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スマイル24・王様を翻弄する女王

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「いっただっきまーすっっ」


 大合唱のいただきますの後、子供たちがお菓子の家に突撃して行った。
 あんなに素敵なお家が、子供たちにかかると一瞬で破壊――もとい、食べ尽くされた。

 子供たちが窓枠に使われていたチョコレートを分けてくれた。ガラス部分の飴細工も食べたけど、結構おいしかった。
 結果、何も残らず。お菓子の家はあっという間に完売してしまった。

 お菓子でベタベタになってしまった手を洗い、少し遊んだ後に昼食にした。
 ご飯しか炊いていなかったので、簡単なおにぎりを作って食べることになった。
 まあ、お菓子も沢山食べたし、お昼は少なめでいいでしょう。

「おい、美羽。見てくれよ。俺様のおにぎり! 上手くなっただろ!?」

「ええ、本当。上手になったね、すごいね」

 王雅が、しっかり綺麗な丸く形の整ったおにぎりを見せてきたので、褒め湛えた。
 この王様、褒めると子供みたいに喜ぶのよね。おにぎりを作るのも、最初の頃に比べたら随分上達したわ。

「お前の為に特別に握ってやったんだ。有難く食えよ」

 王様が、得意満々でおにぎりを差し出してきた。どうしてこう上から目線なのかしら。
 まあ、悪くないけど。

 受け取って一口食べた。
 
「美味しいわ! 塩加減も丁度いいし、本当に上手になったね」

 再び褒めると、鼻が伸びて天井に付いてしまうんじゃないかというくらい、鼻高々になって喜んでいる。
 本当に面白い王様ね。

「あら、王雅。ホラ、お弁当付いているわ」

 彼の頬にご飯粒が付いていた。
 王雅が必死におにぎりを握っている最中に飛んだと思われるご飯粒を、頬から取って舐めて食べた。

「なっ・・・・!!」

 口をパクパクさせて、赤い顔をして私を睨んでいる。
 うふふ。焦ってる、焦ってる。

 きっと、鈍感女がワケわからずにこんな事しやがって、今に同意取ったら俺様のモンにしてやるからな、とか、色々考えているんでしょうね。

 誰が同意なんかするもんですか。
 同意して飽きたら捨てるクセに。

 まあ、捨てられる前にこっちから捨ててやるけどね。


 ああ、楽しい。
 王様をからかうと、本当に楽しいわ。
 

 あら? 誰? 私を悪魔とか意地悪とか呼ぶ人は。
 私はもともとこういう性格なのよ。子供たちには勿論、こんな意地悪しないわよ?
 あなたたちだって、王雅と同じく私が超鈍感女だって思っていたでしょ?
 うふふ。実は違うの。今まで誰も気が付かなかっただけよ。これからは覚えておいてね。


 おにぎりパーティーは王雅の活躍のお陰で、楽しく終わった。
 子供たちを遊戯室に布団を引いて寝かせ、応接室に二人で向かった。

「王雅、さっき撮影した写真、アルバムに貼りたいから、印刷して来てもいい? あ、応接室に他のアルバムがあるから、見ていても構わないわよ」

「ホントか? 見たい。じゃ、待ってる」

 王雅と別れて仕事部屋に向かった。
 パソコンにデジカメを繋いで、さっき撮影した一番最後の写真を開いてみた。
 そこには、満面の笑みで楽しそうにしている私達が映っていた。子供たちも、とっても楽しそうに。

 ダメね。こんなに楽しい時間を知ってしまったら、私、貴方を失った時に、強く生きていける自信がグラついちゃうわ。

 心を強く持たなきゃ。

 何時捨てられても、構わないように。
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