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スマイル31・王様に惚れた女
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すると突然、真凛ちゃんの甲高い声が上がった。「・・・・素敵!」
見ると手を胸の前で合わせて、大きな目を輝かせて王雅を見つめている。
「いい声してるね、王雅! それに、我が道を行くってカンジ、イイよ! 惚れたっ」
真凛ちゃんが王雅に抱きついた。
「ね、王雅。私と付き合ってよ! ミューちゃんに相手されてないんだし、フリー同士、いいでしょ? お試しで付き合ってみない?」
「はあっ!? お前、ふざけんなよっ! ワケわかんねーしっ!」
何、この展開!? 衝撃なんですケド!!
「ま、真凛ちゃん・・・・王雅は止めた方が・・・・」
思わず止めに入ってしまった。
だって、そんな。真凛ちゃんと王雅を取り合うなんて、そんなコト絶対にしたくないし、それに、王雅はただのセクハラ大王だし、止めておいた方がいいと思う。もっとイイ男なら、他にいると思うし・・・・――って、私も一応、この男に惚れてるんだった。
心の中で、王様を散々な扱いにしてしまった。
「ん? ナニ? ダメなの? ミューちゃんも王雅が好きなの?」
「エッ!? あ、あのっ、それはちがっ・・・・」
思わず否定してしまった。
肯定もできないから、訂正せずそのまま言葉尻を濁すと、王雅がとてつもなく傷ついた顔を私に向けて見せた。
か、かわいそーって、しょっ・・・・しょうがないでしょ!
みんなで寄ってたかって、王雅が可哀そうとか言って私を責めなくてもいいじゃないっ。
王雅もそんな顔しないでよ! 私が悪いみたいに言われちゃったじゃないの!
だって、こんなトコでアンタを好きでーす、なんて言えないでしょーが!
空気読みなさいよね!
・・・・って、私は今でも、王雅に気のない素振りをしている女の立ち位置だったことを思い出した。
空気読まれたら私のキモチが露呈しちゃうから、困るわね。
言ってて矛盾している事に気が付いたから、もう黙っておいた。
「じゃあ、いーじゃん。王雅のコト、狙ってもいーでしょ? ミューちゃんはお兄と結婚の約束もしてるし、余った王雅がカワイソウだから、私が引き受けるよ。これで問題ないよねっ!」
真凛ちゃんは私の目をしっかり見て、挑戦的な態度を見せた。
「俺の意思は無視かよ! 真凛、俺は美羽が好きなんだ。だから――」
「ああっ、素敵! もっと名前呼んで、王雅っ。その声、痺れちゃう!」
「聞けっ! 人のハナシ!!」
「とりあえず行こっ! 今日は私も御飯作ったのよ。王雅、いっぱい食べて!」
真凛ちゃんが強引に王雅の腕を取り、食堂へ去って行った。
もう! 一体何で、こんなコトになっちゃうのよぉ!!
見ると手を胸の前で合わせて、大きな目を輝かせて王雅を見つめている。
「いい声してるね、王雅! それに、我が道を行くってカンジ、イイよ! 惚れたっ」
真凛ちゃんが王雅に抱きついた。
「ね、王雅。私と付き合ってよ! ミューちゃんに相手されてないんだし、フリー同士、いいでしょ? お試しで付き合ってみない?」
「はあっ!? お前、ふざけんなよっ! ワケわかんねーしっ!」
何、この展開!? 衝撃なんですケド!!
「ま、真凛ちゃん・・・・王雅は止めた方が・・・・」
思わず止めに入ってしまった。
だって、そんな。真凛ちゃんと王雅を取り合うなんて、そんなコト絶対にしたくないし、それに、王雅はただのセクハラ大王だし、止めておいた方がいいと思う。もっとイイ男なら、他にいると思うし・・・・――って、私も一応、この男に惚れてるんだった。
心の中で、王様を散々な扱いにしてしまった。
「ん? ナニ? ダメなの? ミューちゃんも王雅が好きなの?」
「エッ!? あ、あのっ、それはちがっ・・・・」
思わず否定してしまった。
肯定もできないから、訂正せずそのまま言葉尻を濁すと、王雅がとてつもなく傷ついた顔を私に向けて見せた。
か、かわいそーって、しょっ・・・・しょうがないでしょ!
みんなで寄ってたかって、王雅が可哀そうとか言って私を責めなくてもいいじゃないっ。
王雅もそんな顔しないでよ! 私が悪いみたいに言われちゃったじゃないの!
だって、こんなトコでアンタを好きでーす、なんて言えないでしょーが!
空気読みなさいよね!
・・・・って、私は今でも、王雅に気のない素振りをしている女の立ち位置だったことを思い出した。
空気読まれたら私のキモチが露呈しちゃうから、困るわね。
言ってて矛盾している事に気が付いたから、もう黙っておいた。
「じゃあ、いーじゃん。王雅のコト、狙ってもいーでしょ? ミューちゃんはお兄と結婚の約束もしてるし、余った王雅がカワイソウだから、私が引き受けるよ。これで問題ないよねっ!」
真凛ちゃんは私の目をしっかり見て、挑戦的な態度を見せた。
「俺の意思は無視かよ! 真凛、俺は美羽が好きなんだ。だから――」
「ああっ、素敵! もっと名前呼んで、王雅っ。その声、痺れちゃう!」
「聞けっ! 人のハナシ!!」
「とりあえず行こっ! 今日は私も御飯作ったのよ。王雅、いっぱい食べて!」
真凛ちゃんが強引に王雅の腕を取り、食堂へ去って行った。
もう! 一体何で、こんなコトになっちゃうのよぉ!!
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