2 / 26
第一章
第2話
しおりを挟む
スフィーナの実母であるサナは、使用人たちも人払いをして、スフィーナにだけこっそりと教えていた文字があった。
それがサナが生まれた国『ニホン』のカタカナという文字だった。
五十個の文字は直線ばかりで、記号みたいで覚えるのも楽しかった。
『私達の秘密の暗号にしましょう』
そう言っていたずらっぽく笑った母と共通の企みができたことが嬉しくて、スフィーナは懸命に覚えた。
それで何度か手紙をやり取りをして遊んだこともある。
だけどそれらはすぐに燃やした。
誰にも秘密の遊びだった。
もうすっかり忘れてしまったと思ったが、紙きれを手に取り眺めてみれば、おおよその意味はわかった。
『この指輪は私が見知らぬ異世界でもやっていけるようにと女神さまが加護を与えてくださったもの。きっとあなたを助けてくれるわ。
いとしいスフィーナへ、愛を込めて』
スフィーナは秘密のやり取りをしていた手紙を思い出した。
サナはここではない世界、異世界から来たのだと書いていたことがあった。
そこではココノエサナという名前で、誰もが貴族のように学校に通っていて、通学中に大きな穴に呑まれてこの世界に落ちてきたのだと。
偶然の事故であったが、女神にも世界を逆行させることはできなかった。
憐れんだ女神は、代わりに指輪を与えてくれた。
そんな話はスフィーナを楽しませるためにサナが考えた作り話なのだろうと思っていた。
ねえ、本当なの? と服の裾を掴んでわくわくと見上げたスフィーナに、いたずらっぽい目を向けて、しぃっと人差し指を立てていたから。
時折どこか寂しげに遠くを見ていたあの目は、今はもう戻れない遥か遠くの異国を懐かしんでいたのかもしれない。
本当の話なのか、サナがスフィーナのために語り聞かせてくれた物語なのかはわからないが、女神と母とに見守られているのだと思えば、心が温まっていくのを感じた。
母の形見はほとんど残されていなかった。
宝飾品の類は全て義母のものになってしまったし、背が小さく華奢だった母のドレスはサイズが合わないからとすべて処分された。
スフィーナの手元には何も残らず、胸にあるわずかな思い出だけだったから、こうして母の遺してくれたものに触れられたことが何よりも嬉しかった。
「お母様……。ありがとう」
涙を拭うスフィーナを心配そうに窺いながら、アンナが手紙と指輪とを見比べた。
「スフィーナ様。そちらはサナ様の形見だったのですか?」
「ええ。だけど、これを見たことはどうか口外しないでちょうだい。この文字は私とお母様の、秘密の暗号なの」
「わかりました。でも、偶然にも荷物に紛れて残っていて、本当によかったですね」
偶然、とはスフィーナには思えなかった。
何かを察していた母が自分の物とは別の場所にこうして隠しておいたのではないか。
敢えて木箱にぞんざいに入れることで、たいしたものではないのだと義母の興味を失わせるように。
そうして大事な指輪だからこそ、ずっと嵌めていたのにある時外しておいたのではないか。この指輪を守れるように。
スフィーナは指を広げ、右手の小指に嵌められた銀の指輪を眺めた。
それから左手でそっとそれを覆った。
きっとこの指輪ならミリーが欲しがることもないだろう。
スフィーナ以外には何の価値もない、ただの傷ついた指輪にしか見えないだろうから。
その時、窓をコンコンと叩く者があった。
幼馴染であり、婚約者のグレイグだった。
「グレイグ!」
スフィーナが駆け寄り慌てて窓を開けると、グレイグはその長身を屈めてひょいっと器用に窓からその身を滑り込ませた。
床に降り立つと、銀色の髪がさらりと揺れる。
黙っていれば冷たくも見える整った顔立ちのグレイグは、外目には王子のようであったが、剣を持たせれば同年代では右に出る者はいなかった。
現在も学生の身でありながら騎士団に見習い騎士として属しており、将来は騎士団長にもなるだろうと目されている。
「グレイグ様、またそのようなところからお出でになって……! 奥様に見つかったらまた面倒なことになりますよ」
「外には今誰もいないし、誰にも見られてないから心配はいらん」
慌てるアンナにひらひらと手を振り、こげ茶色の瞳をいたずらそうに笑ませたグレイグは、無遠慮にずかずかと入り込んできた。
「グレイグ、帰ったんじゃなかったの?」
毎日学院からの帰りはグレイグが馬車で送ってくれる。
今日も馬車を降りたところで手を振って別れたはずなのだが。
「庭師のウィルとたまたま会って話してたら、何やらまた何かあったと聞いてな。どんなものかと様子を見に来たんだが」
