30 / 43
第五章 国王陛下はお仕置きを始めます
4.カゲと王子 ※カゲ視点
しおりを挟む
王族には専属の護衛が付く。
前国王の王妃たちにも一人ずつ専属の護衛がいた。
王子たちは、ユーティスが十二歳のとき三人の護衛の中からそれぞれ選ばされた。
第二王子と第三王子はまだ幼かったため、代わりに王妃が選んだ。
並んでいたのは、頬に傷のある男、隻眼の男、他の二人に比べると小柄な男。だが集められた三人はいずれも精鋭で、実力は伯仲。国王とて全ての王子に生き残ってほしいと思っていたのだから護衛選びに手を抜くわけがない。
だが二人の王妃はその顔触れに眉を顰めた。顔に傷がある者が二人もいたからである。
それは己の身さえも守れないことを示していると捉えた。
だから第二王妃は小柄な男を選んだ。
第三王妃は後から選ぶしかなく、仕方なく頬に傷のある男を選んだ。片目を失うほどの傷を負うよりも頬で済んだ方が優秀なのだろうという判断だった。
仕方なく決めたのがありありとわかる態度に、頬に傷のある男はそのプライドをいたく傷つけられた。だが働きぶりを見てもらえれば認めてもらえるだろうという自負はあった。
残された隻眼の男は、ユーティスに自動的に割り振られることとなった。
さぞがっかりしていることだろう。男はそう思いユーティスに挨拶をしたが、顔を上げて驚いた。
ユーティスはキラキラとした目で男を見ていたのだ。
「かっこいい……」
ユーティスが好んで読んでいた小説に登場するヒーローが、同じく隻眼なのだという。
十二歳ともなるのに、幼い理由だった。さすが愚かな王子と呼ばれるだけのことはある、と思った。
男は苦笑したが、ユーティスはにこっとして言った。
「怪我をしたってことは、戦っても生き残ったってことでしょ? すごいことだよね!」
隻眼の男は驚いた。
そして傍にいるうち、だんだんとこの王子が愚かではないことがわかった。
仮面の下に怜悧な光を宿している。
仮面をかぶっているだけだと気が付いた。
その理由も次第に見当がついた。
この王子は王たる器を持ちながら、争いを避けるため弟王子に王位を譲ろうとしている。
そんなことも知らない古い友人たちは、「はずれに当たったな」と残念がったが、そうではないことは隻眼の男が最もよく知っていた。
たとえ王にならないとしても、この王子を守れることが誇らしかった。
◇
それから第二王子、第三王子が相次いで亡くなると、王子たちについていた護衛はお役御免となった。
だがたいして実力を発揮する機会もないまま、毒という手の出せない領域から主を守れず無力感にさいなまれる護衛達に、隻眼の男が声をかけた。
「お前たちも、第一王子の護衛にならないか」
二人はしばらく考えさせてくれと言った。
残った王族の護衛につく前例はあった。国王にも護衛が二人いた。そのうち一人は、亡くなった弟についていた護衛だった。
だが二人はユーティスに守る価値があるのか、見出だせないでいた。ただ、隻眼の男の自信溢れる様子を見るに、考える余地はありそうだと王宮を去る足を止めた。
それからある時、ユーティスが刃物を持った男に襲われた。
護衛としてついていた隻眼の男が別の男を相手にしている間に、影からもう一人現れたのだ。
しまった、と思う間に、傍にいた庭師の男がユーティスの前に躍り出た。
刃を受けた庭師は倒れたが、その間に隻眼の護衛が駆け付け、ユーティスに怪我はなく済んだ。
だが、庭師の男はその時の怪我により亡くなった。
ユーティスはその場ではうろたえもせず、医師を呼び、すぐさま応急処置をし、気丈に振る舞っていた。
部屋に戻って、庭師の男が亡くなったことを聞くと、ユーティスはベッドに泣き伏した。
それから涙を収め、隻眼の男に言ったのだ。
「俺は最初からおまえを選ぶつもりだった。何故だかわかるか」
わからない、と答えるとユーティスは涙に腫れた目で言った。
「それほどの傷を負ったものならば、知っているからだ。死の恐怖を」
そうして王の器をもった王子は言ったのだ。
「俺のために死んではならない。おまえは俺が守るべき国民だからだ」
それは約束できないことだった。
もうこの瞬間に、命を賭してでもこの少年を守ると心に決めてしまっていたからだ。
唇を引き結び、答えないままでいると、ユーティスはふいっと視線をそらし、もう一度言った。
「頼むから、死なないでくれ。俺のせいで誰かが死ぬのを見るのは、もう耐えられそうにない」
どんなに聡くても。どんなに愚かな仮面をかぶっても。
中身は柔らかい、優しい少年だった。
このときのことを見ていた二人の護衛は、新たにユーティスの護衛となることを決めた。
隻眼の男に連れられてきた二人を見て、ユーティスは言った。
「俺のために死なないと約束するならば、護衛として雇おう」
二人は了承を伝え護衛となった。
勿論、死ぬとすれば自分のためだからだ。主君を命を賭しても守ると決めた、自分のために。
そうして小柄な男は主に諜報を担当した。
頬に傷のある男は黒装束を身にまとい、忍んで陰から護衛をした。
隻眼の男はそれまで通り、目に見える場所でユーティスの護衛として立った。
護衛たちはユーティスに一つだけ言った。
「我々のことはカゲとお呼びください。我々に個はありません。ただの護衛です」
