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スマイル38・王様の寵愛
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しおりを挟む王雅がその私の手を取って、涙を優しく拭って頬に口づけてくれた。「何で泣くんだよ」
「だって・・・・」
「もう泣くな。泣く事なにもねーだろが」
王雅が私を強く抱きしめくれた。
愛おしそうに私を見つめ、ゆっくりと優しく髪を撫でてくれる。
「お前が欲しい。俺だけのものになってくれるか?」
彼の真剣な瞳に、もう嘘もごまかしも通用しないと悟った。
恭ちゃんの言う通り、私の負けよ。認めるわ。
だから王雅の事を信じて、覚悟を決めるの。
与えてもらうだけじゃなくて、私も努力する。貴方に釣り合うように、貴方のご両親に認めて貰えるように、どれだけ時間がかかっても、罵られても、精一杯努力して私の想いを伝える事にする。
もう、貧乏や血筋を恥じたりしないわ。
だって私は、最高の両親が惜しみない愛を注ぎ包んで育ててくれた、『真崎美羽』なんだもの!
不安な時は、貴方に伝える。愛して欲しい時は、傍に寄り添ってもらうわ。
そして今。
心のままに、貴方が欲しい。
貴方のものになりたい。
私の全てで、絶対に、どんな時でも貴方を大切にするから。
言葉にするのは恥ずかしいけれど、それでも、伝えたい。貴方へのこの気持ちを。
「はい」
深く頷いた。「私を、貴方だけのものに・・・・してください」
「美羽――・・・・」
王雅の秀麗な顔が近づいてきた。
ドキドキして苦しいのに、期待している。
踏み荒らされた領域に、再び男を招き入れようとしているというのに。
本当は怖いけど、貴方ならいい。
心から、貴方を愛しいと思うから。
深く口づけが落とされた。繋いだ手から温もりが伝わってくる。
その夜、私は王様から寵愛を受けた。
お願い、王雅。
もう離さないで。
ずっと私だけだって、誓って。
貴方のものになった私を、
ずっとずっと
独り占めしていてね――・・・・
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