【R18】リバース!? ～美少女ヒーローに迫るのは、実はイケメンヒロインです～

第１２話 ～琴里ちゃんと卓くん～

Side・新庄海里/その２

　いかーん。また私は、少し前に見た風呂場の悪夢を自分で再現してしまいそうになる。
　日に日に政海への欲情が抑えられなくなっているんだ。
　もう、心は完全にヤローだな。身体は女なのに。皮肉なものだ。

　神よ。願いが叶うなら、どうか私の身体を男に――って、待て。私だけ男になったら、男（私）×男（政海）で、BLになっちゃうぞ！
　お願いするなら、政海もセットでリバースして貰わなきゃだな。

　相当どうでもいい事を考えながら、琴里の支度を整えた。

　準備が出来たので、早速出発した。政海は本気で可愛く仕上がっている。
　またこれが、本当に可愛いんだ。
　海里の姿でエスコートしたい！　政海と二人でデートしたい！
　もれなく付いてくる、軽音サークルのゆかいななかまたちが邪魔だ！
　何とかならねーのか！
　くそ。琉斗が政海に指一本でも触れてみろ。ただじゃおかねーぞ!!


　絶対、絶対、ぜーったい、琉斗が政海に近づかない様に、全身全霊を賭けて邪魔してやるからな！





　※




　
「準備は出来たか？」

「うん！　バッチリ！」

「よし、行くぞ」

　琉斗の邪魔をしてやろうと、意気込んでしあわせ荘を出発した。待ち合わせは現地だ。セントラル駅（私達が住んでいる架空の街の最寄り駅）から電車で行ける、東京ランドという遊園地があるんだ。ここへ行く。
　GWだから電車が結構混雑していた。現地も相当混雑しているだろう。
催し物も色々あるみたいだから、楽しい一日になればいいけれど。さあ、どうなる事やら。

「わっ」

　混雑した車内で政海がぐいっと押された。必然的に政海が私の方に押し付けられる。
　ぎゅうぎゅうと苦しいが、政海がこんなに近くにいる。これは大義名分で、決してわざとでは無いのだ。役得、役得。

　暫くそんな状態が続いたが、ちょっと、何か変だぞ、と思った。
　さっきから、私のお尻の方でゴソゴソゴソゴソ何かが動くんだ。

　ん？
　これはもしや････？

　誰かが私のお尻を触っているぞ！
　読これが噂の痴漢ってヤツか！

　私のお尻を触るなんて、いい度胸してんじゃねーか。か弱く大人しい女子とは違うんだ。見た目は男（今は女だけど）、身体は女、その名も新庄海里！（←名探偵コナン風に言ってみて！）
　心も男（時々女になる時あるけど）だし。か弱い女子の敵は、この私がいっちょ、捕まえてやる！

「ちょっと――」と、言いかけたら、先に政海の鋭い声が上がった。


「彼女に触るなっ！　ゲス野郎っ!!」


　ぐいっと物凄い力で引き寄せられ、政海に抱きかかえられる形になった。
　そしてすぐさま、私に痴漢を働いた男に渾身の膝蹴りを喰らわせた。

「ぐおっ････」

　若そうな男は股間を押さえ、膝から崩れ落ちた。混雑していた車内に、この辺りだけ若干空間が出来た。みんな、遠巻きに私達の様子を見ている。
　うわあー。私は男では無いからその痛みは解らないけど、相当痛そう････。痴漢男の顔は、一気に青ざめていた。