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王都ヴェンダル

第75話 商業ギルドへ

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 冒険者ギルドを出ると、城壁沿いの通りにきた。

「ちょっと離れていろ」

 オスカーがそう言い、自分が離れたのを確認すると、アイテムボックスから車をだした。これって軍用車両じゃなかったっけ?ハリウッド映画なんかで出てくる軍用車両のようなゴツイ車が目の前に現れた。

「車使うんですか?」
「おまえさん車持ってないのか?」

 キャンピング仕様のミニバンとバイクならあるが今まで一度も使ってない。

「車もバイクもありますが、一度も使ってないですね……」
「もったいねぇな~ここじゃ俺とチェンシーが使っているから普通に使って問題ないぞ、どんな車に乗っているんだ?」
「車中泊できるように改造したミニバンですね」
「ふむ、どうだ?お互いの車とバイク後で交換しないか?アイテムボックス内でコピーすればいいだろう?」
「オスカーさんもバイクもっているんですか?」
「おーよ、クルーザータイプのだが、お前さんはどんなバイクだ?」
「ツアラータイプですかね」
「なら交換しようぜ、今度街の外にツーリングいこうや」

 この世界に来て車とバイクの話が出来る友人が出来たのがとても嬉しかった。

「いいですね~いきましょう!」
「決まりだな、とりあえず助手席にでも乗ってくれ」
「ほい、了解」

 生前の癖でそのまま助手席にのろうとした。

「違うそっちは運転席だ」

 注意された。日本車ではないのを忘れていた。
 慌てて反対側に周り助手席に乗り込んだ。

「日本車はハンドルが逆だったな」
「そうなんですよね、つい癖みたいなものが」
「はっは、なるほどな、それじゃあいくか」

 オスカーがキーオンにし、エンジンをかけた。
 何年ぶりだろうすごく久々にエンジン音をきいた。

「王都じゃ馬車は基本城壁沿いを通らないと駄目だ、しかも一方通行で反時計回りに回るという決まりがある。それぞれの門付近は人が多いから気を付けろよ」

 助手席から外を見ているとすれ違う人達は、車が走っていることを大して気にかけていない様子だった。

「王都の人達は車慣れしているんですか?」
「そりゃ毎日目にしてりゃ嫌でも慣れるだろ、交通ルールの話に戻るが、基本40キロ制限だと思っとけ、馬車が全力出してもそれくらいらしいからな」

 あ~外周しか走れないのかちょっと不便だなと思った。

「外周しか走れないのって意味あります?」
「わかってないな、冒険者ギルドから王城まで歩いてどれくらいかかると思う?」
「30分くらいですか?」
「話にならんな、ざっくりだが4時間かかると思え、大通りを歩けばいいだけだが距離にして20キロ近くあるからな、商業ギルドは王城エリアのすぐ下にあるからな、大通りを端から端まで歩くようなものだ歩くだけで疲れるぞ、あとで王都内の地図をやるよ」

 南門から王城まで20キロ……、さすがは王都でかいな、

「王都の形状ってどんな感じなんですか?」
「王城あたりを除くと円形だな、ざっくりとだが北東エリアが貴族や富裕層の住むエリアだ、北西エリアが学園になっている。大通り沿いが商業エリア南側の大半が一般市民の住むエリアだな」

 円形で直径20キロくらいってかなりの規模の都だな、しばらく走っていると東門を越えたあたりで、建築様式がガラッと変わった。

「もしかして?」
「あぁ富裕層エリアだ、ここら辺はある程度自由に走れるぞ」

 走っているとオスカーが車を止めた。

「ここら辺でいいか、降りろ」
「近くなんです?」
「そうだ、残りは歩こう」

 車を降り、オスカーが車を片付けた。
 しばらく歩くと大通りが見えてきた。

「ここだ」

 オスカーの視線の先には、レンガで組んだ5階建ての建物があった。

「ここの屋上は結構見晴らしがいいぞ」

 オスカーの後について中に入ると、とても広々としていた。

「ここの商業ギルドは近隣の大陸を含めても1番の広さを誇っていてな、チェンシーがこの世界にきて最初にしたことがここで胡椒を大量に売りさばいたらしい。おかげで商業ギルドは胡椒で大儲けしたんだと、チェンシーも一応冒険者なんだが商才の方があるらしくてな、冒険者ギルドに来る事があまりなくなっちまった」

 なるほど、胡椒か、自分ら異世界から来た人間なら無限に出せるし稼ごうと思えば稼げるのかと思った。

「あ~その手があったんですね~」
「だな、俺は生前の貯金と冒険者活動で稼いでいたからな、特に困った事は無かったが」
「自分も同様ですね~」
「ちょっとまってろ」

 オスカーが受付らしき場所で何かやり取りを始めた。
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