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三章 / 仲間が出来ましたが、どうにも人間じゃないようです?
其の八
しおりを挟む「ちょっと・・・・ちょっと、そこのアナタ!!」
今、目の前を真っ暗にして神様に文句を言っていた私の思考を現実に引き戻したのは、すぐそばにちょこんと座ったミケ猫の声だった。これは・・・・天人のお父様が言っていた悪しき力・・・・ではなさそうだ。
「お喋りできるのでしょう? 名を名乗りなさい」
「わ・・・・私?」
「アナタの他に、誰がいるというの」
「わ、私は天海神奈と申します・・・・」
何故かミケ猫に対して、敬語になってしまった。
「神奈ね。オーケー。素敵な名前ね。私はミケ。最愛のイケメンマイダーリン(ご主人様)が私に付けてくれた名前なの。いい名前でしょう?」
「はい、それはとても」
ミケ猫だからミケと付けたのだろう、と容易に想像できた。イケメンご主人様のネーミングセンスは皆無なんて言おうものなら、とんでもなく叱責されそうだから黙っておく事に。本人が良いと言っているのだから、いいのだろう。
「まあ! 神奈はとても素直でいい子ね。気に入ったわ。で、そっちの役立たずの坊主は?」
ぼ・・・・坊主・・・・。その台詞にカチンと来たのか、天人が予想通り怒り出した。
「あ”? 誰が坊主だよ! 俺は天人(あまと)だ。因みに職業神様」
神様って職業だったのか。初めて知った。もう、ツッコむ気も出ない。
「神様?」フン、とミケが鼻を鳴らしてバカにした。「アタクシの姿も声も聞こえてなかった分際で神様を名乗るなんて、出来損ないもいい所ね」
「んだよコラ。猫の分際でエラソーに! 俺に喧嘩売ってんのか? 叩き斬るぞコノヤロー」
「出来損ないの分際でアタクシを倒そうなんて、千年早いわよ」
「あ? 俺を何歳だと思ってるんだ! 二千年越えだぞ!」
「じゃあ一万年早いわ。これでどうかしら?」
「年齢で言うと俺の方が勝ちだろ。お前何歳だよ!?」
「記憶が無いのよ。年齢なんか覚えちゃいないわ。まあ、二万歳ってところかしら」
「二万。ハッ、笑わせやがる」天人が勝ち誇ったような顔を見せた。「そしたらお前、シワシワのババア猫じゃん。そんなの、イケメンダーリンか何だか知らねえけど、飼い主も嫌がるだろーに。ケケケ」
「何ですって! よくもアタクシをバカにしたわね、ブス男の分際で!」
「あ”あ”あ”あ”――ん? ブスだあ!? 俺みたいなイケメン捕まえて、何言ってやがる! 本気で斬るぞ、コラあ!」
「イケメン?」フン、とバカにしたようにミケが言った。「鏡見て出直して来なさい」
何この低レベルな戦いというか、口論。まるで小学生の喧嘩・・・・。
猫はまだしも、神様のする事じゃないよね。
「はぁ・・・・。アンタみたいなブスと喋っていたら、ブスが移っちゃう。あっち行ってちょうだい」
「あ”あ”!? マジでヤル気だなこのクソ猫っ・・・・冷てっ、ひいっ、痛いよ神奈!」
「不毛な争いは止めなさい」
軽く念じて天人に冷気を浴びせ、喧嘩を制止した。
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