【R18】リバース!? ～美少女ヒーローに迫るのは、実はイケメンヒロインです～

第６話 ～琴里ちゃんと政人くん～

Side・新庄海里/その５

　
「海里、それ今は男の僕の台詞でしょ」

「今はな。でも今日はやむなしだ。普段は政海が女で、私が男だろう」

　何という会話だろうか。普通の会話じゃねーよな。これ。

「あははっ。本当だね。でも今日は違うよ。海里は女の子だ」

　思った以上に鋭い目線。政海のクセに････こんなカッコイイ顔できたのかよっ。
　またドキドキさせられて、悔しくなった。今日の私は、乙女モードが全開になっているらしい。逆リバースのせいだっ。

　
「そういえば、何のCD買ったんだよ」

　政海から意識を反らすとCDショップ袋が目についたので、聞いてみた。

「あ。えーっとね、携帯ショップの外で流れていた曲だよ。綺麗な曲だったから買ったんだけど、アルバムのタイトルがよく解らないんだ。どういう意味なのかなぁ」

「どれ」

　さっき政海が買ったばかりのCDを袋から取り出して見た。『la fleur blanche』と書いてある。これはフランス語だ。

「政海、これはフランス語だ。『la fleur blanche（ラ フルール ブランシュ）』って読むんだ。意味は『白い花』。綺麗なタイトルだな。ジャケット通りだ」

　海外の海辺で、白い花が散らしてある写真がジャケットだった。顔写真なんかは付いていない。そういえばさっき、携帯ショップの外で綺麗な曲が流れていた。このCDがそうなのか。

「流石海里だ。スラスラっと読んじゃうんだもん」

「一応お嬢様で通していたからな。勉強もそれなりにはやっていたし」

「僕だって普通に勉強してたけれど、落ちこぼれの部類だったよ。君がいなきゃ、大学落ちてた」

「政海の母親に泣きつかれちゃ、放っておけないだろ」

　今となっては、良かった。折り合いがつくまでは、政海の傍にいられるから。

「僕さ、もっと色々頑張るよ。もっとカッコイイ男になる」

「ん。女じゃなくて？」

「そう。どっちも頑張るんだ」

「どっちも？」

「政人の時は政人を、政海の時は政海を頑張る。もっと自信つけたらさ、色々････できるんじゃないかなって思うんだ。だから、どんなことでも一生懸命頑張るよ」

「そっか。頑張れ」

　政海らしいな。性別がリバースしちゃったから、色々悩んで、色々手探りで頑張ろうと思っているんだろう。私も、頑張ろう。政海に負けないように。