが、崖下に海が見える高台にたどり着いた。
「キュィ~ッキュ~」
「ん?」
高台にたどり着くと今度は、ユキが高台のあちらこちらをくるくる回るように走って何かを訴えているように見えた。
「どうした?」
「キュ~ッキュ~キュィ」
言ってることが分からないが、何か訴えているのは行動を見ていてわかる。ユキがくるくる回っていた所や何か訴えているような仕草を見せた場所に行くと何を訴えているのかがなんとなくわかった。
その高台には、見た感じ雑草や落ち葉や枯れ木等で分りにくいが平らに整地された土地がいくつか並んでいたり、井戸があったり、大木の幹に大きな穴が開いていておとな2~3人が住めるようなスペースがあった。それに崖から海を見渡すと、オリビの町と思しき町が見えた。
「もしかして、昔のハイエルフ達の居住跡地か?」
「キュィ~」
自分の言葉にユキが相槌をうつような鳴き方をした後今度はまた森の中に入って行った。
森の中に入ってすぐに、枯れた大木が目に入った。
周囲の木々はまだ緑の葉を沢山つけているのにもかかわらず、その大木だけは葉を1枚も付けていなかった。
その大木の前でユキはお座りして自分を待っていた。
「もしかしてドライアドの木……?」
オリビの町の近くにあると聞いていたし、先ほどいた高台からオリビの町が見えていた。
「キュッキュ!」
ユキは2度頷きながら答えた。
「何でそんなことわかるんだ?」
「キュィ~キュー」
まぁ言ってる事はわからんが、分かる理由があるんだろう。オリビの町からも近いし、ここでドライアドの木を観察するのもありだな。
「どうしようか、せっかくだしここに住んでみるか?」
「キュッキュ!」
ユキはOKなのか、まぁ衣食住そろっていればいいし、住めるようなスペースもあるし住居跡地に診療所をだそう、そう思い居住地跡地に戻り、吸土の魔石を使い、診療所の地下と同じ大きさの穴をあけた後、アイテムボックスから診療所をだした。
久々にユキと一緒に診療所に入り3階の自宅に戻り寛ぎゆっくりとした時間を過ごした。
翌朝、ユキと共にドライアドの木に向かうと1人のエルフの中年男性がいた。
もしかしてって思ったが、見た感じおじいちゃんとかいわれるような歳じゃないように見える。
「おはよう、君が誠明君だね、私はリオスの父、ロアナ達の祖父である。ライだ」
「あ、すいませんオリビの町で待つように言われたのに……、自分は伊東誠明です。よろしくおねがいします」
「あぁよろしく、君たちをここに導いたのは私の依頼だったからね」
導いた?
ここに向かって走ってきたのはユキのほうだ、ユキを見ると。
「キュィ?」
ユキも“?”が浮いているようだった。
「どうやって導いたんですか?」
「どうやって?精霊の声か姿を見なかったのか?」
「いやそんなものは……」
「キュィ♪」
ユキが姿か声を聞いたのか、それで何かを追いかけるようにここに来たって事か。
「そうか、君ではなく、その子と先に繋がったのだな」
「先って?」
「2人の内どちらかが精霊の姿か声を聞けばここに来てもらえるかと思ってね」
その結果自分より先にユキが精霊を認知したのか。
「そうでしたか、何故ここに?」
「ふっふ、ここはね聖女様がドライアドの実を受け取った場所なんだよ。まだ実を付ける状態じゃないが君たちならここが良いと思ってね」
「何か意味が?」
「うん、この木はね数百年前に 1度枯れてしまったんだよ、ただ100年ほど前に聖女様が一時的に復活させてね、君たちなら出来るんじゃないかと思ったんだよ」
やっぱりすでに枯れた木だったのかと思ったと同時に、聖女様が一時的に復活させた?どういうことだ?
「わかっていないようだね、この木に触れてごらん」
「はぁ……」
ライさんに言われた通り、大木に触れると微かにだが触れた手のひらから何かが大木の方へ流れていくような感触があった。
「もしかしてまた?」
「そう、また実を付ける可能性があってね、ここは海風の影響で魔素だまりが出来なくてね若いうちなら自然の魔素でなんとかなるが、大きくなり魔素を賄いきれなくなって枯れてしまったんだよ」
いわゆる栄養失調みたいな状態なのか。
「それじゃあ今触れた時に木に流れていったような感触は?」
「君の体内の魔素だね」
「じゃあ魔素を与え続ければ……」
「そう、葉をつけ花を咲かせ実ができる」
なるほど、聖女様がここに来た理由もそれか、自分たちには絶対健康があり、それゆえに魔素が枯れるような事がない。
「導いてくれてありがとうございます」
「いや、よいよい、一度枯れたドライアドの木は枯れたことのない木よりも綺麗な花を咲かせるんだよ」
それはちょっと見てみたいかもしれない、どれだけ時間がかかるか分からないが頑張ってみよう。
15
お気に入りに追加
666
あなたにおすすめの小説
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる