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スマイル32・王様のヒーローショー

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「ぐわあああああ――っ!! まいったぁ――っ!!」


 Xはその場に倒れこんだ。
 暗く落とされていた照明が明るくなり、動かなくなったXの傍にキュウが立った。

「今日はここまでだ。もう悪い事はしないと約束してくれ、X」

「キュウ・・・・」Xが呻いた。

「今日は、俺を呼んでくれた友達のライタ君が、四歳のお誕生日なんだ。今日の所は戦いを中断し、手を取り合って一緒に祝おう」

「えっ、俺のコト!? キュウ、俺の誕生日知ってんのっ!? ギャーッッ、どーしよーっ!!」


 ライタ君が物凄く焦っているわ。
 ふふ。良かったわね、ライタ君。王雅からのプレゼント、本当に凄いわね。


「さあ、ライタ君。ステージに上がっておいで」

「えっ、いいの!?」

「勿論だ。さあ、俺に掴まって」

 キュウがライタ君に向かって、右手を差し出してくれた。

「あ、あのっ、キューマも一緒に上がってもいい?」

「いいよ」

「あ、あのっ、サトルっちとリョウちゃんとガックンと王雅にぃも、一緒にいい? みんな、キュウが大好きなんだ!」

「何人でも」

 了承を得たライタ君は、王雅の手をぐいぐい引っ張った。「王雅にぃ、ホラ、一緒にいくぞぉ」

 嫌がらずに王雅もキューマ君を連れて、簡易ステージの上に行ってくれた。
 
「ライタ君。今日は君と、マサキ施設のみんなと友達になることが出来た。ありがとう。これからも俺の事を応援してくれるかい?」

「勿論!! 毎週応援するぞっ!」ライタ君が笑った。

「俺も友達になってー」

 キュウとXの間にライタ君が入って握手した。「コレで友達!」

「じゃあ友達になった証に、ライタ君に歌をプレゼントしよう。みんなも一緒に歌ってくれ」キュウが言った。

「ライタ君のお祝いに、ハッピーバースデー、歌っちゃうーぅ」

 Xがノリよく尻尾をフリフリした。見た目は怖い怪獣なのに、愛嬌あるわね。結構カワイイ。
 子供たちはその様子がおかしかったみたいで、最初は怖がって泣いていたのに、今では笑っている。

 きっと、いい想い出になるわね。色あせない、楽しい想い出に。
 あとで、王雅に貰ったデジカメで記念撮影させてもらおうっと。


「ハッピーバースデー トゥユー」


 キュウが先陣切って歌い出し、ライタ君の為に全員で合掌した。
 感動のヒーローショーのステージは、ハッピーバースデーの大合唱で幕を閉じた。
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