【完結】婚活に疲れた救急医まだ見ぬ未来の嫁ちゃんを求めて異世界へ行く

川原源明

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願いを叶える薬

第52話 エリクサー(万能薬)とエリクサー(願いをかなえる薬)

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 ロアナからユキの人になりたいという願いを叶える方法を知っているという衝撃な発言を聞いた。

「え?そんな話あるんですか?」
「はい、詳しい事はおじいちゃんが知っているのですが、昔聖女様がおじいちゃんの作ったその薬を飲んで元の世界に戻ったって話を聞いた事があります」

 またもや衝撃的な話を聞いた。その聖女様=こずえさんだとしたら、あの占いの館に居たこずえさんは聖女様本人なんじゃなかろうか?

 となると気になる事が、たしか御堂こずえさんで1996年26歳の時にこの世界に来たと城で見せてもらった手記には書かれていた。

 占いの館に居たこずえさんの姿は間違いなく10代後半から20代前半と言った見た目なのにもかかわらず、30代後半以降の大人の女性って感じの色っぽさがあった。

 自分と同じように若くなってこの世界に来たって事か?

 見た目が若くなり、雰囲気は大人の女性ってなるとそう思うのがしっくりくる気がした。

「それってどんな薬なんですか?」
「エリクサーって知っていますか?」
「あぁ城で姫様の病を治す薬とか聞いたような」
「そうですね、多分それはダンジョンで取れたエリクサーの事だと思います」

 ダンジョンで取れた?

 って事は別のエリクサーが存在するのか?

「別のエリクサーがあるんです?」
「はい、私達ハイエルフの間では先ほどお話した願いをかなえる薬をエリクサーと呼んでいるんです」
「そうなんだ、1つ聞いてもいいかな?」
「はいどうぞ」
「ダンジョンで取れるエリクサーって素材じゃなくて既製品?」
「そうですよ、完成されたものが宝箱に入ってるんです」

 となると、抗がん剤としてエリクサーが思い浮かばなかったのは納得だが、王様から貰った月夜花は何の素材なんだ?

 疑問に思いアイテムボックスから月夜花を取り出した。

「月夜花を持っているんですね、それは私達のいうエリクサーの素材なんですよ」

 王は勘違いしていたのか?

 エリクサー(万能薬)とエリクサー(願いをかなえる薬)の情報が混ざっていたのか?

 まぁでも、願いをかなえられるなら万能薬と大して変わらないのかもしれないが……。

「作り方は?」

 とロアナに訪ねた瞬間、自分の頭の中に、月夜花の球根と葉をすりつぶし、月の雫を100ml足し、ドライアドの実をすりつぶしたものを投入しエンシェントドラゴン又はフェンリルの血を3滴たらし混ぜ続けるというのが頭に浮かんだ。

「えっと、素材は5つ必要で月夜花の葉と球根、月の雫、ドライアドの実と神様の血だったと思います。あと一つあるのですが、ごめんなさい、そこはおじいちゃんに聞いてみないと……」

 おかしい、月夜花の葉と球根、月の雫、ドライアドの実、神様の血というのがエンシェントドラゴンかフェンリルの血でいいとしたらあと1つは何だ?

 そこは思い浮かんでないぞ?

 もしかして形のない奴?願い事を想うとかか?

 とりあえず、もし作るとしたらロアナのお爺さんに会って聞くべきだろうが、と思っているとユキがジーっとこちらを見ているのに気づいた。

 自分はしゃがみ、ユキを抱き目の前にもってきた。

「おまえもしかして作りたいのか?」
「キュッキュ!」

 ユキは力強くうなずいた。

「そんなに人になりたいのか?」
「キュッキュ!」

 またしても力強くうなずいた。自分としても手術とかを手伝ってくれるなら固定の相棒としてユキにやってもらうのはありだけども、長く一緒にいるユキの願いだし自分もかなえてあげたいと思った。

「わかった、ミグニーにいってロアナさんのお爺さんに話しを聞いてみようか」
「キュ♪」

 ドワイライフに行く前に、ミグニーによってエリクサーの作り方を聞いてみるか、月の雫とドライアドの実、そして難しそうなエンシェントドラゴンかフェンリルの血か……、本当にできるのかな……?

「ミグニーまで一緒に来られます?」
「うん、ユキが望んでるからね、迷惑じゃなければ案内してくれると」
「そうですね、私の一存では何とも言えないのでお父様達と合流してから出良いですかね」
「それで大丈夫です」
「わかりました。明日か明後日には合流すると思うのですがどこの宿に泊まってるか教えてもらっても良いですか?」
「決めてないですが、昨夜は海猫亭って宿屋に泊りました」
「わかりました。お父様達と合流したら、海猫亭のおかみさんに伝言かメモをお願いしておきますね」

 これから世話になる事を考えたら屋台の修理手伝ったりした方が良さそうだなと思った。

「ありがとう、お願いします。良ければだけど屋台の修理手伝おうか」
「お願いしても良いですか?私とモアナだけだとどうしても出来ないところがあって……」
「お願いされました。じゃあ行きましょう」
「はい」

 その後、ロアナとモアナを手伝い屋台の修理をしてお昼もロアナ達の売り物の果物をちょっと多めに購入し宿に戻った。
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