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スマイル30・王様の事情聴取

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 あれから結局、お遊戯というか鬼ごっこというか、よく解らない遊びを昼過ぎまでやって、昼食を摂った。

 今日はご飯を炊く用意しかしていなかったから、全員でおにぎりを作って、おにぎり交換をして食べる事にした。
 王雅は随分上手におにぎりを作れるようになった。見た目も綺麗だし、子供たちが食べられる可愛いものを沢山作ってくれた。

 おかずが何も無かったので、手っ取り早く出来るだし巻き卵を作ったら、争奪戦になったので何回も焼いたけど、焼いたその場から無くなっていく。王雅も美味いを連発していっぱい食べてくれた。


 お陰で、施設の卵がひとつ残らず無くなってしまった。後で注文しておこう。


 お片付けは王雅が率先して子供たちに声をかけてくれて、みんなが手伝ってくれたので助かった。昼寝をさせる為に遊戯室に布団を引いてみんなを寝かせて、例の如く応接室で向かい合った。
 アイスハーブティーが飲みたいとリクエストされたので、それを淹れて応接室に持って行った。

 王雅から、怒りのオーラが見える。まだ真秀君と真凛ちゃんの事、ちゃんと話せてないもんね。王雅の向かい側に座ったら、早速声を掛けられた。


「俺が聞きたい事、解るよな?」

「えーっと・・・・」


 苦笑しか出なかった。

 
「なあ、結婚の約束って何? お前、俺を待たせておきながら、別の男とも結婚の約束してたのかよ。散々焦らして弄んでおいて、今更他の男と約束があるからって、俺様のコト断るつもりじゃねーだろーな? それとも、二重婚する気かよ」

「もっ・・・・弄ぶなんて・・・・そんな・・・・それに二重婚なんて・・・・」

 どちらかと言えば、弄ばれる立ち位置は私の方だと思うんだけど。

「じゃ、俺が納得いく説明をしてくれ」


 王雅は笑顔で話しているけど、目が全く笑っていない。
 怖いわ。とにかく彼等の素性を話してしまいましょう。


「とりあえず、二人の事を話すわ」

「ああ、聞かせてくれ」

「彼等は、佐伯真秀(さえきましゅう)、佐伯真凛(さえきまりん)。私達の二つ年下の、双子の兄妹よ。私が四歳の時に、二歳だった二人がマサキ施設に来たの。というより、私のおとうさんとおかあさんが、彼等を見つけて保護したっていう方が正しいかな」

 目を閉じると、当時の想い出が蘇る。
 最初に彼等を見た時、すぐに他の子供と違うと判った。
 親に愛されない独特の雰囲気は、私はすぐに解るから。


 それは見た目、雰囲気、彼等の持つ感情――それら全て、私が実際に経験した事だから。
 私たちが買い物を終えて帰る時、再び彼等を目撃した。真凛ちゃんが、お母さんドコなの、と泣いていた。真秀君は真凛ちゃんの手をしっかり握って、涙を堪えて強く前を見つめていた。
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