上 下
187 / 195
茜君の足跡

第187話 付与魔法の極意 前半

しおりを挟む
「その技術を教えてもらっても?」

 魔法を得意としないドワーフだけど大丈夫だろうか?

『ドワーフでもできるの?』
『出来るよ、色のついていない魔石を使えばいいよ、付与の付いていないやつでやってみたら?』

 なるほど自分魔素じゃなくて魔石で代用するのか。

「構いませんよ、せっかくだし何もついてない2本でやりましょうか」

 ヒスイからのアドバイス通り、無色の魔石をアイテムボックスから出した。

「師匠、そいつは魔石か?」
「ですよ」
「色を見るに無属性か?」

 色で分れるんだっけ?

『そうなの?』
『そうだよ』

 ヒスイがそうだというならそうなのだろう。

 今まで魔石の色とか気にしたことなかったから知らなかった。

『ちなみに、赤い魔石は火属性、水色は水属性と行った感じで、武器や防具に属性付与するなら属性魔石がおすすめだよ』

 属性付与とかやったことないな。

「ですね、1つ目は魔石を使った方法で、属性付与したければ、属性の魔石があればできますよ」

 ヒスイに教わったことをそのまま伝えた。

「ほぉ」
「さて質問です。魔石は何からできているでしょうか」

 基本を理解してもらうために質問をしてみた。

「そりゃ魔素からだろ?」
「そうです、人種や魔物なんかの体内にできますね」
「ん?人にもできるのか?」

 以前ヒスイがそんな事を言っていたのを覚えている。

「できますよ、長寿種の方々は高い確率で、もってますね。話がそれるんで、これまでで」
「すまん」
「いえいえ、んじゃ魔法はどうやって使います?」

 誰もが解かるように聞いた。

「そりゃ呪文を詠唱して使うな」

 イメージをして使うという答えが欲しかった。

「まあ、そうなんですが、求めてる答えじゃない」
「どういうことだ?」
「魔法は、適正がありますよね、適正が無くても多少は使えますよね」
「だな」
「なぜですか?」
「そりゃ、日々見てるからじゃないか?」
「まぁそうですね、魔法は呪文詠唱とかはどうでもいいんです、イメージが出来れば使えるんですよ、高度な魔法程適性がないとイメージしにくくなるから使えなくなるだけなんで」
「なるほど、するとイメージが大事という事か?」
「そうです、ガッザラさんは、何を思って作りますか?」
「……無心だな」
「そこなんですよ、自分は、基本オーダーメイドでしか作らないんです、作るときに
使い手にどうなってほしいかイメージして作るんですよ」
「なるほど」

 そこまで話すと、ガッザラは何やら考えている様子を見せた。

 おそらく彼なりに何か思い当たる節があるのだろう。

「思い当たる節があるようですね」
「あぁ、作る過程で付与効果については理解した魔石はどうするんだ?」

 自分に効かれてもと突っ込みたいが。

『どうするの?』
『魔素って以前話したように、気体・固体・液体って存在するのは覚えている?』
『空気中に漂う魔素が気体で、魔石が個体、ダンジョンの下に流れている液体ってやつだよね?』
『そうそう、液体を使うのさ』

 塗るのかな?

 とりあえずガッザラと話を進めていく。

「こっちはですね、水と同じで、気体、固体、液体って変化するんですよ」
「気体?液体?固体?」

 文明的なものなのだろうか?

 一応小学生で習うレベルだと思っていたが。

「ありゃそこからですか?」
「学が無くてすまんな」
「いえいえ、気体というのは魔素で言う、空気中を漂ってる魔素の事を指します」
「なるほど、水も気体になるのか?」
「なりますよ、鍛冶をやっていれば、叩いた金属を水で冷やしますよね?」
「そうだな、あ……」

 水蒸気について思い出してくれたかな。

「わかりました?」
「あぁ、あの煙は水なのか」
「水蒸気というんですけどね、液体の水が気化した状態です」
「なるほどな、すると固体ってのは、氷か」
「そうです、魔素、魔石にも同じような状態があります」
「魔素が液体になるのか……?」
「なりますよ、水の場合は、冷やせば氷、温めれば水蒸気なんですが、魔素は違います。圧縮したら魔石、魔石から液体にするのは、冷やすんですよ」
「ほう……?どれくらい冷やすんだ?」

 どれくらい冷やせばいいんだ?

『どれくらい?』
『ん~どれくらいだろう~滝とかも凍っちゃうレベルなんだけど』

 あいまいで分らん、とりあえずー20℃位か?

「そうですね、具体的にどれくらいというのはあれですが、大体-20℃位ですかね」

 ガッザラは、どれくらいの寒さ?という表情を浮かべていた。

 そりゃそうだ、自分も九州出身で都内暮らしだった為、-20℃と言われてもピンとこない。

「師匠悪いが、どれくらいなのかが解らん」
「あ~そうですね……」
 
 どうするか、この際この部屋を冷やして体験すればいいか?

「んじゃ、ちょっとこの部屋の中を-20℃にしますよ」
「あ?どういうことだ?」

 この部屋の気温をー20℃にイメージした。

 すると一気に冷え込んできた。

「何をしたんだ…… ものすごく寒いんだが……」

 寒くはなったけどこんなものなのか?

 真冬の岩手に行った事があるが、その時と比べると全然余裕な気がした。

『ちゃんと冷えてる?』
『うんうん、これくらいなら魔石も液体になるよ』

 あれ?ちゃんとできてるのか。

『あまり寒くない気がするんだけど気のせい?』
『そりゃ、君は絶対健康があるからね~一定以上の寒さは無効だよ』

 寒さや暑さも絶対健康に引っかかるのか。

「これが、-20℃の世界です」
「わかった、ものすごく寒い状態だと言うのはわかった…… 元に戻してくれ……」
「はいはい」

 元の気温に戻るようにイメージすると、暖かくなってきた。

 この寒暖差を一瞬で体感すると体調崩しそうだなんて思った。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先!~何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます!!~

うどん五段
ファンタジー
幼い頃から心臓の悪かった中村キョウスケは、親から「無駄金使い」とののしられながら病院生活を送っていた。 それでも勉強は好きで本を読んだりニュースを見たりするのも好きな勤勉家でもあった。 唯一の弟とはそれなりに仲が良く、色々な遊びを教えてくれた。 だが、二十歳までしか生きられないだろうと言われていたキョウスケだったが、医療の進歩で三十歳まで生きることができ、家での自宅治療に切り替わったその日――階段から降りようとして両親に突き飛ばされ命を落とす。 ――死んだ日は、土砂降りの様な雨だった。 しかし、次に目が覚めた時は褐色の肌に銀の髪をした5歳くらいの少年で。 自分が転生したことを悟り、砂漠の国シュノベザール王国の第一王子だと言う事を知る。 飢えに苦しむ国民、天候に恵まれないシュノベザール王国は常に飢えていた。だが幸いな事に第一王子として生まれたシュライは【天候を操る程度の能力】を持っていた。 その力は凄まじく、シュライは自国を豊かにするために、時に鬼となる事も持さない覚悟で成人と認められる15歳になると、頼れる弟と宰相と共に内政を始める事となる――。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載中です。 無断朗読・無断使用・無断転載禁止。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

処理中です...