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スマイル40・王様の王様VS女王とお供
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私が町田さんの所から貰っているフルーツで作る手作りジャムの行先は、実はここ、ブレイクなの。陽菜ちゃんは美味しいクッキーやケーキを焼くのが上手で、私が作ったジャムを合わせてお客様に振舞っているのよ。
小さなドアベルの付いた扉を開け、中に入ると珈琲の良い香りが漂ってきた。
「いらっしゃいませ! あれ、美羽ちゃん。今日はどうしたの?」
マスターの瀬川さんが、奥のカウンターに立っていて、中に入った私たちに声をかけてくれた。白のパリっとしたポロシャツに、少しだけ口ひげを蓄えていて、黒く短い髪をいつもきれいにセットしていて、これぞ喫茶店のマスターといった、細くすらっとしたいで立ちだ。
年齢は五十歳くらい。優しそうな男性で、彼も私が小さい頃から可愛がってくれている。
何時も笑顔で愛想よくお客様を迎えてくれる、あら。陽菜ちゃんはいないわ。残念だけど、学校なんでしょうね。
ブレイク店内は今日も満席で、狭い店内がお客さんでいっぱいになっている。
ここは何時も常連さんでいっぱい。お客さんがひっきりなしにやってきて、談笑に花を咲かせる。客足が絶えない。
近所の住人は、ブレイクを憩いの場にしているからでしょうね。オレンジキッチンも、そういう地元の人に支えてもらえるような、ステキなお店になるようにしなきゃね。
「マスター。今日は折り入ってお願いがあるの」
私はマスターに事の経緯を説明し、珈琲豆を仕入れさせてもらえるように頼んだ。
マスターは早速食後に最適な、コクのあるホットコーヒー用の豆と、さっぱりとしたあとくちのアイスコーヒー用の二種類のブレンド豆を用意してくれた。
珈琲のプロが見立ててくれたのだから、この豆の味は間違いないわ。
そうだわ。コーヒーだけじゃなく、ハーブティーも出したらいいわね。マサキ施設のものならタダで幾らでも取れるし、仕入れは要らないわ。原価0円って最高! これぞパーフェクトなコストカットよ。
沢山あるから植え分けして、オレンジキッチンでも栽培したらしたらいいわね。
ハーブを取る為とはいえ、施設に出入りされて王雅に一輝君が見つかったら、ややこしい事になりそうだし。
ヤキモチ焼かれて、旦那にお仕置きされても困るし。
「コーヒーマシーンなんかはお店にあるの?」マスターが一輝君に尋ねた。
「いいえ、無いです」
「だったら、業者にレンタルすればいいよ。私がすぐ手配してあげよう。今日要るよね?」
「はい。お願いします! オープン時間の午後五時までに来ていただけると助かります」
「いいよ。他ならぬ美羽ちゃんの頼みだ。王雅君との結婚式が無事に挙げられるよう、商店街のみんなで協力しようじゃないか。陽菜を連れて、早速今日食事に行くよ。頑張って! 大勢のお客さんにも宣伝するから、オレンジキッチンのチラシがあったら持っておいで。できれば名刺の方が渡しやすいかな。チラシは店内に貼るようにするよ」
「ありがとうございます! 作って持ってきます!」
一輝君はしきりにマスターに頭を下げ、手厚く礼を言ってツケで購入した豆を持って店を出た。
後はスーパーに行って、諸々必要なものを購入した。勿論、代金はオレンジキッチンのツケで。
それより、徳用スーパー『安丸』のパートのおばさんから、スーパーのオーナーご夫婦まで、みんながもう、王雅との結婚式を賭けて私がオレンジキッチンの手伝いをすることを知っていた。
小さな商店街だから、情報が早い。
応援の意味も込めて、色々な食材を何時もより安く、見切り品はタダ同然で入手した。
通常の仕入れはもう少し高くなるとは思うけれど、それでも品質は落とさず、今までの半分以下――ううん、三分の一位の価格で仕入れる事が出来た。月末掛け払いにしてもらったから、何としても一週間でしっかり利益出さなきゃ!
商店街の仕事が終わったら、オレンジキッチンへ食事に来てくれるとみんなが約束してくれた。
チラシの貼り出しや、宣伝も一緒にすると言ってくれた。
王雅がみんなを助けてくれたから、今度は王雅と私の為に、みんなが助けてくれるのね。
商店街のみんながバックアップしてくれたら、百人力だわ!!
小さなドアベルの付いた扉を開け、中に入ると珈琲の良い香りが漂ってきた。
「いらっしゃいませ! あれ、美羽ちゃん。今日はどうしたの?」
マスターの瀬川さんが、奥のカウンターに立っていて、中に入った私たちに声をかけてくれた。白のパリっとしたポロシャツに、少しだけ口ひげを蓄えていて、黒く短い髪をいつもきれいにセットしていて、これぞ喫茶店のマスターといった、細くすらっとしたいで立ちだ。
年齢は五十歳くらい。優しそうな男性で、彼も私が小さい頃から可愛がってくれている。
何時も笑顔で愛想よくお客様を迎えてくれる、あら。陽菜ちゃんはいないわ。残念だけど、学校なんでしょうね。
ブレイク店内は今日も満席で、狭い店内がお客さんでいっぱいになっている。
ここは何時も常連さんでいっぱい。お客さんがひっきりなしにやってきて、談笑に花を咲かせる。客足が絶えない。
近所の住人は、ブレイクを憩いの場にしているからでしょうね。オレンジキッチンも、そういう地元の人に支えてもらえるような、ステキなお店になるようにしなきゃね。
「マスター。今日は折り入ってお願いがあるの」
私はマスターに事の経緯を説明し、珈琲豆を仕入れさせてもらえるように頼んだ。
マスターは早速食後に最適な、コクのあるホットコーヒー用の豆と、さっぱりとしたあとくちのアイスコーヒー用の二種類のブレンド豆を用意してくれた。
珈琲のプロが見立ててくれたのだから、この豆の味は間違いないわ。
そうだわ。コーヒーだけじゃなく、ハーブティーも出したらいいわね。マサキ施設のものならタダで幾らでも取れるし、仕入れは要らないわ。原価0円って最高! これぞパーフェクトなコストカットよ。
沢山あるから植え分けして、オレンジキッチンでも栽培したらしたらいいわね。
ハーブを取る為とはいえ、施設に出入りされて王雅に一輝君が見つかったら、ややこしい事になりそうだし。
ヤキモチ焼かれて、旦那にお仕置きされても困るし。
「コーヒーマシーンなんかはお店にあるの?」マスターが一輝君に尋ねた。
「いいえ、無いです」
「だったら、業者にレンタルすればいいよ。私がすぐ手配してあげよう。今日要るよね?」
「はい。お願いします! オープン時間の午後五時までに来ていただけると助かります」
「いいよ。他ならぬ美羽ちゃんの頼みだ。王雅君との結婚式が無事に挙げられるよう、商店街のみんなで協力しようじゃないか。陽菜を連れて、早速今日食事に行くよ。頑張って! 大勢のお客さんにも宣伝するから、オレンジキッチンのチラシがあったら持っておいで。できれば名刺の方が渡しやすいかな。チラシは店内に貼るようにするよ」
「ありがとうございます! 作って持ってきます!」
一輝君はしきりにマスターに頭を下げ、手厚く礼を言ってツケで購入した豆を持って店を出た。
後はスーパーに行って、諸々必要なものを購入した。勿論、代金はオレンジキッチンのツケで。
それより、徳用スーパー『安丸』のパートのおばさんから、スーパーのオーナーご夫婦まで、みんながもう、王雅との結婚式を賭けて私がオレンジキッチンの手伝いをすることを知っていた。
小さな商店街だから、情報が早い。
応援の意味も込めて、色々な食材を何時もより安く、見切り品はタダ同然で入手した。
通常の仕入れはもう少し高くなるとは思うけれど、それでも品質は落とさず、今までの半分以下――ううん、三分の一位の価格で仕入れる事が出来た。月末掛け払いにしてもらったから、何としても一週間でしっかり利益出さなきゃ!
商店街の仕事が終わったら、オレンジキッチンへ食事に来てくれるとみんなが約束してくれた。
チラシの貼り出しや、宣伝も一緒にすると言ってくれた。
王雅がみんなを助けてくれたから、今度は王雅と私の為に、みんなが助けてくれるのね。
商店街のみんながバックアップしてくれたら、百人力だわ!!
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