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スマイル35・王様のいない日々
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しおりを挟む急いで電話に出た。「はい、マサキ施設です」
『ああ、美羽ちゃん? 私だ。横山だよ』
「横山さん! どうされたんですか?」
最近、横山さんは以前の様に施設に遊びに来てくれるようになった。
王雅が取引を始めてくれてからは、手土産にって、お菓子や面白い部品を使って作った自作のオモチャなんかを持ってきてくれる。
横山さんご夫妻も、お子様に縁がなく、子供たちを我が子の様に可愛がってくれるの。
マサキ施設を何時も応援してくれていたのは、久信おとうさんや美幸おかあさんがしてくれたように、そういう背景が横山さんにもあるからかもしれない。
だから、私の事も何時も気にかけて、助けてくれたのだと思うの。娘の様に思ってくれている事、本当に感謝している。
『特に用事は無いけれど、元気かなって思ってね』
「まあ、ありがとうございます! お陰様で元気です」
『それは良かった。また面白いオモチャが出来たから、マサキ施設に持って行くよ』
「本当ですか? ありがとうございます。子供たちも喜ぶので、是非来てください」
『明日にでも行かせてもらうよ。大丈夫かな?』
明日か。確か恭ちゃんが菫さん連れて施設に来るって言ってたわね。
「横山さん。明日は恭ちゃんと奥様がいらっしゃる予定がありますけど、いいですか?」
『じゃあ、次の日にするよ。明後日、行かせてもらう。大丈夫かな?』
「ええ、大丈夫です。お待ちしています。横山さんに会えるの、楽しみにしてます」
『私も、美羽ちゃんや子供たちに会えるのを楽しみにしているよ。それじゃあ』
通話が途切れたので、受話器を元に戻した。
何だか急に慌ただしく来客が続くけど、王雅の差し金かしら。でも、まさかね。
流石に王雅でも、そこまで――特に恭ちゃんは――出来ないか。たまたま偶然にしては、出来過ぎているような・・・・?
まあいいわ。花井の事を考えなくて済むのは、正直有難い。
子供たちを寝かしつけ、私もこの日は早めに眠りに就いた。
王雅、今頃アメリカかしら。
遠く離れてしまったわね。元気かしら。
貴方に、逢いたい――
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