そう言ってグレイグはまだ隅に荷物の積まれた部屋をぐるりと見回し、あっけらかんと笑った。
「まるで秘密基地だな。何か面白いものでも出てきそうだし、これは暇つぶしにいい。俺も発掘に付き合いたいくらいだな」
面白がっていることがわかる口ぶりに、アンナはむっと視線を尖らせた。
「グレイグ様。秘密基地というのは本拠地があってこそのものです。スフィーナ様はこの物置部屋を本拠地とさせられたんですよ? 何が楽しいことがありますか!」
「まあ、ごもっともだな。だが見たところスフィーナも悪い顔はしていないぞ」
言われて、慣れたやり取りを続ける二人を見守っていたスフィーナはふふっと笑った。
「ええ。もう宝物も見つけてしまったの。お義母さまには感謝しているくらいよ」
そう言って右手の小指をそっと撫でた。
「ん? 指輪か。男にもらったんじゃないだろうな」
わかりやすく嫉妬の言葉を向けるグレイグに、アンナの前でもあり気恥ずかしくなったスフィーナは、赤らみかけた頬を隠すようにやや俯いた。
「そんなわけないってわかってるくせに。この部屋の隅に、忘れられたみたいに置かれていたのよ。お母様の手紙も一緒に入っていたわ。やっと形見と呼べるものを手にできたの」
「そうか、ならよかったな。探せばまだ掘り出し物があるかもなあ」
子供かと思うほどに楽しそうなグレイグに、スフィーナは笑いが込み上げた。
寝られればいいと思っていた部屋だが、ここで過ごすことが楽しみになってくるのだからグレイグはすごい。
グレイグはずっとスフィーナの味方だ。
子供の頃からずっと。
そんなグレイグが婚約者に決まったのは、スフィーナにとっては最も幸運なことだったかもしれない。
しかしこんな楽しそうな姿を見せるのは、スフィーナの前でだけだ。
唐突に部屋のドアがノックされ、スフィーナは慌ててグレイグを外に逃がそうとした。
しかし応えるよりも前にドアはガチャリと開けられた。
使用人はこんな無礼なことはしない。
ドアからひょいっと頭を覗かせたのは、くるくるでふわふわの赤毛。
橙色の瞳をきょろきょろとさせて部屋を見回したのは、スフィーナの義妹、ミリーだった。
それがサナが生まれた国『ニホン』のカタカナという文字だった。
五十個の文字は直線ばかりで、記号みたいで覚えるのも楽しかった。
『私達の秘密の暗号にしましょう』
そう言っていたずらっぽく笑った母と共通の企みができたことが嬉しくて、スフィーナは懸命に覚えた。
それで何度か手紙をやり取りをして遊んだこともある。
だけどそれらはすぐに燃やした。
誰にも秘密の遊びだった。
もうすっかり忘れてしまったと思ったが、紙きれを手に取り眺めてみれば、おおよその意味はわかった。
『この指輪は私が見知らぬ異世界でもやっていけるようにと女神さまが加護を与えてくださったもの。きっとあなたを助けてくれるわ。
いとしいスフィーナへ、愛を込めて』
スフィーナは秘密のやり取りをしていた手紙を思い出した。
サナはここではない世界、異世界から来たのだと書いていたことがあった。
そこではココノエサナという名前で、誰もが貴族のように学校に通っていて、通学中に大きな穴に呑まれてこの世界に落ちてきたのだと。
偶然の事故であったが、女神にも世界を逆行させることはできなかった。
憐れんだ女神は、代わりに指輪を与えてくれた。
そんな話はスフィーナを楽しませるためにサナが考えた作り話なのだろうと思っていた。
ねえ、本当なの? と服の裾を掴んでわくわくと見上げたスフィーナに、いたずらっぽい目を向けて、しぃっと人差し指を立てていたから。
時折どこか寂しげに遠くを見ていたあの目は、今はもう戻れない遥か遠くの異国を懐かしんでいたのかもしれない。
本当の話なのか、サナがスフィーナのために語り聞かせてくれた物語なのかはわからないが、女神と母とに見守られているのだと思えば、心が温まっていくのを感じた。
母の形見はほとんど残されていなかった。
宝飾品の類は全て義母のものになってしまったし、背が小さく華奢だった母のドレスはサイズが合わないからとすべて処分された。
スフィーナの手元には何も残らず、胸にあるわずかな思い出だけだったから、こうして母の遺してくれたものに触れられたことが何よりも嬉しかった。
「お母様……。ありがとう」
涙を拭うスフィーナを心配そうに窺いながら、アンナが手紙と指輪とを見比べた。
「スフィーナ様。そちらはサナ様の形見だったのですか?」
「ええ。だけど、これを見たことはどうか口外しないでちょうだい。この文字は私とお母様の、秘密の暗号なの」
