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冒険者時代
第39話 幕間 グアーラの試練2
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グアーラ視点
久々に自分の羽で空を飛びながら色々思い出していた。
◇◇◇◇◇◇
浮遊大陸から追放されたのち、秋津まで泳ぎ冒険者になった。秋津国内で様々な依頼をこなしBランクまで上がったことをきっかけに、秋津を出ようと思ったが、この世界のどこに行っても、兄弟以外の身内や知り合いが居ない、しいて言うなら、母の戦友であるフェンリルのソラリス殿くらいだろうか?
彼女なら時の精霊を使役しているし、戻るヒントをくれるかもしれない。
「会いに行ってみるか」
秋津の国を出て半年ほどかけてようやくたどり着いた。オーガスタ王国王都オーガスタ
ソラリス殿は、王都オーガスタにある、白狼学園の学園長をしていたはずだ、街の人に道を尋ねると、大通りを歩き右手に大きな建物が見えたらそこに行くといいと教えられた。
教わった通り、大通りをあるき大きな十字路の度に右側を確認しながら行くと、見つけた。これまでの旅の中で一度も見たことのないほどの巨大な建造物が並んでいる。
「王城とはまた違った様式だな」
学園と思しき門に近寄ると、多くの学生たちがいた。門の近くに居た男女の2人組に声をかけた。
「すまない、こちらの学園長に用があるのだが、どちらに居るか教えてもらえないだろうか?」
「はい?」
最初は2人とも頭に“?”が浮いてるようだったが直ぐに思い当たったのか応えてくれた。
「あぁ、グアーラさんですね、学園長から話をきいています。案内しますよ」
あらかじめ予知して学生に伝えていたのだろうか?
でなければ、俺の名前を知る術はないはずだ、案内してくれている2人の学生の後をついて行くと敷地内で一番大きな建物の中に入っていった。しばらくすると1つの扉の前まで来て1人の学生が扉をノックした。
「学園長、お客様をお連れしました。」
そう言うと、扉が開き1人の女性がでてきた。
「2人ともありがとうね」
「「はい、それでは失礼します。」」
「あぁ、気を付けてね」
そのやり取りのあと2人の学生が、こちらにも1礼をした。
「すまない、案内感謝する。」
「いえいえ」
それだけ、返すと2人の学生が去っていた。
「さて、グアーラ君久しぶりだね、20年ぶり位だろうか?」
正直俺には、ソラリス殿と会った記憶はないが、生まれた時に一度会っていると母から聞いた記憶がある。
「それくらいになるんでしょうか?」
「そうだね、君が生まれた時にエルメダがここに連れてきたとき以来だからね、大きくなったね、とりあえず入りなよ」
部屋の中に通された。中はソラリス殿の仕事部屋らしく正面の机の上には書類が山積みになっていた。
「そっちに座りなよ」
椅子に座る様に促され、椅子に座ると。
「ここに来た要件は、浮遊大陸に戻る方法って事でいいかい?」
「はい」
この人はどこまで知っているのだろうか?
お茶の用意をしながら話をしてくれた。
「そうだね、10年以内に、ともに旅をした友人の子が君の前に現れる。その子がきっかけになるね」
ともに旅をした友人、冒険者として旅をすることになるのだろうか?
ソラリス殿がお茶を自分の前に置き、正面の椅子に座った。
「それは、冒険者としてパーティを組むという事でしょうか?」
「そうだよ、その子は、その友人と別れた場所で数年後姿を見せるよ。」
パーティを組む必要があるのか、他人とパーティを組むのは気が引けるが、
「まぁ焦らずにゆっくりやりなよ、君は問題なく帰れるから」
それを聞いて安心した。サキとの結婚は出来るということだ。“問題なく”少し気になるキーワードが聞こえたが……
「わかりましたありがとうございます」
「うん、私から伝えられることは以上かな、他に何かあるかい?」
「では、兄上達は戻ってこれるのでしょうか?」
ソラリス殿は、少し難しい表情をしながら切り出してきた。
「そうだね、もう会う事はないよとだけ言っておくよ。」
2人の兄は大陸に戻ってこれないという事だろうか、その答えを聞くと正直何とも言えない気持ちに襲われた。
「まずは、北のレイク王国に行くといい、きっかけを作ってくれるドワーフに会えるよ」
「それではレイク王国に行ってみます。ありがとうございます」
特に行く当てがない今、助言通りに動いた方が良いだろう、次の行き先が決まった。
「それでは、そろそろ」
「あぁ、気を付けてね」
彼女は扉の外まで見送ってくれた。
久々に自分の羽で空を飛びながら色々思い出していた。
◇◇◇◇◇◇
浮遊大陸から追放されたのち、秋津まで泳ぎ冒険者になった。秋津国内で様々な依頼をこなしBランクまで上がったことをきっかけに、秋津を出ようと思ったが、この世界のどこに行っても、兄弟以外の身内や知り合いが居ない、しいて言うなら、母の戦友であるフェンリルのソラリス殿くらいだろうか?
