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スマイル30・王様の事情聴取

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 誰かが、王雅が鈍感だってメッセージくれていたけど、一応私のキモチは隠して振舞っているからね。
 あなたたちだってコロッケスマイルを読んでいる時、私がもう既に早い段階で王雅にキモチを傾けていたって、誰も気が付かなかったでしょ?

 え? 気付いてた? 

 何時からなの。・・・・真崎美羽、一生の不覚!!


「キノコが来る日は、俺も来る。仕事もキッチリやる。今、俺が進めているプロジェクトは、俺の人生も、櫻井グループの命運もかかってるから、手を抜いたりできねーんだ。でも、土日は施設でリフレッシュするから良いアイディアいっぱい湧いてくるし、美羽やガキ共に会えるから、この仕事頑張れるんだ。大変だなんて、思っちゃいねーよ。だからキノコが来る日、ちゃんと俺に教えてくれよ。平日は確かに毎日帰るのは無理かもしんねーけど、出来る限り帰ってきたい。お前の傍に、帰りてーんだ」

 真剣に訴えられた。

「・・・・無理、しないでね」

「解ってる」

 貴方は何時も、本気で、本物の言葉を紡ぐのね。
 だから、信じてみたくなる。その先の未来が無い事が解っていても、それでも・・・・。

 

「ちょっといいか?」

「えっ、何、王雅、急にどうしたの・・・・」


 真剣な王雅と目が合い、反らせずにいる。
 このままキスされて、流されちゃうのかしら。
 どうしよう。もしそんな事されたら、もう私は自分の力で拒むことは出来ない。

 思わず、息を呑んだ。

「すぐすむから」

 すぐ? 一体、どういう事かしら。

「えっ、すぐすむって、どういう意味? あっ、ちょっと・・・・きゃあっ!」

 逃げないように腕を押さえられ、素早く私の長い髪をかき上げられた。剥き出しになった首筋に熱い唇が押し当てられたと思ったら、王雅はそのままソコをきつく吸った。

 
「何してっ・・・・! あっ、・・・・やっ!」


 身体が強張り、突然の事で焦った。体温がみるみる上昇して、このまま奪われたいっていうキモチと、もうこの関係はこれで終わりなのかと思うと、心の準備がまだ出来ていないからもう少し先に引き伸ばしたいというキモチが、複雑に織り交ざった。

 王雅の唇から、熱が伝わってくる。


 やっぱり、拒めない。


 今、なの?


 もうこれ以上は、伸ばせないの?





 このまま、貴方に抱かれてしまうの――・・・・?





 
 
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