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スマイル25・王様の拠り所
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しおりを挟む昨日は王雅が遅くまで施設にいてくれたおかげで、とても楽しかった。
そうそう。平岡さんに貰ったアラを炊いて夕飯に出してあげたら、王雅のヤツ、こんな美味いモン初めて食った、って大喜びしていたの。
またまたおかずは争奪戦バトルで子供たちと争っていたし。
貰ったアラは大鍋で全部炊いたんだけど、アラはそこまで食べるところが無いから、おかわりが少ないってブーブー文句言っていたわ。
王様も、意外に庶民派なのね。
秋になったらサンマを食べさせたいわ。炊きたてのあつあつご飯に、ダシの効いた味噌汁、たっぷりの大根おろしに酢橘とポン酢をかけて食べるの!
日本人で良かったーって思うご飯のひとつよね。おかわりしそうだから、余分にサンマを買う必要があるわ。
平岡商店のサンマは本当に美味しいの。丸々太って脂がのっていて、血合いの部分でも全く苦みも臭みも無いから、子供たちも喜んで全部食べるのよ。安くて美味しい、庶民の味方よね。サンマって。
それより、楽しい週末が終わって、今日からまた新しい一週間が始まる。
月曜日って、好きなのよね。特売多いから。
休み明けって、お買い得品が多く発売することが多いから、何時もチラシをチェックして買い出しに行くのよ。
でも、そんな買い出しも今週は必要ない。王雅が沢山お徳用の食材とか色々買ってくれたもの。
本当なら土曜日まで王雅は来ないでしょうけど、今日はきっと横山さんの所に行く前に、マサキ施設に寄っていくと思う。
昨日王雅からお仕事の様子を色々聞いたけれど、横山さんと契約――投資してくれるのは、王雅がこれから立ち上げる個人の会社でするらしいの。キングフェザーって名前の会社にするんだって。
カッコイイ名前じゃないって言うと、俺様が考えたんだから当たり前だろ、って不敵な王様スマイルが返ってきたのよ。
不覚にも、ドキドキさせられた。
ビジネスモードの王雅は、どういうワケか解らないけど、本当にカッコイイなって思うの。
普段がいかに子供っぽいかってコトよね。まあ、子供みたいに笑うあの顔、好きだけど。
そんな子供みたいな王雅が昨日、横山さんの所へ行く時にみんなで行ってらっしゃいってお見送りした時、本当に嬉しそうにしていたから、きっと今日も来るわ。
キングフェザー、初めての取引になるんですものね。そんな記念の日は、みんなに送り出して欲しいって思うハズよ。
貴方は淋しがり屋の王様だから、尚更ね。
朝早く来るだろうから、簡単な朝食を一緒に食べられるように、王雅の分もベーコンエッグとトーストを作っておいた。今日のトーストは、私の特製ミックスジャムで食べるの。
これ、いろんな果物の残りを混ぜてジャムにするんだけど、結構美味しいのよ。作ったら評判良くてすぐなくなるんだけど、王雅にも食べて欲しいから、いっぱい作っておいたの。
残りの果物によって味が変わるから、その季節によってのお楽しみジャムなのよね。
朝食の準備をしていると、キッチンへガッくんがやって来た。「ミュー先生、おはようございます! みんなを食堂に連れて行きました」
「あ、ガックンおはよう。朝からありがとうね」
最近はガックンやリカちゃんがしっかりしてきて、私が起こしに行かなくても、みんなを食堂に連れて来てくれるから、本当に助かるわ。
「それじゃあ朝食を運ぶから、お手伝いしてくれる?」
「はい!」
ガックンに手伝ってもらって、食堂に料理を運んだ。
食堂に行くと、みんなもう着替えて私を待ってくれていた。
おはようと朝の挨拶をして、さっそく各自で焼けたトーストと、ベーコンエッグと、ミニサラダと牛乳を持って食堂のテーブルに着いた。
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