「わかりました。でも、偶然にも荷物に紛れて残っていて、本当によかったですね」
偶然、とはスフィーナには思えなかった。
何かを察していた母が自分の物とは別の場所にこうして隠しておいたのではないか。
敢えて木箱にぞんざいに入れることで、たいしたものではないのだと義母の興味を失わせるように。
そうして大事な指輪だからこそ、ずっと嵌めていたのにある時外しておいたのではないか。この指輪を守れるように。
スフィーナは指を広げ、右手の小指に嵌められた銀の指輪を眺めた。
それから左手でそっとそれを覆った。
きっとこの指輪ならミリーが欲しがることもないだろう。
スフィーナ以外には何の価値もない、ただの傷ついた指輪にしか見えないだろうから。
その時、窓をコンコンと叩く者があった。
幼馴染であり、婚約者のグレイグだった。
「グレイグ!」
スフィーナが駆け寄り慌てて窓を開けると、グレイグはその長身を屈めてひょいっと器用に窓からその身を滑り込ませた。
床に降り立つと、銀色の髪がさらりと揺れる。
黙っていれば冷たくも見える整った顔立ちのグレイグは、外目には王子のようであったが、剣を持たせれば同年代では右に出る者はいなかった。
現在も学生の身でありながら騎士団に見習い騎士として属しており、将来は騎士団長にもなるだろうと目されている。
「グレイグ様、またそのようなところからお出でになって……! 奥様に見つかったらまた面倒なことになりますよ」
「外には今誰もいないし、誰にも見られてないから心配はいらん」
慌てるアンナにひらひらと手を振り、こげ茶色の瞳をいたずらそうに笑ませたグレイグは、無遠慮にずかずかと入り込んできた。
「グレイグ、帰ったんじゃなかったの?」
毎日学院からの帰りはグレイグが馬車で送ってくれる。
今日も馬車を降りたところで手を振って別れたはずなのだが。
「庭師のウィルとたまたま会って話してたら、何やらまた何かあったと聞いてな。どんなものかと様子を見に来たんだが」
そう言ってグレイグはまだ隅に荷物の積まれた部屋をぐるりと見回し、あっけらかんと笑った。
「まるで秘密基地だな。何か面白いものでも出てきそうだし、これは暇つぶしにいい。俺も発掘に付き合いたいくらいだな」
面白がっていることがわかる口ぶりに、アンナはむっと視線を尖らせた。
「グレイグ様。秘密基地というのは本拠地があってこそのものです。スフィーナ様はこの物置部屋を本拠地とさせられたんですよ? 何が楽しいことがありますか!」
「まあ、ごもっともだな。だが見たところスフィーナも悪い顔はしていないぞ」
言われて、慣れたやり取りを続ける二人を見守っていたスフィーナはふふっと笑った。
「ええ。もう宝物も見つけてしまったの。お義母さまには感謝しているくらいよ」
そう言って右手の小指をそっと撫でた。
「ん? 指輪か。男にもらったんじゃないだろうな」
わかりやすく嫉妬の言葉を向けるグレイグに、アンナの前でもあり気恥ずかしくなったスフィーナは、赤らみかけた頬を隠すようにやや俯いた。
「そんなわけないってわかってるくせに。この部屋の隅に、忘れられたみたいに置かれていたのよ。お母様の手紙も一緒に入っていたわ。やっと形見と呼べるものを手にできたの」
「そうか、ならよかったな。探せばまだ掘り出し物があるかもなあ」
子供かと思うほどに楽しそうなグレイグに、スフィーナは笑いが込み上げた。
寝られればいいと思っていた部屋だが、ここで過ごすことが楽しみになってくるのだからグレイグはすごい。
グレイグはずっとスフィーナの味方だ。
子供の頃からずっと。
そんなグレイグが婚約者に決まったのは、スフィーナにとっては最も幸運なことだったかもしれない。
しかしこんな楽しそうな姿を見せるのは、スフィーナの前でだけだ。
唐突に部屋のドアがノックされ、スフィーナは慌ててグレイグを外に逃がそうとした。
しかし応えるよりも前にドアはガチャリと開けられた。
使用人はこんな無礼なことはしない。
ドアからひょいっと頭を覗かせたのは、くるくるでふわふわの赤毛。
橙色の瞳をきょろきょろとさせて部屋を見回したのは、スフィーナの義妹、ミリーだった。
24
お気に入りに追加
2,752
あなたにおすすめの小説
悪役聖女のやり直し~冤罪で処刑された聖女は推しの公爵を救うために我慢をやめます~
山夜みい
ファンタジー
「これより『稀代の大悪女』ローズ・スノウの公開処刑を始める!」
聖女として長年頑張って来たのに、妹に冤罪をかけられました。
助けてくれる人は誰もおらず、むざむざ殺されてしまいます。
目覚めた時、なぜかわたしは二年前の秋に戻っていました!
