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診療所開設!
第28話 聖女の手記
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しばらくし、部屋を出て言ったメイドが戻ってきた。
「大変お待たせいたしました」
「あぁ、彼にそれを」
「はい」
そう言って手渡されたのは、猫のモチーフがあしらわれたピンク色の手帳だった。
「それは聖女様がこの国で過ごされたときの事が書かれた手帳だ、わしらには読めないが、誠明なら読めるかもしれん、そこに何らかのヒントが得られれば良いが……」
手渡された手記を捲ると、驚いたことに日本語が書かれていた。手記の持ち主は“御堂こずえ”いう名前だった。ふとこの世界に来るときの占いの館に居たこずえさんの姿が頭をよぎった。
あの時、占いの家にいたこずえさんもしかして偶然か?とか思いつつ、手記を読み始めた。
彼女は、26歳の1990年6月に、看護婦をしていた病院からの仕事帰りに寄った“とある場所”の占いの館の主の導きによってこの世界に来た事が書いてあった。“とある場所”というのが自分をこの世界に導いた占いの館の場所の住所が書かれていた。
彼女がこの世界に導かれた理由は、これから蔓延する大病から世界を守る為に創造神に乞われた事がきっかけだと書かれていた。
その後は、この世界で苦労した事、楽しかった事等様々な事が書かれていた。そして浄化魔法についての事が書かれているページがあった。
彼女自身も何度も何度も実験をしたこと、そしてその実験結果が書かれていた。
まず死体に浄化をすると特定の菌や細胞を選択することが出来ずにすべての菌、すべての細胞が浄化し消えてしまう事、死ぬことですべての細胞が死ぬため選べないという考察が書かれていた。菌に関してもその肉体が死を迎えることで、すべてが不要な物と扱われ選択が出来ないのではないかと書かれていた。
上記の事なら、自分が行った浄化魔法実験と一致した。問題は次だ、生者に行った場合の記事だ。
生者に行った場合の事に関しては、菌の詳細を知っている事が大事らしく、菌を知らない状態で浄化を使っても意味がない事が書かれていた。彼女自身、コレラ菌について知っている自分と、コレラ菌を知らない浄化魔法の使い手で浄化をしてみた結果、菌について知っている自分には症状回復が見られたが、それを知らない使い手の浄化は意味がなかった事が書かれていた。
そして、どの程度知る必要があるかについても書かれていた。
まずは菌の存在、その菌が引き起こす病状と病気になった時の対処法と治療法を知らないと出来ない事。この世界の人達に菌の存在を教える事が非常に困難で浄化魔法での感染症治療を広める事は上手く行かなかったと書かれていた。
そして、感染症以外の病に関しては、分かるものは対処できたが、食道ガンと思しき患者に対してはどうすることも出来なかったとも書かれていた。
ガンと診断できなかったのか?
それとも自分が恐れていたようにガン細胞のあった場所がなくなった場合、下手すると食道に穴をあけるだけになってしまう可能性を恐れたのか?
その後も色々な浄化魔法の実験と結果、そして考察書かれていて、コレラと思しき感染症と戦い続けた結果、聖女と呼ばれるようになったが怪我を治したりすることは出来ず無力感に苛まれていた事等が書かれていた。
彼女の実験と結果、考察を見るに、生きた物でやれば違う結果が得られる可能性が非常に高い。
今この手記を読んだ限り、自分がベッドで横になっている彼女にたいして、白血病細胞のみを浄化することは可能だろうという感じがしている。
問題は確証なくいきなり本人にやるのはどうかなと思い、別の生き物で試してからやるべきだろうと思った。
一通り読み終わって一呼吸つくと。
「何かわかったか?」
読み終わったと思ったのか王が聞いてきた。
「えぇ、自分自身が実験していたことよりも様々な実験をしていることが書かれてました」
「ほう、それで対処できそうか?」
「少し生きもので試してからやりたいのですが、死んでもいい生き物とか居ませんかね?」
「死んでもいい生き物か、罪を犯した死刑囚なら地下牢に居るが」
失敗したら自分が人殺しになっちゃう!
