18 / 51
18
しおりを挟む
○○○○○○
「ゆり、好き。好き。好き」
「あーそうですかー」
電車に乗ったあたりから、俺が本当に聖を置いていかないとわかったのか、人がころっと変わった様に聖はベタベタと甘え始めた。
電車で人がたくさんいるにも関わらず、抱きついてきたり、好きだと言ってきたり、本当に迷惑である。
この場にヒコたんがいなくて本当によかった。
ヒコたんにこんな現場見られてたら、絶望感で絶対首吊って死んでた。
「ゆり、もう教室戻るの?1時間だけサボろ?」
「は?誰が学校行きたいって騒いだんだよ。それに俺、出席日数足りないから授業出ないといけないんで」
「へえ…2年生って面倒臭いねえ。3年生はもうほぼ自由登校だよ~」
こいつ、3年生だったのかよ。
確かに2年生ではこんなに派手なのに一度も見たことなかった。でも、それならより一層、学年の違う自分に絡まないでくれよ。
文句を言う代わりにデカデカと大きくため息を吐いてやった。
「それじゃあ、また放課後迎えに来るね」
「いえ、結構。俺に構わないで下さい。あと勝手に触るな」
「ゆりはツンデレだなぁ。大丈夫だよ。じゃあまた後でね!」
「なっ…!」
待て!!アイツ都合良いように解釈しやがった…!
思わず止めようと聖の腕を掴みかけるが、寸出のところで止める。アイツを引き止めたところで何も変わらないからだ。逆に構ってもらったと勘違いするかもしれない。
気に食わない状態にされているのはムカつくが、今のところは放っておこう。
「本当めんどくせえ…」
「なにがだ?」
急に声をかけられて、ビクッ!と身体全身が震える。
慌てて振り返れば、いつもの太陽な笑顔でヒコたんが立っていた。
「ひ、ヒコたん…」
「おはよう、裕理。何かあったのか?」
「い、いやいや!何でもない!それよりもさ、今日は一緒に帰れる?」
「あー、すまない。採寸合わせは暫く時間が掛かるらしい。今日も打ち合わせがあるみたいだ。それにメニューを考えたり覚えなきゃいけないだろ?当分は遅くまで残るかもしれないな」
(は、はぁー?!ふざけんなよーッ!!まだヒコたん拘束してやがんのかよッ!!)
なんだ?何なんだ?マジで俺とヒコたんの邪魔をいつまですれば気が済むって思ってんだ?マジで許さん。クラスメイト全員殺す……殺す……。
俺はメラメラと殺気に燃えあがる。
もうこいつらまとめて殺すしか、この憤りを解消する方法が思いつかん。
「ゆり、よろしくな!」
ヒコたんが唐突に俺の頭をナデナデする(きっとその行動には何も考えていない)。ま、まあ、ヒコたんがいうなら、まだ実行はしないけど……。
むむ、(ヒコたん自体は何もわかってはいないけど)笑いかけてくる笑顔が可愛い……。
まあ、何はともあれ、朝からテンションは最悪に真っ直行だったのだが、今日のヒコたんは超優しくて、俺のテンションは高くなっていた。
ヒコたんは人気者で皆に優しいから、普段は結構すぐにあちこち呼び出されてどっかに行ってしまうのだが、今日は運も良く、授業中もずっと隣にいてくれた。
「裕理、いちご食べるか?好きだろ?」
「ヒコたん…!」
あーんとした口にいちごが放り投げられる。
うまい、うまい…ッ!!いちごが好きかどうかは別にそんな大してないのだが、ヒコたんがくれたいちごなら何十倍にも糖度を感じる…!
ルンルンでイチゴを食べていれば、昼休みを終えるチャイムが鳴る。
今日この後は確かHRで、文化祭準備の時間になる。マジで幸せな時間はあっという間。少しテンションは萎えてしまったが、ヒコたんが隣でニコニコとしているから、俺はもうそれでもいいかなと、朝の物騒な考えなど忘れ去っていた。
「ゆり、好き。好き。好き」
「あーそうですかー」
電車に乗ったあたりから、俺が本当に聖を置いていかないとわかったのか、人がころっと変わった様に聖はベタベタと甘え始めた。
電車で人がたくさんいるにも関わらず、抱きついてきたり、好きだと言ってきたり、本当に迷惑である。
この場にヒコたんがいなくて本当によかった。
ヒコたんにこんな現場見られてたら、絶望感で絶対首吊って死んでた。
「ゆり、もう教室戻るの?1時間だけサボろ?」
「は?誰が学校行きたいって騒いだんだよ。それに俺、出席日数足りないから授業出ないといけないんで」
「へえ…2年生って面倒臭いねえ。3年生はもうほぼ自由登校だよ~」
こいつ、3年生だったのかよ。
確かに2年生ではこんなに派手なのに一度も見たことなかった。でも、それならより一層、学年の違う自分に絡まないでくれよ。
文句を言う代わりにデカデカと大きくため息を吐いてやった。
「それじゃあ、また放課後迎えに来るね」
「いえ、結構。俺に構わないで下さい。あと勝手に触るな」
「ゆりはツンデレだなぁ。大丈夫だよ。じゃあまた後でね!」
「なっ…!」
待て!!アイツ都合良いように解釈しやがった…!
