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冒険者時代

第31話 出発当日の朝

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『ナット~起きて~朝だよ~』

 ヒスイの声で、夢から現実に引き戻された。

「おはよう~」
『もうすぐグアーラが、ここに来るよ』
「はいはい」

 まだ寝起きのせいか、頭がボーっとする中、和装ではなく、村人の服の服を身に着けた。
部屋の外に出ようとすると。目の前にグアーラが居た。

「よぉ、今日は早いな、さっそくギルドに行くか」
「おはようございます~」

 朝食を取らずにチェックアウトし、冒険者ギルドに向かった。

 ギルドに着くなり、グアーラと一緒に掲示板を見て、アヴェナラ方面の配達依頼を探した。

 Cランクの掲示板から常設枠へと順番に見ていると、 常設枠の所に、ブルーミントの採集依頼があった。どうするかな、一株ならあるし、株数は指定してないし。夕べ育てたブルーミントを出すか。

 掲示板から依頼票を取って、依頼受注窓口にブルーミントと一緒に提出しに行くと、窓口のお姉さんが、

「あら?ブルーミントのクエストですね、確認しました。そのままとなりの窓口へもっていってください。」

 依頼終了窓口へ移動しそのままクエスト終了した。報酬が大金貨1枚か、しょぼいな。
 仮に別の大陸に渡ってまで取りに行ったとしたら利益は出るのだろうか? そんな事を思った。

 掲示板には、ついでに出来るクエストは見当たらず、手配書の掲示板へ移動した。

『ヒスイ、アヴェナラ方面行くのに遭遇しそうな人いる?』
『ん~アヴェナラまで最短ルートで行くならになるけど、右上のクリフトと、その下にあるジャガックス、あとは~左の方にあるサンディかな~クリフトとサンディは2つ目の街ポーンタナの孤児院に匿われてる。ジャックスはポーンタナからアヴェナラに向かう途中の川の近くに潜んでいるかな。』

 3人もいるのか、クリフトと、サンディは優しそうなお兄さんお姉さんって感じだがなぁ、その2人は匿われていると言うのが気になる。

「なんだ?また賞金首狙うのか?」
「まぁそんな感じです。このクリフトとサンディって人知ってます?」
「あぁ、2人とも今のお前さんと同じように、冒険者登録した頃付いたからな、ただなぁ、この殺人って部分は納得できないんだよなぁ、そういうやつらじゃないからな……」

 グアーラが少し複雑そうな表情をしていた。人は見かけによらないって言葉もあるし、実際に会ってみてからどうするか考えるか。

「ついでにやれるクエストは無かったな、夕べの宿屋に向かうぞ」
「ほい」

 冒険者ギルドを後にし、大通りを通って昨夜の宿屋に向かった。その道中、

「お前さん、防具は身に着けないのか?」

 そういや、防具なんて考えてなかったな……

「ほれ、昨日の報酬分だと思っとけ」

 手渡されたのは、皮の胸当ての様な防具だ。

「ありがとうございます。」

 サイズが若干大きい気がするが使えないことはなさそうだ、シャツを着るように身に着けてみた。無いよりはましというレベルかな?

「似合ってるぞ、いいじゃないか、軽戦士って感じだな」

 防具か、これまで何も考えてなかったけど、一応身に着けた方がいいのだろうか?
 フルプレートとか見た目がかっこいいとは思うけど身に着けたいとは思わない、今度は、ちょっと意識して見ておこう。

 そうこうしていると、宿屋に着いた。

「まだいないな、しばらくここで待ってようか」

 しばらくすると、アヴェナラ侯爵夫妻が出てきた。

「2人とも昨夜は、ありがとう」

 グアーラが侯爵夫妻とやり取りし始めた。

 しばらくするとメイドさんがミーナちゃんを抱っこして出てきた。拘束はされていないようだった。

 ガリガリに痩せ細ってるし、日常動作にも支障があるよな、今のうちに治してしまうか?と思ったが、見た目が明らかに変わるのは医術ってレベルじゃないからな、食事療法で対応していくべきだろう。

 宿屋の裏手に回り、アヴェナラ侯爵一家3人は馬車に乗り込み、御者はメイドさんがやるのか、メイドさんの横にグアーラが座った。

「ナット君も中に来るかい?」

 侯爵がそう言って来たが、貴族一家と密閉空間とか何の拷問かと、それなら馬車の横を走ってる方がいい。

「いえいえ、トレーニングを兼ねて馬車の後ろを走りますよ。」

 侯爵が驚いたような表情をするが、グアーラがフォローを入れてくれた。

「クライ、そいつはラッタン近くの平原まで走っても平然としている奴だから、問題ないはずだ」
「そうか、無理せず乗って構わないからな」
「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします。」
「あぁ、出してくれ」

初めての護衛クエストが幕を開けた。
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