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王都ヴェンダル

第70話 王都へのルート

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 トザズトアでの用事は済み街の端で父さんから貰った地図を広げていた。

 王都に続く道が鉱山ダンジョンのある山を越えた先にあるが、ドザズトアから山越えの道が地図上に存在しない。
 ポーンタナまで戻り北の道を行くと山岳都市ザクソンズがあるが、こちらも山越えルートだ、ザクソンズから東に抜けて鉱山都市ティファの地下道を経由で王都へ抜ける。地図をみると2つのルートがある。

 道なき山越えか、山岳都市ザクソンズからの山越えか鉱山都市ティファを経由する。3ルート、さてどれに行くかな、絶景好きキャンパーとしては、道なき山越えといくか?

『ねぇ、ヒスイに質問、これから王都に向かうとして、どのルートなら景色を楽しめるかな?』
『ん?ルート?』

 地図を地面におき、頭の中で考えている三つのルートをヒスイに説明した。

『絶景求めるなら、ザクソンズからの山越えだね、あのルートは山脈で一番低い所を越えるから高地の草花とか色々楽しめるよ。それにこのルートで一番標高が高い所に山小屋があって、その付近なら整理されているから野営もできるんじゃないかな?あとね、ナットがいう目の前の山を登るのは止めた方がいいかもしれない人が歩いて行けるような環境でもないからね、それに山を越えた先の道ってほとんど使われてない廃道だよ、ちょっと見て見る?』
『頼める?』

 ヒスイの力で、山を越えた先にある道を植物視点で見せてもらったが、草で覆われていてどこが道なのか解らないとか、崖崩れがそのまま放置されていたり、道が小川になっていたりとか悲惨な状態だった。どこだったか国道ならぬ酷道と呼ばれていた道を思い出した。その道も道路上を川?が横切っていた。

『使える状態じゃないでしょ?』
『そうだね』
『一番楽なのはティファの地下道ルートかな~ほとんど平坦だし』

 地下道は見て見たいが。何が楽しくて薄暗い所を歩かなきゃならないのか……、

『地下道って長いの?』
『長いよ、普通に歩いて2日間くらいかかる。』
『2日間も地下道かそれはそれで嫌だな……、』
『まぁザクソンズからの山越えでいいんじゃない?』
『そうするか』

 ザクソンズから山越えルートで王都まで見ていると王都までかなり距離があるのに途中街が無いな……ちょっと横にそれてラッタンがあるだけだった。

『この王都までって街が全くないんだけど、理由あるの?』
『うん、ティファの地下道抜けた先で山越えルートと合流するんだけど、鬱蒼とした大森林の中なんだ、魔物が結構強くて開拓できないんじゃないかな?道沿いでも結構魔物が出るよ、ブラウンベア、シルバーウルフ、アーマーセンティーピート、マンイーターがメインかな?アーマーセンティーピートは毒持ちで10m以上の大型魔物だよ。』

 センティーピートって、ムカデのことだよな?
 10m以上のムカデとか怖、素直に山岳都市ザクソンズからの山越えをするか。そうと決まればポーンタナに向かうか。

 ポーンタナに向かう途中、久々にポーコスの街を通過する際に思い出した。2人の子どもは無事ミアンの所に着いたのだろうか?

『そういや、2人の子ってミアンの所に着いたのかな?』
『だいぶ前にね、っていつの話してるのさ』

 そんな答えと共に笑われた。

『うまくやってるの?』
『うん、問題なさそうだよ、女の子の方はボアが気に入ってるみたいだね』

 へぇ、まぁ上手くやっているならそれでいい、ポーコスを抜け、ヒスイが旅人の脅威になる距離にいる魔物を教えてくれるので魔物を狩ったり、夜になれば野営をしたりと、1人の旅を楽しみながら、ポーンタナに向かった。

 ポーンタナの街が見えてきた時、

『この先を左に曲がるとザクソンズに続くよ』
『了解』

 ヒスイに言われた通り、左の道に入りしばらく歩くと森の中の道から草原エリア出てすぐの所に、山岳都市ザクソンズがあった。特に用が無かったので、そのまま山越えルートの北門を抜けた。



 ザクソンズを抜けると確かに所々色鮮やかな花がさいている。

『よくない?この時期だと、咲いている花はそこまで多くないけどね』
『いいね~』
『でしょ~』

 アイテムボックスから、生前愛用していた一眼レフを取り出し写真を撮り始めた。

『な~にそれ?』
『今見ている景色を切り取るものとでもいえばいい?』
『うん?』

 どう説明すればいいか解らないので、生前撮りためた写真をヒスイにみせた。その中にはちび助のアルバムもあった。

『へぇ~すごいね~これメグちゃん!』
『そうだよ、ちび助は可愛いからねぇ~』

 しばらく思い出話に花を咲かせながら、風景写真をとっていた。

『ナット~もうすぐ日が暮れるよ~』

 確かに、太陽も山に隠れようとしていた。

『この先に山小屋があるって言っていたよね』
『うん』

 日が落ちる前にたどり着けばいいかなと思いながら、全力で山小屋を目指した。
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