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放浪の旅の始まり

第49話 別れとカッチョイスの町

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 出発の朝、集落に住む住民たち全員が集落の入口に集まった。

「ユキちゃんまた来てね~絶対だよ~」
「キュィ~キュィ~」

 ユキやミィナをはじめ数名の女性たちが涙を浮かべながら別れを惜しんでいた。

 そんな女性陣とは別にロッジさんが自分の所へ来て。

「誠明、もしかしたらこの先の集落に親父は居ないかもしれん」
「そうなんですか?」
「あぁ、親父の居る集落に住んでいる奴が昨日ガラドゥに向かったたんだが、親父たちはローレンタの町に木材を買いに向かったらしい」
「あぁそれで」
「あぁカッチョイスとは方向が違うからな、まぁまた機会があったら寄ってやってくれ」
「わかりました。この1週間お世話になりました」
「こちらこそ痛みを取ってくれてありがとな、道迷わないようにきをつけろよ」
「はい、ユキ行くよ~」

 女性陣達と最後まで話をしてたのだろう。自分の所に来るまでに何度も女性たちの居るほうへ振り返っていた。

「キュィィ……」

 足元に来たユキの目には涙が溜まっていた。

 今日だけはと思い、ユキを抱き上げるとユキは自分の胸に顔をうずめ。

「キュ~……キュ~……」

 と悲しそうに鳴き始めた。
 いつ以来だろう、ユキと出会って親と思しき亡骸を前に悲しそうに鳴いていた日の事を思い出した。

「んじゃそろそろ行きますね」
「あぁ、またな」
「「「ユキちゃんまたね~」」」

 歩き出すと、ユキはうずめていた顔を上げ皆の居るほうを向いて。

「キュィ~~~~~~~~~~~!」

 と大きな声で返事していた。

「ユキ、いい友達もったね」
「キュッキュ」

 まだ涙声みたいな状態だった。
 毎晩遅くまでミィナ達と話をしていたみたいだし、フワとは違いユキにとって同性の親友だったんだろうな、なんておもっていた。

◇◇◇◇◇◇

 数日後山道を歩いていると、分かれ道があり、案内版には“←ローレンタ”“→カッチョイス”と書かれ右の道を進んだ。

 そしてさらに数日後、ロッジさんのお父さんが住んでいると思しき集落があったが、人の気配が全くなかったので素通りしてカッチョイスへ急いだ。

 結界魔法を使い忘れていた為何度か魔物に襲われたが、都度ユキが対応してくれ何事もなく歩き進め、ロッジさん達の集落を出て約1カ月後ようやく目的地のカッチョイスに到着した。

 街の入口に居る門兵に冒険者証を提示して街の中にはいると、マバダザ、アイロナ、ガラドゥとは違い、地中海地方で見られるようなすべての家が白い壁にオレンジ色の屋根の建物で統一された綺麗な町だった。

 久々の町なのでゆっくりしたくてまだ昼前なのにもかかわらず町の人に宿屋の場所を聞きいて即チェックインし久々のまともな寝床で寝ることにした。
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