彼女なら時の精霊を使役しているし、戻るヒントをくれるかもしれない。
「会いに行ってみるか」
秋津の国を出て半年ほどかけてようやくたどり着いた。オーガスタ王国王都オーガスタ
ソラリス殿は、王都オーガスタにある、白狼学園の学園長をしていたはずだ、街の人に道を尋ねると、大通りを歩き右手に大きな建物が見えたらそこに行くといいと教えられた。
教わった通り、大通りをあるき大きな十字路の度に右側を確認しながら行くと、見つけた。これまでの旅の中で一度も見たことのないほどの巨大な建造物が並んでいる。
「王城とはまた違った様式だな」
学園と思しき門に近寄ると、多くの学生たちがいた。門の近くに居た男女の2人組に声をかけた。
「すまない、こちらの学園長に用があるのだが、どちらに居るか教えてもらえないだろうか?」
「はい?」
最初は2人とも頭に“?”が浮いてるようだったが直ぐに思い当たったのか応えてくれた。
「あぁ、グアーラさんですね、学園長から話をきいています。案内しますよ」
あらかじめ予知して学生に伝えていたのだろうか?
でなければ、俺の名前を知る術はないはずだ、案内してくれている2人の学生の後をついて行くと敷地内で一番大きな建物の中に入っていった。しばらくすると1つの扉の前まで来て1人の学生が扉をノックした。
「学園長、お客様をお連れしました。」
そう言うと、扉が開き1人の女性がでてきた。
「2人ともありがとうね」
「「はい、それでは失礼します。」」
「あぁ、気を付けてね」
そのやり取りのあと2人の学生が、こちらにも1礼をした。
「すまない、案内感謝する。」
「いえいえ」
それだけ、返すと2人の学生が去っていた。
「さて、グアーラ君久しぶりだね、20年ぶり位だろうか?」
正直俺には、ソラリス殿と会った記憶はないが、生まれた時に一度会っていると母から聞いた記憶がある。
「それくらいになるんでしょうか?」
「そうだね、君が生まれた時にエルメダがここに連れてきたとき以来だからね、大きくなったね、とりあえず入りなよ」
部屋の中に通された。中はソラリス殿の仕事部屋らしく正面の机の上には書類が山積みになっていた。
「そっちに座りなよ」
椅子に座る様に促され、椅子に座ると。
「ここに来た要件は、浮遊大陸に戻る方法って事でいいかい?」
「はい」
この人はどこまで知っているのだろうか?
お茶の用意をしながら話をしてくれた。
「そうだね、10年以内に、ともに旅をした友人の子が君の前に現れる。その子がきっかけになるね」
ともに旅をした友人、冒険者として旅をすることになるのだろうか?
ソラリス殿がお茶を自分の前に置き、正面の椅子に座った。
「それは、冒険者としてパーティを組むという事でしょうか?」
「そうだよ、その子は、その友人と別れた場所で数年後姿を見せるよ。」
パーティを組む必要があるのか、他人とパーティを組むのは気が引けるが、
「まぁ焦らずにゆっくりやりなよ、君は問題なく帰れるから」
それを聞いて安心した。サキとの結婚は出来るということだ。“問題なく”少し気になるキーワードが聞こえたが……
「わかりましたありがとうございます」
「うん、私から伝えられることは以上かな、他に何かあるかい?」
「では、兄上達は戻ってこれるのでしょうか?」
ソラリス殿は、少し難しい表情をしながら切り出してきた。
「そうだね、もう会う事はないよとだけ言っておくよ。」
2人の兄は大陸に戻ってこれないという事だろうか、その答えを聞くと正直何とも言えない気持ちに襲われた。
「まずは、北のレイク王国に行くといい、きっかけを作ってくれるドワーフに会えるよ」
「それではレイク王国に行ってみます。ありがとうございます」
特に行く当てがない今、助言通りに動いた方が良いだろう、次の行き先が決まった。
「それでは、そろそろ」
「あぁ、気を付けてね」
彼女は扉の外まで見送ってくれた。
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