上 下
109 / 195
VSヴォーネス共和国(クラリス教団)

第109話 エスティアの街の現状

しおりを挟む
 城壁の内側に入り、拠点構想を考えてみた。

 岬の先端近くに城もしくは砦を築くのは確定として、手前のエリアをどうするか、この拠点に積める者達の家は当然の事として、ある程度自給自足できるようにしたいので農耕エリアも作るつもりだが、その配分に悩んでいた。

 先に拠点となる本丸を築くか、そう思い岬の先端付近まで来た。
 遠くを見る分には絶景だな、はるか遠くに水平線が見えた。

 ヴォーネス共和国側を見ると遠くに街が見え、その手前の海上には多くの船が停泊していた。

「あれがエスティア?」

 セリエが街の方をじっとみていた。

「ん~違いますね~街の中央に時計塔がみえるのであれはペンジェンですね~」
「エスティアは?」
「右側木々の向こう側ですね~」
「もうちょっと高い所からなら見える?」
「見えると思いますよ~」

 見える高さまでやるか?1階当たり3mとして5~6階位までにしたいな、規模は50m四方の正方形型で高さは6階建てを想定して土魔法で、地盤に穴をあけ、そして土で型を作っていった。

 土魔法で作った型は1階毎に作り、オリハルコンを溶かしたものを流していく作業を繰り返し、6階部分を作ってる時にセリエが横で遠くを指さした。

「見えましたねーあれがエスティアですよ~」

 セリエが指をさした方を見ると木々の上から僅かだが街が見えた。

「あれがエスティアか」
「そうですね~もう何年も前にヴォーネスにとられちゃった街ですね~」

 近いうちに偵察に行ってみるか、リースは今どこで何をやってるんだろう?

『ヒスイ、リースはどこで何してるの?』
『エスティア領主邸でメイド長をやってるよ』

 ちょうどエスティアに居るのか、しかしメイド長って……

『急ぎじゃないからエスティアの状況を知りたい』
『それ位なら把握してるよ~』
『教えてくれる?』
『OK』

 ヒスイから現在のエスティアについて教えてもらった。
・多くの兵が街の外で野営をしている事
・兵達が粗暴な事もあり街中の治安が著しく悪化している事
・住民たちの家に侵入して食糧を奪ったりしている為、住民たちは飢えに苦しんでいる事
・創造神教の教会は廃墟と化している事同時に、国教のクラリス教教会が栄えている事
・兵士のすべてがクラリス教教徒で、街にはクラリス教のテンプル騎士団の団員と教団の偉い人が駐在している事
・エスティアの街に限らず、ヴォーネス国内にある殆どの街で対国&クラリス教団レジスタンスが居る事を聞いた。

 色々な情報をおしえてもらった。
 国と国の争いというよりは、ヴェンダル王国VSクラリス教と言ったところだな、宗教相手とか面倒だなと思った。

 ふと、宗教が相手ならこちらも宗教として戦えばいいのでは?と思った。

『ヒスイ、自分がネア様の使いとか代弁者とか名乗ったら怒られるかな?』
『使徒だし使いを名乗るのは問題ないと思うよ。ただやり過ぎたら怒られるかもしれないけどね』

 なるほど、無血開城とはいかないが、時間がかかるが、死者数を抑えてエスティア奪還は何とかなりそうな気がした。

 最悪クラリス教の異端審問官なんかが居たら自分を追い回しそうだが、それ位は覚悟しておこう。

 急ぎ目の前の仕事である、拠点づくりを完成さなければ、50m四方の6階建ての建物を完成させ、最初に作った、壁堀壁を拠点となる建物の周りに張り巡らせた。

 最後に住居エリアは半分住居にし、半分は農耕エリアにしようと決め、生前使っていたログハウスを大量コピーして設置し、いつでも農作できるように残り半分を土魔法で耕した。

 辺りを見渡すと日が暮れ始めていた。

「凄いですね~同じ家がいっぱい並んでますね~」
「家具とか何もないけど、水と明かりはつく」
「火があれば完ぺきですね~あとは姫様たちがいつ来るかですね~」

 すぐ来るようなことを言っていたし、そんなにかからないとは思った。

『ヒスイ、あとどれくらいで姫様たち来るか分かる?』
『ん~明日の夕方から、翌日位にかけて到着すると思うよ。今トライベッカ公国の国境近くで野営しているし』

 割と近くに居た。

「明日街道まで道をつなげるから、セリエはそこで姫様たち来るのを待ってってくれない?」
「いいですよ~ナット君はどうするんですか?」
「もうちょっと拠点強化できないか色々やってるよ」
「わっかりました~」

 今日はこれで良いだろう、城壁もあるし魔物達が襲来することは無いだろうと思ったので、ゆっくり過ごすことにした。

「セリエも適当な場所確保してゆっくりしなよ」
「ん~今夜は私が見張りします~」
「んじゃ、よろしく」
「はい~よろしくされました~」

 そういってセリエは寝そべっているブラックベアに背を預けてリラックスしていた。
 
 セリエはこのまま寝そうだなと思ったが、ヒスイや他の子達が対処してくれることを信じて近くにあるログハウスの中に入った。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...