【R18】リバース!? ～美少女ヒーローに迫るのは、実はイケメンヒロインです～

第１４話 ～海里くんと美羽先生～

Side・新庄海里/その４

　
「おいっ、助っ人！　早くさっきのスーパーコントロールで恭一郎のコートへサーブしてくれ！」

　面倒な男――おーちゃん――のコート内に呼ばれた。うわー、巻き込むのやめて欲しいー。

「おーちゃん、恭先生も、もう止めた方がいいよぉー。美羽先生に怒られるよー」

　アイリがおーちゃんに向かって言った。

「だからさっさとケリつけんだよ！　あと一点取ったら俺の勝ちなんだ！　さ、早く」

　子供に止められているのに、おーちゃんは試合続行を選択している。何という大人げない男なのだ。

「あの、もう二人の勝負っぽいし、悪いけど手助けできないよ。私は外で見てるから」

　巻き込まれたくないので、参加は辞退した。

「チッ。仕方ねえな。だったら俺の渾身のスーパーウルトラメガトンサーブでお前を倒す！」

「フン。百万年早い」

「あ？　サッカー以外ならお前に負けねえよ！　素人相手にプロもどきが本気出しやがって、それで勝って喜ぶなんて、本当に大人げない男だ。男の風上にも置けないヤローだぜ！　美羽のアニキだなんてとても思えないし、菫（すみれ）もこんな男のどこが良いんだか」

　おーちゃんも相当大人げないぞ。どっちもどっちにしか見えん。
　

「プロとかアマとか、そんな事は関係ない。勝負は全力を尽くすものだ」

「言ったな！　恭一郎、覚悟――」


　大きくボールを放り投げ、恭先生にめがけておーちゃんがサーブを放とうとした瞬間、ピピー、と物凄く大きな笛の音が施設の建物の方から聞こえてきた。


「アンタたち、何やってんの！　今すぐ止めなさい!!」


「ああー。だから止めといたほうがいいって言ったのにぃ。美羽先生、超怒ってるぅー」


　アイリが、アチャー、という顔を見せて肩をすくめた。
　コート内にいた二人の男は、施設から大急ぎで現れた女性に超特大の雷を落とされ、こっぴどく叱られていた。

　大の男を二人も叱りつけた女性は、うすい茶色の髪色で、ストレートの長い髪。ぱっちりとした大きな目は力強く、洗礼された大人の魅力を金揃えていた。
　政海がガン見していた、商店街ですれ違ったあの美人な女性――彼女が、櫻井美羽先生だと後で聞いた。