命を賭しても守ることは譲れないから。だから、何かあってもユーティスが悲しまないように。決して馴れ合わず、影から見守る。そう決めていたのだ。
だが、彼らがどんなに優秀でも、どれだけ鍛えていても、毒から守ることだけは困難だった。
刃には刃で立ち向かえる。
だがどこで混入されたかわからない毒を防ぐのは難しい。
怪しい動きがあれば諜報を担当するカゲが察知できる。だがユーティスの周りは常に人で囲まれているのだ。四方八方から毒殺を企てられてはその兆候すら掴むのは難しい。
◇
「だから、毒に詳しいあなたが王妃と決まり、我々は心底から喜んだのですよ。それに、あなたは陛下が何年もの時をかけて見守り、傍に置こうとした人ですから」
「ハイハイ、毒の知識なら人並み以上に持ってますよ。味方になるって約束もしたしね。それでまさか王宮にまで来ることになるとは思ってもみなかったけど。まあ、宝の持ち腐れにならなくてよかったと思うことにしたわ」
諦めたようにため息を吐くリリアに、頬に傷のあるカゲは黒装束の下で小さく笑った。
この婚約者はあれほどまでに想われているのに、気づきもしない。ユーティスも苦労することだと思った。
ああしてユーティスが意地の悪いことばかり言うからなのだが、それも傍に置きたいのに突き放さなければならないと長く葛藤してきたせいなのだろうと察していた。
だがそこは護衛たちの口出しすべき場所ではない。
「ところで。カゲたちがユーティスを心から慕って守ろうとしてくれてるのはよくわかった。だからこそ、頼みたいことがあるんだけど、聞いてくれる? 勿論、返事はユーティスに相談してからでかまわない」
「それはかまわんが」
「ある薬屋を調べてほしいの」
さすがはユーティスが一生を共にすると決めた人だ。
守られるためにここにいるのではないと覚悟を決めているだけあって、もう何かを掴んだらしい。
カゲはにっと口の端を吊り上げて笑った。
「わかった。話を聞こう」
だがリリアの顔色は暗い。
「ありがとう。そこは、ドライフルーツなんかも置いている店なんだけどね――」
前国王の王妃たちにも一人ずつ専属の護衛がいた。
王子たちは、ユーティスが十二歳のとき三人の護衛の中からそれぞれ選ばされた。
第二王子と第三王子はまだ幼かったため、代わりに王妃が選んだ。
並んでいたのは、頬に傷のある男、隻眼の男、他の二人に比べると小柄な男。だが集められた三人はいずれも精鋭で、実力は伯仲。国王とて全ての王子に生き残ってほしいと思っていたのだから護衛選びに手を抜くわけがない。
だが二人の王妃はその顔触れに眉を顰めた。顔に傷がある者が二人もいたからである。
それは己の身さえも守れないことを示していると捉えた。
だから第二王妃は小柄な男を選んだ。
第三王妃は後から選ぶしかなく、仕方なく頬に傷のある男を選んだ。片目を失うほどの傷を負うよりも頬で済んだ方が優秀なのだろうという判断だった。
仕方なく決めたのがありありとわかる態度に、頬に傷のある男はそのプライドをいたく傷つけられた。だが働きぶりを見てもらえれば認めてもらえるだろうという自負はあった。
残された隻眼の男は、ユーティスに自動的に割り振られることとなった。
さぞがっかりしていることだろう。男はそう思いユーティスに挨拶をしたが、顔を上げて驚いた。
ユーティスはキラキラとした目で男を見ていたのだ。
「かっこいい……」
ユーティスが好んで読んでいた小説に登場するヒーローが、同じく隻眼なのだという。
十二歳ともなるのに、幼い理由だった。さすが愚かな王子と呼ばれるだけのことはある、と思った。
男は苦笑したが、ユーティスはにこっとして言った。
「怪我をしたってことは、戦っても生き残ったってことでしょ? すごいことだよね!」
隻眼の男は驚いた。
そして傍にいるうち、だんだんとこの王子が愚かではないことがわかった。
仮面の下に怜悧な光を宿している。
仮面をかぶっているだけだと気が付いた。
その理由も次第に見当がついた。
この王子は王たる器を持ちながら、争いを避けるため弟王子に王位を譲ろうとしている。
そんなことも知らない古い友人たちは、「はずれに当たったな」と残念がったが、そうではないことは隻眼の男が最もよく知っていた。
たとえ王にならないとしても、この王子を守れることが誇らしかった。
◇
それから第二王子、第三王子が相次いで亡くなると、王子たちについていた護衛はお役御免となった。
だがたいして実力を発揮する機会もないまま、毒という手の出せない領域から主を守れず無力感にさいなまれる護衛達に、隻眼の男が声をかけた。
「お前たちも、第一王子の護衛にならないか」
二人はしばらく考えさせてくれと言った。
残った王族の護衛につく前例はあった。国王にも護衛が二人いた。そのうち一人は、亡くなった弟についていた護衛だった。
だが二人はユーティスに守る価値があるのか、見出だせないでいた。ただ、隻眼の男の自信溢れる様子を見るに、考える余地はありそうだと王宮を去る足を止めた。
それからある時、ユーティスが刃物を持った男に襲われた。
護衛としてついていた隻眼の男が別の男を相手にしている間に、影からもう一人現れたのだ。
しまった、と思う間に、傍にいた庭師の男がユーティスの前に躍り出た。