わたし、もう我慢しません。
嫌な仕事はやめます。わたしを虐めた奴らは許しません。
聖女として戻ってきてほしい? もう遅いです。
自業自得ですよね。あなたたちは勝手に破滅してください。
わたしは今、推し活で忙しいので。
死神と呼ばれる冷酷な公爵様と一つ屋根の下なので。
ふふ。
邪魔をする輩はどんな手を使っても排除しますね。
推しを救うためならどんな手だって使っちゃいますから。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
彼氏が親友と浮気して結婚したいというので、得意の氷魔法で冷徹な復讐をすることにした。
和泉鷹央
ファンタジー
幼い頃に住んでいたボルダスの街に戻って来たアルフリーダ。
王都の魔法学院を卒業した彼女は、二級魔導師の資格を持つ氷の魔女だった。
二級以上の魔導師は貴族の最下位である準士の資格を与えられ辺境では名士の扱いを受ける。
ボルダスを管理するラーケム伯と教会の牧師様の来訪を受けた時、アルフリーダは親友のエリダと再会した。
彼女の薦めで、隣の城塞都市カルムの領主であるセナス公爵の息子、騎士ラルクを推薦されたアルフリーダ。
半年後、二人は婚約をすることになるが恋人と親友はお酒の勢いで関係を持ったという。
自宅のベッドで過ごす二人を発見したアルフリーダは優しい微笑みと共に、二人を転送魔法で郊外の川に叩き込んだ。
数日後、謝罪もなく婚約破棄をしたいと申し出る二人に、アルフリーダはとある贈り物をすることにした。
他の投稿サイトにも掲載しています。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
僕は弟を救うため、無自覚最強の幼馴染み達と旅に出た。奇跡の実を求めて。そして……
久遠 れんり
ファンタジー
五歳を過ぎたあたりから、体調を壊し始めた弟。
お医者さんに診断を受けると、自家性魔力中毒症と診断される。
「大体、二十までは生きられないでしょう」
「ふざけるな。何か治療をする方法はないのか?」
その日は、なにも言わず。
ただ首を振って帰った医者だが、数日後にやって来る。
『精霊種の住まう森にフォビドゥンフルーツなるものが存在する。これすなわち万病を癒やす霊薬なり』
こんな事を書いた書物があったようだ。
だが、親を含めて、大人達はそれを信じない。
「あての無い旅など無謀だ」
そう言って。
「でも僕は、フィラデルを救ってみせる」
そして僕は、それを求めて旅に出る。
村を出るときに付いてきた幼馴染み達。
アシュアスと、友人達。
今五人の冒険が始まった。
全くシリアスではありません。
五人は全員、村の外に出るとチートです。ご注意ください。
この物語は、演出として、飲酒や喫煙、禁止薬物の使用、暴力行為等書かれていますが、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。またこの物語はフィクションです。実在の人物や団体、事件などとは関係ありません。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
【完結】『サヨナラ』そう呟き、崖から身を投げようとする私の手を誰かに引かれました。
仰木 あん
ファンタジー
継母に苛められ、義理の妹には全てを取り上げられる。
実の父にも蔑まれ、生きる希望を失ったアメリアは、家を抜け出し、海へと向かう。
たどり着いた崖から身を投げようとするアメリアは、見知らぬ人物に手を引かれ、一命を取り留める。
そんなところから、彼女の運命は好転をし始める。
そんなお話。
フィクションです。
名前、団体、関係ありません。
設定はゆるいと思われます。
ハッピーなエンドに向かっております。
12、13、14、15話は【胸糞展開】になっておりますのでご注意下さい。
登場人物
アメリア=フュルスト;主人公…二十一歳
キース=エネロワ;公爵…二十四歳
マリア=エネロワ;キースの娘…五歳
オリビエ=フュルスト;アメリアの実父
ソフィア;アメリアの義理の妹二十歳
エリザベス;アメリアの継母
ステルベン=ギネリン;王国の王
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる