【R18】リバース!? ～美少女ヒーローに迫るのは、実はイケメンヒロインです～

第１１話 ～政海ちゃんと卓くん～

Side・斎賀政海/その５

　
「ハッキリ言えよ。歯切れわりーな」

「だからっ。私は、政海にとんでもない事を････してしまったようなんだ。風呂でのぼせて、彼女を押し倒してしまったような････気がするんだ。こんな危険な私と一緒に居たら、政海が傷つくだろう。だから、距離を取ろうと思って････」

「海里っ!!」

　堪らず僕は飛び出した。僕の姿を見た海里ちゃんは、驚いて目を見張った。
　海里ちゃんは何か誤解しているみたいだから、ちゃんと自分の口からそれは誤解だ、って言わなきゃ！


「押し倒したって、一体何？　僕、何もされていないよっ！　ていうか、僕が海里ちゃ････を触ったというか････ごめんっ！　僕、反省してる！　やましい気持ちなんてこれっぽっちも無いから!!　あれは事故だから、赦して！　本当にゴメン！　また、元通りの海里になってよぉ････」


　OSS（おっぱい　触って　しまった事）を謝り、堪らずボロボロ泣いてしまった。海里ちゃんに知らんぷりされるのが、こんなに辛い事だったなんて、思いもしなかった。
　海里ちゃんが好きだから、余計に辛い。

「ホラ、なにボサッと突っ立ってんだよ！　可愛い女の子をこれだけ泣かせて、男だったらキッチリ謝れ！」

　卓君が、僕の前にぐいぐいと海里ちゃんを押し出してくれた。

「百パー海里が悪い。とにかくどんな理由があっても、可愛い女の子は泣かしちゃいけねえ。お前が謝れ」

　いやごめんね、中身は男なんだけど。
　心の中で謝罪しておいた。

「あ、ああ････」

　海里ちゃんが頭をぼりぼりと掻きながら、政海、と言ってくれた。

「その････ごめん。私はてっきり、政海に酷い事をしてしまったのかと････泣かせてしまったから、傷つけてしまったんじゃないかって････本当に、何もしていないのか？」

「何もしてないよっ！　そう言いたくても、全然話を聞いてくれないし、怖い男の人にはいっぱい絡まれるのに海里は全然助けてくれないし、困っていたんだよっ！」

「そうか、ごめん」

「もういいからっ！　ちゃんと僕の顔を見て話をして！　聞いて！　もう二度とこんな事しないって約束して!!」

「わ、解った。約束する。政海････ごめん」

「もういいよ」

「くくっ。ここだけ聞いてりゃ、まるで浮気を責められている男みたいだな、お前」

　ぐしゃぐしゃと海里ちゃんの頭を、卓君が乱暴に撫でた。

「やめろっ。セットが乱れる」

「もう政海を泣かすんじゃねーぞ」

「卓････すまない。手間をかけたな。それから、ありがとう」

「いいって事よ。俺は可愛い女の子の味方だから。じゃ、後は二人で話せよ」

　卓君は爽やかに笑って去ろうとしたけれど、おっと、忘れてた、と僕の方に戻って来て耳打ちした。「政海、後でお前に会いに店に行くから、今度は俺の相談乗ってくれよな」


　メイリーン――メイド喫茶の方――にわざわざ僕に会いに来るなんて、一体なんだろう？