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スマイル38・王様の寵愛
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しおりを挟む「もうっ・・・・バカ、王雅のバカっ! 私をこんな気持ちにさせて・・・・もしも裏切られたりしたら・・・・私、この先、どうしたらいいのよっ」
怖くてこの先に踏み込めない。だから、うやむやにしておいて欲しかったのに。
「裏切らない。絶対、大丈夫だ。この胸を切り裂いてお前への信用が証明できるなら、俺は幾らでも、喜んで見せてやる」
「でもっ、本当に私で大丈夫なの!? 貴方には私なんかよりも、もっと素敵な女性だって、貴方に相応しい家柄の女性だって沢山いるでしょう?」
こんな貧民、王様には釣り合わないわ。素性知らずで、血筋まで誇れるものじゃないのに。
「まだそんな事言うのかよ。もう、お前にどー言ったら通用するんだ! 俺はな、自慢じゃねーけど、淋しがり屋で嫉妬深くて、それから・・・・生まれつきエラソーで性格王様だし、楽しみな事があったら全然眠れない、子供みたいな男なんだよ! こんな面倒な男、その辺の女が簡単に扱えるワケねーだろ! 子供扱うプロのお前じゃなきゃ、美羽。お前しか俺の手綱は取れねーんだ。お前だってその事、解ってんだろ! 俺を扱えるのは、自分しかないって思ってんだろ! 違うのかよっ」
確かに、そんな風に思った事もある。
でもそれは、貴方の『家』を見る前だったから。
釣り合うとはとても思っていなかったし、立派な家や財産もあるとは思っていたけど、あのお城みたいな家を見ちゃったら、お金持ち度合いが現実離れしすぎていて、怖気づいた。私にはついて行けないの。
「俺が欲しいって、言ってくれよ。俺の事、好きになってくれたんだろ? だったら俺が一生、誰よりもお前を愛してずっと傍で守ってやる。だからお前も俺の事を一生愛して、傍で守ってくれ。俺達、淋しいモン同士じゃねーか。お互いを大切に思い合える事、誰よりも理解してんだろ。俺は絶対、お前を裏切ったりしねーよ。俺だってお前に捨てられたり、裏切られたらって思ったらスゲー怖いけど、美羽は絶対そんな事しない女だって、俺だけを大切にしてくれるって、信じてるから。だから――」
私を抱きしめ、しっかりと瞳を見ながら、王雅が精一杯の気持ちを伝えてくれた。
「俺と、結婚してくれ。美羽、愛してる」
彼の言葉に、思わず息を呑んだ。
本当に、いいの? 私を、選んでくれるの?
後悔しない? 反対されない? 絶対捨てたりしない?
疑問ばかりが頭を掠めて回った。でも、このまま意地になって彼を拒んでしまって、王雅に背を向けられる方がイヤだと思った。
「――はい」
そう伝えると、頑なに守っていたものがいとも簡単に崩れ去る気がした。
怖くて、身体が震えた。掠れた声しか出なくて、ただ王雅に『はい』と返事をしただけなのに、涙が溢れた。無様な泣き顔を見られたく無くて、思わず顔を覆った。
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