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番外編

水谷兄弟の幼少期思い出?SSS

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隣で静かに眠るのは僕の眠れる森のお姫様。
少し長めの睫毛に、腫れぼったいほっぺた。僕よりも2歳年下のお姫様は、手足や身体が細くて小さい。

「お姫様」

僕はこのお姫様に恋をしている。

いつからはわからない。だけど、生まれた時からずっと。僕が僕と認識できてから、お姫様は僕の一番大切な宝物だ。
だってお母さんがそう言ってたんだ。そうまは僕の大切な大切な弟なんだって。大切な兄弟で大切な家族。宝物みたいに大切にしなさいって。だから大事な大事なお姫様。

「そうま…」

お姫様はやっぱり眠ったまま。拙い言葉遣いで話しかけても起きる様子はない。お姫様は起こすには王子様のキスがないとダメなのだ。

「そうま…起きて…」

もちろんキスするのは唇と唇。王子様とお姫様がキスをするのはそこだって何度も絵本で見た。眠れる森のお姫様だって、王子様とキスしてた。


そっと唇を寄せる。そうま…僕のお姫様、好きだよ。そう思って、んーと唇を突き出した。



のだが。

べちっ。

「いてっ!?」
「…お兄ちゃん何やってるの」

僕がそうまの口にちゅーするよりも、そうまの平手が先に僕の顔を叩いた。
そうまの手の勢いが強くて顔全体が痛い。痛いよ、そうま。

そうまは平手打ちした格好のまま僕の体を押して、自分も起き上がる。
寝ぼけた目を擦っては、そうまは僕の顔を見ると、澄んでいてどこかクールな眼差しをした瞳でじっと黙ってこちらを見つめた。
眠たそうなおめめ、可愛すぎる。ぼーっとしてるお顔も可愛いなぁ。
俺も見つめ返してニコリと笑う。

「そうま、おはよう。おはようのキスしてあげるね、はい、ちゅー」
「…?」
「んちゅ、んちゅ、ちゅぷ、ちゅちゅ、んちゅーーっ、ちゅっ、んちゅんちゅ」
「…ん、んむっ、し、しつこい」

僕がキスする前に相馬は起きてしまったが、おはようのチューをできたので大満足である。
そうまの唇は相変わらずプリプリしている。いっぱいはむはむしたい。
またそうまの唇に食いつこうとすれば、2度目の相馬の平手打ちが入る。次は鼻が潰れかけた。

「い、いてっ!そ、そうま~まだチュー足りてないのに~」
「知らない…。お兄ちゃんと、ちゅー?するのしつこいし、お口痛くなるからやだ」
「大丈夫~その内、気持ち良くなるらしいから~」

大人の人がチューするのは気持ちいいからだってテレビで言ってたのを思い出す。確かにそうまの唇は柔らかいから、何度もちゅーしてたらどんどんマシュマロみたいに溶けて気持ちよくなるんだろうなぁ。

そうまは顔をしかめながら「本当に?」ときいてくる。
そうまの少し眉を寄せて怒った顔も可愛い!あと、お兄ちゃんはそうまには嘘つかないから大丈夫!安心してね!

「うーん…でも今はお口ひりひりするからやだ…」
「そっかぁ。じゃあ僕と少しずつ慣れていこうね?あ、でも他の女の子とはしちゃダメだよ!もちろん男の子も」
「…?なんで?」

そりゃ、ダメに決まってるじゃん!
お姫様にキスしていいのは王子様だけなんだからね!

そうまは「僕は男の子だからお姫様じゃないもん…」とほっぺを膨らましたが、僕はそんなそうまもかわいくてもっかいキスをした。







*********

「なーんてこともあったなぁ…」
「そ、それ、セクハラじゃねえか……」
「りょうちゃん、なんでそんな話俺たち聞かされないといけないわけぇ~?マジ胸糞悪いんだけど~」
「なんだよ、鮫原、満木!相馬と俺の可愛らしい~エピソードじゃんー!本当相馬ったら可愛くてなぁ~!はぁ、思い出したら相馬とキスしたくなってきた…」
「うわっ、ちょっと今回のりょうちゃんはキモすぎて流石の俺でも無理だわ。帰って」
「はぁ?!なんで帰らないといけないんだよ!」
「相馬…こんな黒歴史を大っぴらにされて…可哀想に…」




「くしゅん…っ!」
「相馬大丈夫かー?」
「あ、うん…健也大丈夫だよ。でも何か悪寒が…」

~おわり(強制終了)~





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