刃を受けた庭師は倒れたが、その間に隻眼の護衛が駆け付け、ユーティスに怪我はなく済んだ。
だが、庭師の男はその時の怪我により亡くなった。
ユーティスはその場ではうろたえもせず、医師を呼び、すぐさま応急処置をし、気丈に振る舞っていた。
部屋に戻って、庭師の男が亡くなったことを聞くと、ユーティスはベッドに泣き伏した。
それから涙を収め、隻眼の男に言ったのだ。
「俺は最初からおまえを選ぶつもりだった。何故だかわかるか」
わからない、と答えるとユーティスは涙に腫れた目で言った。
「それほどの傷を負ったものならば、知っているからだ。死の恐怖を」
そうして王の器をもった王子は言ったのだ。
「俺のために死んではならない。おまえは俺が守るべき国民だからだ」
それは約束できないことだった。
もうこの瞬間に、命を賭してでもこの少年を守ると心に決めてしまっていたからだ。
唇を引き結び、答えないままでいると、ユーティスはふいっと視線をそらし、もう一度言った。
「頼むから、死なないでくれ。俺のせいで誰かが死ぬのを見るのは、もう耐えられそうにない」
どんなに聡くても。どんなに愚かな仮面をかぶっても。
中身は柔らかい、優しい少年だった。
このときのことを見ていた二人の護衛は、新たにユーティスの護衛となることを決めた。
隻眼の男に連れられてきた二人を見て、ユーティスは言った。
「俺のために死なないと約束するならば、護衛として雇おう」
二人は了承を伝え護衛となった。
勿論、死ぬとすれば自分のためだからだ。主君を命を賭しても守ると決めた、自分のために。
そうして小柄な男は主に諜報を担当した。
頬に傷のある男は黒装束を身にまとい、忍んで陰から護衛をした。
隻眼の男はそれまで通り、目に見える場所でユーティスの護衛として立った。
護衛たちはユーティスに一つだけ言った。
「我々のことはカゲとお呼びください。我々に個はありません。ただの護衛です」
命を賭しても守ることは譲れないから。だから、何かあってもユーティスが悲しまないように。決して馴れ合わず、影から見守る。そう決めていたのだ。
だが、彼らがどんなに優秀でも、どれだけ鍛えていても、毒から守ることだけは困難だった。
刃には刃で立ち向かえる。
だがどこで混入されたかわからない毒を防ぐのは難しい。
怪しい動きがあれば諜報を担当するカゲが察知できる。だがユーティスの周りは常に人で囲まれているのだ。四方八方から毒殺を企てられてはその兆候すら掴むのは難しい。
◇
「だから、毒に詳しいあなたが王妃と決まり、我々は心底から喜んだのですよ。それに、あなたは陛下が何年もの時をかけて見守り、傍に置こうとした人ですから」
「ハイハイ、毒の知識なら人並み以上に持ってますよ。味方になるって約束もしたしね。それでまさか王宮にまで来ることになるとは思ってもみなかったけど。まあ、宝の持ち腐れにならなくてよかったと思うことにしたわ」
諦めたようにため息を吐くリリアに、頬に傷のあるカゲは黒装束の下で小さく笑った。
この婚約者はあれほどまでに想われているのに、気づきもしない。ユーティスも苦労することだと思った。
ああしてユーティスが意地の悪いことばかり言うからなのだが、それも傍に置きたいのに突き放さなければならないと長く葛藤してきたせいなのだろうと察していた。
だがそこは護衛たちの口出しすべき場所ではない。
「ところで。カゲたちがユーティスを心から慕って守ろうとしてくれてるのはよくわかった。だからこそ、頼みたいことがあるんだけど、聞いてくれる? 勿論、返事はユーティスに相談してからでかまわない」
「それはかまわんが」
「ある薬屋を調べてほしいの」
さすがはユーティスが一生を共にすると決めた人だ。
守られるためにここにいるのではないと覚悟を決めているだけあって、もう何かを掴んだらしい。
カゲはにっと口の端を吊り上げて笑った。
「わかった。話を聞こう」
だがリリアの顔色は暗い。
「ありがとう。そこは、ドライフルーツなんかも置いている店なんだけどね――」
0
お気に入りに追加
1,506
あなたにおすすめの小説
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです
果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。
幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。
ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。
月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。
パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。
これでは、結婚した後は別居かしら。
お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。
だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる