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体育祭
体育祭5~お家デート~
しおりを挟む土曜の昼ごろ、チャイムが鳴った。
荷物をちょうどまとめきった充希は玄関に向かう。ドアを開ければ私服姿の真悠が立っていた。
軽いジャケットを羽織ってスカイブルーのジーンズが似合っている。
「充希こんにちは。迎えきたよ」
「真悠、俺もちょうど荷物できたところ」
ちょっと待っててと彼を家に招いて玄関へ入れる。充希の母が真悠が来たことに気づいたのか、キッチンから玄関の方へ来た。
充希は母とすれ違って泊まる用のパジャマなどが入った荷物をまとめ、机の上に置いていたスマホを取った。
真悠のもとへ戻ると、母と真悠が何やら話していて楽しそうに笑っている。荷物を持ったまま玄関に近づくと、母から充希は怒られた。
「お客さまを玄関で待たせてちゃだめでしょ、充希」
「もう出ちゃうんで大丈夫ですよ。それよりお菓子まで貰っちゃっていいんですか?」
いつのまにか真悠の手には紙袋が握られていた。いつの間に母はお菓子など用意してたのか。ギョッとして母の顔を見ると、母はお友達の家に行くんだから当たり前でしょうがと充希を睨んだ。
充希は母の視線から逃げたくてそのまま急いでスニーカーに足を入れる。
「真悠くん、充希がお世話になるわね」
「大丈夫です、こちらこそ充希にたくさんお世話になってるんで。お菓子もありがとうございます」
もう一度真悠が笑顔でお礼を述べると、充希の母はニコニコと機嫌が良くなった。
「それじゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい。迷惑かけないようにね」
母に玄関で見送られて充希と真悠は家を出た。
充希は真悠の隣に並びながら歩く。
「充希のお母さんって優しいね」
「そう?普通だと思うけど…」
それよりも充希の母をすぐ手玉に取った真悠の方が恐ろしい。母は充希に遼以外の友達がいるなんてと喜んでいた。しかも、好青年でイケメン。もちろん真悠に母は良くするに決まっている。
母は充希に真悠はもったいないと言った。あんないい子が内向的な充希と友達なんて…。そんな充希と真悠が付き合ってるなんて母は予想だにしないだろう。
罪悪感にも不甲斐感にも似たモヤモヤが出てきて充希はため息をつく。真悠がどうしたの?とこちらを見てきた。相変わらず綺麗な顔はこちらを見ている。
(本当になんで真悠は俺にかまってくるのだろう)
なんでもないと言っても、心配だからと道端で手を握ってきた真悠にまた不快感を充希は得た。
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