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スマイル33・王様が女王のキモチを聞く
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しおりを挟む「・・・・解った。待ってる。頑張って来てね」
色々考えて、それだけ伝えた。
これきりでお別れじゃなくて、良かったと思う。
でも、いい区切りになるわ。
貴方にお帰りと伝えたら、記念に抱いてもらって、さよならしよう。
これからの日々は、貴方がいない日々に慣れて、心の痛みを少しでも和らげる練習になるもの。
「本当かっ!? 絶対だぞっ! あっ、キノコとイチャイチャしたらダメだかんな!」
勢いよく言われた。
「恋人でもないのに、そんな事しないわよ」
「絶対だぞっ!! 約束っっ」
無理矢理腕を取られて、強引に指切りさせられた。
「しょうがないわね、もう」
思わず苦笑が漏れた。貴方はまだ、私の本当のキモチに気が付いていないのね。
解り易いから、上手くできているか自信が無かったけど、良かったわ。
「絶対キノコには気を付けてくれよ! お前のコト虎視眈々と狙ってんだから。俺がいなくなったら、絶対お前に近づくに決まってる。それが心配なんだっ」
「大丈夫よ。真秀君は、私なんか好きじゃないと思う」
「なんでっ!? どー考えても・・・・」
「彼は、私が好きだとは言ってくれるけど、違うわ。別に好きな女性がいると思うの。勘だけど」
「えっ!? お前じゃなくて?」
「見てれば解るわ」
だって、真秀君が好きなのは――
「この事は絶対に秘密よ。内緒にしておいてね。だから真秀君は、私に手なんか出さないわ」
真秀君は真凛ちゃんを、真凛ちゃんは真秀君を想っている。再開してから彼等と一緒に過ごした日々が、それを教えてくれた。
二人の眼差し、しぐさや会話の端から、その想いは読み取れる。
きっと今までの苦しい日々をたった二人きりで寄り添い、兄妹と解っていても恋愛感情が芽生えたのでしょう。
私も、恭ちゃんとそうだったから。解るの。
でも、彼等は兄妹だから、決して結ばれることは出来ない。だから真凛ちゃんは、わざと自分のキモチにフタをして、他人の王雅を好きになろうと努力しているのかもしれないわ。
真凛ちゃんとライバルになってしまうなんて、夢にも思わなかったけど。
「これ以上アンタに誤解されて、心配されても困るし」ぼそっと呟いた。
「あぁ? なんだって?」よく聞こえなかったみたいで、王雅に聞き返された。
「何でもなーい。あ、それより明日は、王雅のために行ってらっしゃいパーティーしてあげるわ。みんなで送り出してあげる」
「・・・・いーよ、そんなの」
「どうして? 遠い外国で一人頑張るんでしょ。美味しいご飯沢山作ってあげるから、パーティーしましょ」
「そんな事されたら、余計行きたくなくなる。お前等と、離れたくなくなっちまうだろ」
「すぐ帰って来るんでしょ? じゃ、頑張ってきなさいよ」
「そうだけど・・・・」
淋しそうに王雅が俯いた。
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