「いや、食材とかで良いです……」
「ふむ、なら厨房にいくか?」
「生き物がいます?」
「あぁ、色々いるぞ、ディアダッグ位なら別に構わん、メイア」
王の“メイア”に反応し、ベッド横に居たメイドが反応し立ち上がった。
メイドさんの名前はメイアね。
「はい」
「この者と厨房にいきディアダッグを1羽くれてやれ、終わり次第ロックにどうするか聞け、食材として使わずとも誠明殿に渡してやっても構わん」
「はい、かしこまりました」
メイドがこちらの方にくると。
「こちらへ」
メイドの後について厨房へ移動した。
「大変お待たせいたしました」
「あぁ、彼にそれを」
「はい」
そう言って手渡されたのは、猫のモチーフがあしらわれたピンク色の手帳だった。
「それは聖女様がこの国で過ごされたときの事が書かれた手帳だ、わしらには読めないが、誠明なら読めるかもしれん、そこに何らかのヒントが得られれば良いが……」
手渡された手記を捲ると、驚いたことに日本語が書かれていた。手記の持ち主は“御堂こずえ”いう名前だった。ふとこの世界に来るときの占いの館に居たこずえさんの姿が頭をよぎった。
あの時、占いの家にいたこずえさんもしかして偶然か?とか思いつつ、手記を読み始めた。
彼女は、26歳の1990年6月に、看護婦をしていた病院からの仕事帰りに寄った“とある場所”の占いの館の主の導きによってこの世界に来た事が書いてあった。“とある場所”というのが自分をこの世界に導いた占いの館の場所の住所が書かれていた。
彼女がこの世界に導かれた理由は、これから蔓延する大病から世界を守る為に創造神に乞われた事がきっかけだと書かれていた。
その後は、この世界で苦労した事、楽しかった事等様々な事が書かれていた。そして浄化魔法についての事が書かれているページがあった。
彼女自身も何度も何度も実験をしたこと、そしてその実験結果が書かれていた。
まず死体に浄化をすると特定の菌や細胞を選択することが出来ずにすべての菌、すべての細胞が浄化し消えてしまう事、死ぬことですべての細胞が死ぬため選べないという考察が書かれていた。菌に関してもその肉体が死を迎えることで、すべてが不要な物と扱われ選択が出来ないのではないかと書かれていた。
上記の事なら、自分が行った浄化魔法実験と一致した。問題は次だ、生者に行った場合の記事だ。
生者に行った場合の事に関しては、菌の詳細を知っている事が大事らしく、菌を知らない状態で浄化を使っても意味がない事が書かれていた。彼女自身、コレラ菌について知っている自分と、コレラ菌を知らない浄化魔法の使い手で浄化をしてみた結果、菌について知っている自分には症状回復が見られたが、それを知らない使い手の浄化は意味がなかった事が書かれていた。
そして、どの程度知る必要があるかについても書かれていた。
まずは菌の存在、その菌が引き起こす病状と病気になった時の対処法と治療法を知らないと出来ない事。この世界の人達に菌の存在を教える事が非常に困難で浄化魔法での感染症治療を広める事は上手く行かなかったと書かれていた。
そして、感染症以外の病に関しては、分かるものは対処できたが、食道ガンと思しき患者に対してはどうすることも出来なかったとも書かれていた。
ガンと診断できなかったのか?
それとも自分が恐れていたようにガン細胞のあった場所がなくなった場合、下手すると食道に穴をあけるだけになってしまう可能性を恐れたのか?
その後も色々な浄化魔法の実験と結果、そして考察書かれていて、コレラと思しき感染症と戦い続けた結果、聖女と呼ばれるようになったが怪我を治したりすることは出来ず無力感に苛まれていた事等が書かれていた。
彼女の実験と結果、考察を見るに、生きた物でやれば違う結果が得られる可能性が非常に高い。
今この手記を読んだ限り、自分がベッドで横になっている彼女にたいして、白血病細胞のみを浄化することは可能だろうという感じがしている。
問題は確証なくいきなり本人にやるのはどうかなと思い、別の生き物で試してからやるべきだろうと思った。
一通り読み終わって一呼吸つくと。
「何かわかったか?」
読み終わったと思ったのか王が聞いてきた。
「えぇ、自分自身が実験していたことよりも様々な実験をしていることが書かれてました」
「ほう、それで対処できそうか?」
「少し生きもので試してからやりたいのですが、死んでもいい生き物とか居ませんかね?」
「死んでもいい生き物か、罪を犯した死刑囚なら地下牢に居るが」
失敗したら自分が人殺しになっちゃう!
「いや、食材とかで良いです……」
「ふむ、なら厨房にいくか?」
「生き物がいます?」
「あぁ、色々いるぞ、ディアダッグ位なら別に構わん、メイア」
王の“メイア”に反応し、ベッド横に居たメイドが反応し立ち上がった。
メイドさんの名前はメイアね。
「はい」
「この者と厨房にいきディアダッグを1羽くれてやれ、終わり次第ロックにどうするか聞け、食材として使わずとも誠明殿に渡してやっても構わん」
「はい、かしこまりました」
メイドがこちらの方にくると。
「こちらへ」
メイドの後について厨房へ移動した。
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