232 / 287
スマイル37・王様のプロポーズ
4
しおりを挟む
「美羽ねーちゃん。あのさ、王雅の事だけど」
突然、真秀君が真剣な顔で私を見つめた。
「王雅がどうしたの?」
さっきの話を蒸し返すつもりなのかしら。
だとしたら、止めて欲しいんだけど。
「王雅のキモチ、まだ疑っているの? 王雅の美羽ねーちゃんに対するキモチは、偽物だと思ってる?」
「それ・・・・真秀君に答えなきゃいけない?」
彼の言葉を突っ撥ねようとする私を、違うよ、そうじゃない、と真秀君は窘(たしな)めた。
「あのさ。美羽ねーちゃんが花井に指一本触れられず、今日まで無事でやってこれたのは、本当にただの偶然だと思ってる? 花井がただ約束を律儀に守っただけだって、思っているなら違うよ」
「・・・・どういう意味?」
「それは、美羽ねーちゃんを守る為に、王雅が方々手を尽くしていたってコトだよ。知らなかっただろ? 誰にも言うなって、王雅は固く全員に口止めしていたからな。恭さんや、横山さん、まりなちゃんに、商店街の人たち――・・・・みんな、美羽ねーちゃんを守ってくれていたんだよ」
その言葉に、思わず息を呑んだ。
だからだったんだ。
王雅がアメリカへ出発してから、毎日まりなちゃんが朝と夕方に施設に顔を出してくれた事や、横山さんや恭ちゃんに菫ちゃんが、まるでローテーションを組んでいるかのようにしょっちゅう施設に来てくれて、子供たちと遊んでくれたりしたのね。
時々、平岡さんや町田さんに片山さん・・・・一人だったら大変だろうって、御用聞きだって、わざわざ施設に来てくれて・・・・。
それはただ私を助けてくれていたからだけじゃなくて、花井から私を守ってくれていたのね。
人目があったら、花井は手を出さない。私だって花井から逃れられるものね。
「そうだよ。王雅の計らいで、代わる代わる施設に誰かを派遣させていたんだ。出来ない時は、俺が花井の動きをチェックして見張ってた。王雅に逐一報告入れてたのも、俺だよ。横山さんや恭さんも手伝ってくれていたんだ。王雅がアメリカへ発つ前、みんなに必死に頼み込んで行ったんだ。俺もだよ。土下座されて頼まれた。ここまでして、美羽ねーちゃんを異国の地から守ってくれたのは、まぎれもなく王雅なんだ」
そうだったの。王雅、貴方が私を――・・・・ずっと守っていてくれたのね。
それを聞いただけで、嬉しくて泣きそうになった。
「王雅、何て言ってると思う? ようやく両想いになっても、美羽は俺に裏切られると思い込んでるから、全然コッチ側に踏み込んで貰えないって。ポイ捨てなんかしないのに、全然信用してくれないから参ってる、って言ってるんだ。なあ、美羽ねーちゃん。本当に王雅が、美羽ねーちゃんや施設のみんなを捨てたりすると思う?」
「・・・・私に、どうしろって言うのよ。こんな貧乏女、どう考えても御曹司のアソビじゃない」
「王雅みたいな男だったら、アソビの女くらい、お金で幾らでも買えるよ。でも、美羽ねーちゃんは違うだろ。アソビかホンキかどうかくらい、わかってやってよ」
「ホンキになられても困るわ。だったら、アソビの方がマシよ。遊んで捨てられたなら、笑い話に出来るでしょ」
「だからどうして、捨てられる事になるのさ」
真秀君もほとほと困った顔になっている。きっと王雅の話をすれば、私が彼の事をもっともっと信用するとでも思っていたんでしょう。
でもね、甘いわよ。
突然、真秀君が真剣な顔で私を見つめた。
「王雅がどうしたの?」
さっきの話を蒸し返すつもりなのかしら。
だとしたら、止めて欲しいんだけど。
「王雅のキモチ、まだ疑っているの? 王雅の美羽ねーちゃんに対するキモチは、偽物だと思ってる?」
「それ・・・・真秀君に答えなきゃいけない?」
彼の言葉を突っ撥ねようとする私を、違うよ、そうじゃない、と真秀君は窘(たしな)めた。
「あのさ。美羽ねーちゃんが花井に指一本触れられず、今日まで無事でやってこれたのは、本当にただの偶然だと思ってる? 花井がただ約束を律儀に守っただけだって、思っているなら違うよ」
「・・・・どういう意味?」
「それは、美羽ねーちゃんを守る為に、王雅が方々手を尽くしていたってコトだよ。知らなかっただろ? 誰にも言うなって、王雅は固く全員に口止めしていたからな。恭さんや、横山さん、まりなちゃんに、商店街の人たち――・・・・みんな、美羽ねーちゃんを守ってくれていたんだよ」
その言葉に、思わず息を呑んだ。
だからだったんだ。
王雅がアメリカへ出発してから、毎日まりなちゃんが朝と夕方に施設に顔を出してくれた事や、横山さんや恭ちゃんに菫ちゃんが、まるでローテーションを組んでいるかのようにしょっちゅう施設に来てくれて、子供たちと遊んでくれたりしたのね。
時々、平岡さんや町田さんに片山さん・・・・一人だったら大変だろうって、御用聞きだって、わざわざ施設に来てくれて・・・・。
それはただ私を助けてくれていたからだけじゃなくて、花井から私を守ってくれていたのね。
人目があったら、花井は手を出さない。私だって花井から逃れられるものね。
「そうだよ。王雅の計らいで、代わる代わる施設に誰かを派遣させていたんだ。出来ない時は、俺が花井の動きをチェックして見張ってた。王雅に逐一報告入れてたのも、俺だよ。横山さんや恭さんも手伝ってくれていたんだ。王雅がアメリカへ発つ前、みんなに必死に頼み込んで行ったんだ。俺もだよ。土下座されて頼まれた。ここまでして、美羽ねーちゃんを異国の地から守ってくれたのは、まぎれもなく王雅なんだ」
そうだったの。王雅、貴方が私を――・・・・ずっと守っていてくれたのね。
それを聞いただけで、嬉しくて泣きそうになった。
「王雅、何て言ってると思う? ようやく両想いになっても、美羽は俺に裏切られると思い込んでるから、全然コッチ側に踏み込んで貰えないって。ポイ捨てなんかしないのに、全然信用してくれないから参ってる、って言ってるんだ。なあ、美羽ねーちゃん。本当に王雅が、美羽ねーちゃんや施設のみんなを捨てたりすると思う?」
「・・・・私に、どうしろって言うのよ。こんな貧乏女、どう考えても御曹司のアソビじゃない」
「王雅みたいな男だったら、アソビの女くらい、お金で幾らでも買えるよ。でも、美羽ねーちゃんは違うだろ。アソビかホンキかどうかくらい、わかってやってよ」
「ホンキになられても困るわ。だったら、アソビの方がマシよ。遊んで捨てられたなら、笑い話に出来るでしょ」
「だからどうして、捨てられる事になるのさ」
真秀君もほとほと困った顔になっている。きっと王雅の話をすれば、私が彼の事をもっともっと信用するとでも思っていたんでしょう。
でもね、甘いわよ。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】王太子妃の初恋
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。
王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。
しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。
そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。
★ざまぁはありません。
全話予約投稿済。
携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。
報告ありがとうございます。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる