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第八章 雑多
臭いニオイを放つ花たち
しおりを挟む「マユミちゃん、こっちに座れよ」
「マユミは~。透さんの横っ♪もう決めちゃったんだも~ん♪みんなは座るとこ決まった?」
他の女達と目配せし合い、自分のことをニタつきながら見上げている大西の後ろを大袈裟に避けて、マユミが僕の隣に身をよじり入って来た。
通常ならば大西の横へと促すか誰の相手もしなくて良い席に移るか、若しくは入らせない手段を執るのだが、どれもしないでマユミの好きにさせる。
どうにかしろ座らせるんじゃない、と僕を睨んでいるだろう大西は暫し、視野の外に追いやる。
当然自分の元に来る筈の女が別の男の、それも一番行かせたくない僕の横を選んだ。 次の席替えのチャンスまでどうにも出来ないくらいは、馬鹿でも判断がつく。
今の奴の表情は見なくても想像がつく、じつに愉快だ。
「じゃ~取り敢えず乾杯しましょうか!」
約束通りに女達が来たことで気を良くしている哲哉が、ブツブツ言っている大西を無視して合コン開始の乾杯を促し、マユミ以外の女も好き勝手に席に着き鞘当ては始まった。
(腐った花だ)
品物を物色するような女達の所作にそう思っう。
原色の瞼の下の眼が男達の財布とパンツの中身を、この短時間でどうにか測ろうと必死だ。 話す内容にしても、上っ面だけは上品ぶってはいるが中身の無いどうしょうも無い下卑たものだった。
体中の至る所に振り付けて来ているだろうその甘ったるいニオイには、苦いモノが上がってきそうだ。
(佳い香りとはこんな風に使われるものじゃ無い。これじゃ悪臭の元に成り下がってる)
授粉を手助けする虫を腐臭で誘う花は、熱帯雨林の奥地で人知れず花開くから珍重される。 がこんな人混みで咲こうものなら迷惑至極。 問答無用で斬り落とされ、密閉したうえで処分される。 何なら二度と咲かせない様に、と根ごと掘り返す。 労力を掛けずに抹消を求めるなければ、火炎放射器で焼き尽くすのが容易かもしれない。
(コイツら花で無くて助かったな……)
この後も延々と続けられるのだろう、間抜けな駆け引きを想像した。 同席してそれを聞き続ける自分が思われた。 これ程意味の無い時間の潰し方が、他に有るだろうか? と最大限に後悔する。
(こういう席は嫌だ。二度と誘いに応じない)
何としても脱出しなくては。 それも早急に。 そして効果的にだ。
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