思わず止めようと聖の腕を掴みかけるが、寸出のところで止める。アイツを引き止めたところで何も変わらないからだ。逆に構ってもらったと勘違いするかもしれない。
気に食わない状態にされているのはムカつくが、今のところは放っておこう。
「本当めんどくせえ…」
「なにがだ?」
急に声をかけられて、ビクッ!と身体全身が震える。
慌てて振り返れば、いつもの太陽な笑顔でヒコたんが立っていた。
「ひ、ヒコたん…」
「おはよう、裕理。何かあったのか?」
「い、いやいや!何でもない!それよりもさ、今日は一緒に帰れる?」
「あー、すまない。採寸合わせは暫く時間が掛かるらしい。今日も打ち合わせがあるみたいだ。それにメニューを考えたり覚えなきゃいけないだろ?当分は遅くまで残るかもしれないな」
(は、はぁー?!ふざけんなよーッ!!まだヒコたん拘束してやがんのかよッ!!)
なんだ?何なんだ?マジで俺とヒコたんの邪魔をいつまですれば気が済むって思ってんだ?マジで許さん。クラスメイト全員殺す……殺す……。
俺はメラメラと殺気に燃えあがる。
もうこいつらまとめて殺すしか、この憤りを解消する方法が思いつかん。
「ゆり、よろしくな!」
ヒコたんが唐突に俺の頭をナデナデする(きっとその行動には何も考えていない)。ま、まあ、ヒコたんがいうなら、まだ実行はしないけど……。
むむ、(ヒコたん自体は何もわかってはいないけど)笑いかけてくる笑顔が可愛い……。
まあ、何はともあれ、朝からテンションは最悪に真っ直行だったのだが、今日のヒコたんは超優しくて、俺のテンションは高くなっていた。
ヒコたんは人気者で皆に優しいから、普段は結構すぐにあちこち呼び出されてどっかに行ってしまうのだが、今日は運も良く、授業中もずっと隣にいてくれた。
「裕理、いちご食べるか?好きだろ?」
「ヒコたん…!」
あーんとした口にいちごが放り投げられる。
うまい、うまい…ッ!!いちごが好きかどうかは別にそんな大してないのだが、ヒコたんがくれたいちごなら何十倍にも糖度を感じる…!
ルンルンでイチゴを食べていれば、昼休みを終えるチャイムが鳴る。
今日この後は確かHRで、文化祭準備の時間になる。マジで幸せな時間はあっという間。少しテンションは萎えてしまったが、ヒコたんが隣でニコニコとしているから、俺はもうそれでもいいかなと、朝の物騒な考えなど忘れ去っていた。
0
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
総受けなんか、なりたくない!!
はる
BL
ある日、王道学園に入学することになった柳瀬 晴人(主人公)。
イケメン達のホモ活を見守るべく、目立たないように専念するがー…?
どきどき!ハラハラ!!王道学園のBLが
今ここに!!
今度こそ幼なじみから逃げられると思ったのに!
枝豆
BL
どこまでもついてくる攻めと逃げたい受け
攻め 坂木 唯人 177cm 面が良いナチュラルサイコパス
受け 黒田 海 168cm どこにでもいる黒髪平凡。
途中、主人公が女の子と付き合う表現がありますが、BLなので最終的には攻めとカップリングされます。
主人公は女の子好きなのに。可哀想
攻めは別にゲイでは無いが、主人公は抱ける
ワンコと見せかけた拗らせナチュラルサイコパス攻めとそれに逃げようとするけどダメそうな不憫受けの話
アルファポリス以外にも、pixivで掲載しています
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
コパスな殺人鬼の兄に転生したのでどうにか生き延びたい
ベポ田
BL
高倉陽介
前世見ていた「降霊ゲーム」の世界に転生した(享年25歳)、元会社員。弟が作中の黒幕殺人鬼で日々胃痛に悩まされている。
高倉明希
「降霊ゲーム」の黒幕殺人鬼となる予定の男。頭脳明晰、容姿端麗、篤実温厚の三拍子揃った優等生と評価されるが、実態は共感性に欠けたサイコパス野郎。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる