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スマイル39・王様の両親に挨拶

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「なんなの、あれっ!!」




 王雅の車に乗り込んで二人きりになった途端、王雅に文句言った。「ご両親、ちょっとおかしいわよ! 私みたいな素性不明の女と話もせずに、大事な一人息子との結婚許可する? フツーじゃないわ! 王雅は未来の櫻井グループを背負う大事な男なのよっ! どうして結婚に反対しないのかしら!?」

「何でお前が怒ってんだ。面白い女だな。自分で自分をそんな卑下すんなよ。反対されたかったのかよ?」

 王雅は嬉しそうに笑っている。
 私が憤慨しているのが、そんなに楽しいのかしら?

「そうじゃないけど・・・・大事な結婚を、王雅の勝手に好きにしろなんて・・・・私の事よく知りもしないのに、納得できないわ!」


「反対されるよりずっといーじゃねーか。俺はアイツ等にとっちゃ、こんな扱いなんだ。今に始まった事じゃねーよ。ま、結婚の事は家が絡むから流石に反対するかと思ったけど、想像以上の返しだったな。それよりさ、俺の事幸せにしてくれるっつって、アイツ等に言ってくれてマジで嬉しかった! ありがとう、美羽」


「だって、あんな風に言われて悔しかったんだもん!! 貧乏人と結婚するのよ? ご両親、ちゃんと解ってんのかしら。もう一回説明に行った方がいいんじゃない?」


 ご挨拶もなんか結局、適当感は否めなかった。もう一度出直すつもりだけれど、一体ドコへご挨拶に行けばいいのかしら。お仕事で忙しそうだから、ご自宅にはいらっしゃらないわよね。日本国内にいるうちに、何とかして捕まえないと!

ご両親の事だけど、そうだわ。真秀君がコンピューターを上手に操るって言っていたし、王雅に色々協力していたんだから、お父様やお母様の行先やスケジュールなんかをあらゆる手を使って調べて貰おうっと。
 権利書の事はチャラにするんだから、ちょっとくらい私の為に働いてもらいましょう。イヤとは言わないと思うし、むしろ好意的に協力してくれそうだわ。これで決まりね。

 私ときちんと向き合って話をしてくれるまで、何度でもご両親に会いに行くから。


「そんなのもうどーでもいーよ。アイツ等は俺よりも自分の城――仕事の方が大切なんだ。ずっとそうなんだ」

「私は違うわよ! 王雅が一番大切だからねっ!! だからご両親の言う事なんて、気にしちゃダメよ!」

 まくしたてる私を、王雅は愛おしそうな瞳を向けて見つめてくれている。
 やだ、恥ずかしいじゃない。あんまり興奮している姿、見つめないで欲しい。

「なあ、美羽」

「なによっ」

 ちょっと怒っているのを引きずっている風にして、誤魔化した。

「今すぐお前を抱きたい。スゲー、愛したい」

 彼の言葉に、目が丸くなった。


「はあっ!? アンタ、朝から一体何回するのよっ! 私、昨日まで経験ほぼゼロだって言ってるじゃない! 殺す気!?」


 本当に、本気で信じられないわ!
 王雅の身体、どうなっているの。
 こんなに何回もできちゃうものなの!?

 誰か教えて。
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