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最終章 / チャラ神様、謎の声といよいよ最後の決戦です!!

其の六

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 それから、暫く。
 天人は一時的に還っていた天上界で色々パワーアップしたらしく、不思議な加護と術の力を使い、私がイメージした場所へひとっとびワープさせてくれた。苦しい山越えは覚悟していたのに、あっさり「そんな事する必要ない、まあ見てろ」と、ニヤリと笑って勾玉を掲げたら、あっという間に目的地。便利な世の中というか、神様の力というか。

「坊主、アンタこんな便利な術が使えるんだったら、最初から使いなさいよね」

 折角役に立ったのに、ミケに怒られていた。まあ、今までが今までなだけに。

「あ”? お前バカか。最近、やっと術が使えるようになったんだよ! 最初からできてりゃ、誰も苦労しねえって!」

「威張って言う事ちゃうやん」

「ウルセーよ。運んでやったんだから、文句言うな」

 最終決戦だというのに、このわちゃわちゃ感・・・・。まあ、私達らしいかな。

「それより、気を引き締めて行くぞ! この奥に・・・・きっとヤツはいる。お守りは持ってるか?」


「モチロン」
「ちゃんと着けてるねん」
「ええ、大丈夫よ」

 行くぜ、と先頭の天人が一歩踏み出した。目の前の集落の入り口は、寂れた廃村そのものだ。特に不穏な空気ではない。でも、この奥に極夜がいるのね。

 一歩一歩踏みしめる。必要以上の力が入り、握った拳の指の先が掌に食い込む。
 廃集落に足を踏み入れた時だった。今までとは違う、恐ろしい闇の空気が辺り一面に広がり、目の前の仲間たちが全く見えなくなった。

「うそっ! ミケ! じぞーちゃん!! どこっ、天人!!」

 すぐ前を歩いていたはずの天人の背中に手を伸ばしても、空を切る。

 はぐれた?
 こんな短時間で?

 いや・・・・そんな筈はない。これはきっと、幻だ!

 そう思ったら、左腕に着けた数珠が光っている。思考がおかしくならないように、神様のご加護が効いているのだ。そう思って目を閉じ、焦らず深呼吸した。

 大丈夫。落ち着いて。きっと打開策はある。みんなも、大丈夫だって信じて。
 敵陣に乗り込んだのだ。今までのようにはいかないってワケね。上等じゃない!
 私達は、絶対に負けないから!!


――やはり、お前が一番厄介だな。天海神奈。


 頭に声が響いた。謎の声・・・・極夜(きょくや)だ!


 
「極夜ね。貴方・・・・どうしてこんな酷い事をするの!」

――酷い? 酷いのはお前たち人間の方だろう!

 ビリビリと空気が震え、集落全体の木々が震えた。ごおおお、と恐ろしい風の音を立て、悲しみの気が辺りを包んでいく。

――まあいい。ここまでやって来た褒美だ、天海神奈。お前に、絶望を見せてやろう。心を砕き、我にひれ伏せろ!


 雷鳴が轟(とどろ)き、光の先に彷徨うじぞーちゃん、ミケ、天人の姿が映し出された。

「じぞーちゃん! ミケ! 天人!!」

 三人はそれぞれ、薄暗い森の中を彷徨っている。私の声は聞こえない。
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