【R18】リバース!? ～美少女ヒーローに迫るのは、実はイケメンヒロインです～

第１６話 ～海里くんと卓くん～

Side・新庄海里/その２

　
「そんな訳ないだろう、冗談じゃない！　すぐに政海へ鞍替えすようなお前が偉そうに言うな」

「おーコワ。何怒ってんのか知んねーけどさ。今から歌うんだから、もうちょっと穏やかに行こうぜ」

　肩をすくめて卓がため息を吐いた。ああ、腹立つ！
　よくよく考えらた卓は何も悪くないのだが、何故か八つ当たりみたいにしてしまう。
　しかし私の妄想はきっと当たっている筈だ。近い未来、卓は政海に････。
　OH,GOD！


　いや待て！　そうだ！　名案を思い付いたぞ！


　コラ。誰が迷案だ。この名案が明暗を分けるんだ！
　つまらないダジャレはともかく。
　私の名案はコレだ！
　卓のすぐ傍に、政海以外のもう一人がいるじゃないか!!


　その名も　MNR（美　乃　梨）！


　そうだそうだそうだ。美乃梨と卓をくっつけるんだ！
　卓はすぐに琴里（わたし）から政海に乗り換えるような、切り返しの超早いふざけた男だ。しかし根はイイヤツだから、友人の美乃梨にあてがっても問題はない。


　うおおお、私、ナイスナイスナイス！
　これで今までの心労は吹っ飛ぶぞ！
　はー。何て名案を思いつくんだ、この場面で！（決して迷案ではないぞ！）
　もう最高。本当に最高！


「卓、怒って悪かった。何でもないんだ。ちょっと頭痛がしていたんだけど、もう治った！　今は本当に、心から晴れやかな気分だ。もう、絶好調だ！　しっかり歌うぞ！」


　鬼から一転、にこやかな笑顔を彼に見せ、マイクスタンドを握りしめた。
　今なら何でも歌えそうだ！　ドンと来い！



　よーし、練習に励むぞ――！
　やっぱり合宿SK（最　高）――――っ!!




　てなワケで、それからの私は無敵だった。
　歌、パーフェクト！（但し今のレベルでの話だから、大したことはないけど）
　時折政海に絡んだり、私を意識して欲しくて政海へのアプローチを頑張ったり。

　そんなこんなで、もう夕方だ。今日の練習はお開きで、みんなでBBQを開催する事にした。
　わいわいがやがやと、みんなで楽しく準備を行った。時折琉斗と梅香がラブい雰囲気を醸し出すが、そんなのもう私には関係ない！　寧ろライバルが一人減って、万々歳だ！
　しかしどういう気持ちの変化があり、梅香は琉斗と付き合おうと思ったんだろうか。残念では無いが、私にアプローチしてくれていたのは、割と最近までだった。それが････。

　やっぱり卓のように、心変わりするのか!?
　早いなっ！
　女心は秋の空というのは本当だな！
　そんなもんなのか。イマドキの若い者は。

　しかし私は身体は女だけれど、心は男だから鞍替えはしないぞ！
　私は政海一筋だから、惑わされない。誰にも。