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二章 / 天上界に還る為、人間界でアルバイト(修業)始める事にしました!
其の四
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結局チャラ神様――もとい、天人を一人で現地に派遣させる訳にはいかないので、正装して巫女の恰好(私もアルバイトだけど)となった。結局天人にも神様の衣装を着用してもらい、連れだって町はずれへとやって来たのだ。
こうしていたら、一応『清めとお祓いができる一行』に見えるから。私がこの格好だと、何とか誤魔化せる。
天人に宮司の恰好をさせる訳にもいかないので、結局自前の衣装を着用して貰ったのだ。
まあ、こういう時は神様の衣装の方が大層で見た目が派手でいいわ。
「何か感じる?」
町はずれの雑木林に到着したので、天人に聞いてみた。
「んにゃ」
「・・・・あっそ」
「昼でも薄気味悪ぃな、ここ」
「そうね。禍々しいとまではいかないけれど、不穏な空気を感じるわ」
町はずれのこの辺り一体、不穏な空気に包まれている。あまり良くない気が漂っていると思う。
――ううう・・・・出してーやー。
「天人、何か言った?」
「んにゃ、何も」
能天気にしているけれどこの男、役に立つのだろうか。
用心しなきゃと思い、持参したお祓い用の鈴を握りしめた。
――お供え物、何でもいいから出してーやぁー。
「やっぱり何か聞こえる! 天人、そっち見て!」
彼には何も聞こえていないようで、
をひねりながら走って行った。
神様・・・・なのよ、ね? 一応。
どうして今の声、聞こえなかったのかしら。
「なーんも見えないし、居なかったけど」
軽く辺りを調査した天人が、手ぶらで戻って来た。
・・・・本当に神様なのかな。謎を感じる台詞だ。
――お腹空いてるねん。
「やっぱり聞こえるわよ! ハッキリ聞こえた! お腹が空いてるって言ってるみたい」
自分で行こう。この目で確かめなきゃ。
昨日天人が遠慮なく食べ尽くした特上寿司十人前の代金、お祓いの結果が奮わずに駒井さんから請求されたら困る!!
声のする方へ恐る恐る進んでみた。この辺りは鬱蒼(うっそう)とする雑木林があり、手入れがされていないから荒れ放題になっている。
それにしてもこの不穏な空気。そして謎の声は、一体どこから・・・・?
――聞こえてるんやろー? お供え物、早く出してー。
お供え物?
えっ。どういう事?
不気味な雑木林を更に奥へ進んだ。天人も後から付いて来てくれている。あんなのでも、居ないよりマシだと思った。例え役に立たなくても、変な声が聞こえているから怖いし、心細いからね。
暫く進むと、お地蔵様が奉ってある場所に着いた。小さな祠に安置されている筈のお地蔵さまは、祠が壊れてしまったせいで外へ転がっていて、剥き出しの状態になっている。辺りも綺麗な状態ではなく、放置されたままで無残な状態だ。
勿論、お供え物なんかひとつもない。昔飾ってあったであろう花も枯れ果て、お酒やお水の瓶は倒れ、壊れていた。
「酷い・・・・」
誰も参り手が居なくて、こんな風になってしまったのかな。
崩れたお堂を見つめていると、悲しい気持ちになってくる。
こんな状態のお地蔵様が動いたり、何か不思議な現象を起こしているなんて・・・・。
こうしていたら、一応『清めとお祓いができる一行』に見えるから。私がこの格好だと、何とか誤魔化せる。
天人に宮司の恰好をさせる訳にもいかないので、結局自前の衣装を着用して貰ったのだ。
まあ、こういう時は神様の衣装の方が大層で見た目が派手でいいわ。
「何か感じる?」
町はずれの雑木林に到着したので、天人に聞いてみた。
「んにゃ」
「・・・・あっそ」
「昼でも薄気味悪ぃな、ここ」
「そうね。禍々しいとまではいかないけれど、不穏な空気を感じるわ」
町はずれのこの辺り一体、不穏な空気に包まれている。あまり良くない気が漂っていると思う。
――ううう・・・・出してーやー。
「天人、何か言った?」
「んにゃ、何も」
能天気にしているけれどこの男、役に立つのだろうか。
用心しなきゃと思い、持参したお祓い用の鈴を握りしめた。
――お供え物、何でもいいから出してーやぁー。
「やっぱり何か聞こえる! 天人、そっち見て!」
彼には何も聞こえていないようで、
をひねりながら走って行った。
神様・・・・なのよ、ね? 一応。
どうして今の声、聞こえなかったのかしら。
「なーんも見えないし、居なかったけど」
軽く辺りを調査した天人が、手ぶらで戻って来た。
・・・・本当に神様なのかな。謎を感じる台詞だ。
――お腹空いてるねん。
「やっぱり聞こえるわよ! ハッキリ聞こえた! お腹が空いてるって言ってるみたい」
自分で行こう。この目で確かめなきゃ。
昨日天人が遠慮なく食べ尽くした特上寿司十人前の代金、お祓いの結果が奮わずに駒井さんから請求されたら困る!!
声のする方へ恐る恐る進んでみた。この辺りは鬱蒼(うっそう)とする雑木林があり、手入れがされていないから荒れ放題になっている。
それにしてもこの不穏な空気。そして謎の声は、一体どこから・・・・?
――聞こえてるんやろー? お供え物、早く出してー。
お供え物?
えっ。どういう事?
不気味な雑木林を更に奥へ進んだ。天人も後から付いて来てくれている。あんなのでも、居ないよりマシだと思った。例え役に立たなくても、変な声が聞こえているから怖いし、心細いからね。
暫く進むと、お地蔵様が奉ってある場所に着いた。小さな祠に安置されている筈のお地蔵さまは、祠が壊れてしまったせいで外へ転がっていて、剥き出しの状態になっている。辺りも綺麗な状態ではなく、放置されたままで無残な状態だ。
勿論、お供え物なんかひとつもない。昔飾ってあったであろう花も枯れ果て、お酒やお水の瓶は倒れ、壊れていた。
「酷い・・・・」
誰も参り手が居なくて、こんな風になってしまったのかな。
崩れたお堂を見つめていると、悲しい気持ちになってくる。
こんな状態のお地蔵様が動いたり、何か不思議な現象を起こしているなんて・・・・。
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