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スマイル23・王様お菓子の家を作る
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作りたての朝食と淹れたての珈琲をトレイに乗せ、応接室に向かった。ノックをして入ってもいいか声をかけると、了承の返事があった。中に入ると王雅はもう既に起きていて、着替えを済ませた所だった。
「朝早くから、ご苦労様。軽く作ったんだけど、食べれる?」
「ああ、貰うぜ。サンキュー」
王雅が早速応接室のソファーに座って、私から受け取ったサンドウィッチを頬張って、淹れたての珈琲を飲んでいる。
美味いな、と言いながら嬉しそうに食べているわ。良かった。喜んでもらえて。
やっぱり私、この男が好きなのね。
私が作った食事を美味しいって、食べて喜んでもらえただけで、こんなに幸せな気持ちになるんですもの。重症ね。
王雅を見つめていると、気が付いた事がある。
あらあら。口元にたまごが付いているわ。本当に子供みたいな男ね。
そんなに慌てて食べなくてもいいのに。
口元を拭ってあげようと思ったけど、普通にしたんじゃ面白く無いから、ちょっと思いついたことがあるので実践してみようと思った。
私がこんなに意識してアンタに振り回されているんだから、アンタも私をメチャクチャ意識したらいいわ。
「なんだよ」
私がじっと見つめているものだから、王雅が戸惑っている。きっとドキドキしているハズよ。
ふふ。もっと私にドキドキしなさい。
「やっぱり。ほらココ、たまご付いてる。慌てて食べなくても、待ち合わせには遅れないわ。まだ時間、早いもの。もう王雅ったら、子供みたいね」
クスッと笑って手を伸ばした。唇の端を指でなぞって、王雅の口の端に付いたたまごをすくい取った。
「勿体ないわね」
そのまま目の前で、わざと舐めて食べてやった。
王雅はその様子の私を見て、目を開いて焦っている。
そんな事して一体どういうつもりなんだ、とか、これは俺を誘っているサインなのか、とか何とか考えているんじゃないの?
ふふっ。もっと焦ればいいわ。
私がわざとこんな事をしているなんて、貴方は絶対思わないでしょうね。
だって貴方は私のコト、超鈍感女だと思っているものね。まさか私が貴方に好意を寄せいているなんて、そんな事微塵も気づいていないハズよ。
幾ら貴方の勘が良くても、それだけはバレないようにするから。
だからこれからも、そういう立ち位置で私は振舞い続けるの。
貴方が好きだなんて、絶対に悟られたりしないように上手くやるわ。
私はこれから、こういう風に王雅を時々焦らせて楽しむ事にしようと思う。
もっと私で、貴方の心がいっぱいになればいい。
他の女の事なんか考えなくてもいいくらい、私でいっぱいになってよ。
そしたら、抱かれてあげる。
我慢できなくなって手を出されたら、施設の土地だけはキッチリ頂いて、もうそれで王雅とはさよなら。
終わりにするから。
借金はチャラにしてよね。五十億円という破格の慰謝料の代わりに、文句言わずに身を引くから。捨てられても、泣いてすがったりして貴方を困らせたり、みっともない事は私の意地にかけても絶対にしないわ。
後腐れ無くていいでしょう。
この生活が何時まで続くかは、貴方次第よ、王雅――
「朝早くから、ご苦労様。軽く作ったんだけど、食べれる?」
「ああ、貰うぜ。サンキュー」
王雅が早速応接室のソファーに座って、私から受け取ったサンドウィッチを頬張って、淹れたての珈琲を飲んでいる。
美味いな、と言いながら嬉しそうに食べているわ。良かった。喜んでもらえて。
やっぱり私、この男が好きなのね。
私が作った食事を美味しいって、食べて喜んでもらえただけで、こんなに幸せな気持ちになるんですもの。重症ね。
王雅を見つめていると、気が付いた事がある。
あらあら。口元にたまごが付いているわ。本当に子供みたいな男ね。
そんなに慌てて食べなくてもいいのに。
口元を拭ってあげようと思ったけど、普通にしたんじゃ面白く無いから、ちょっと思いついたことがあるので実践してみようと思った。
私がこんなに意識してアンタに振り回されているんだから、アンタも私をメチャクチャ意識したらいいわ。
「なんだよ」
私がじっと見つめているものだから、王雅が戸惑っている。きっとドキドキしているハズよ。
ふふ。もっと私にドキドキしなさい。
「やっぱり。ほらココ、たまご付いてる。慌てて食べなくても、待ち合わせには遅れないわ。まだ時間、早いもの。もう王雅ったら、子供みたいね」
クスッと笑って手を伸ばした。唇の端を指でなぞって、王雅の口の端に付いたたまごをすくい取った。
「勿体ないわね」
そのまま目の前で、わざと舐めて食べてやった。
王雅はその様子の私を見て、目を開いて焦っている。
そんな事して一体どういうつもりなんだ、とか、これは俺を誘っているサインなのか、とか何とか考えているんじゃないの?
ふふっ。もっと焦ればいいわ。
私がわざとこんな事をしているなんて、貴方は絶対思わないでしょうね。
だって貴方は私のコト、超鈍感女だと思っているものね。まさか私が貴方に好意を寄せいているなんて、そんな事微塵も気づいていないハズよ。
幾ら貴方の勘が良くても、それだけはバレないようにするから。
だからこれからも、そういう立ち位置で私は振舞い続けるの。
貴方が好きだなんて、絶対に悟られたりしないように上手くやるわ。
私はこれから、こういう風に王雅を時々焦らせて楽しむ事にしようと思う。
もっと私で、貴方の心がいっぱいになればいい。
他の女の事なんか考えなくてもいいくらい、私でいっぱいになってよ。
そしたら、抱かれてあげる。
我慢できなくなって手を出されたら、施設の土地だけはキッチリ頂いて、もうそれで王雅とはさよなら。
終わりにするから。
借金はチャラにしてよね。五十億円という破格の慰謝料の代わりに、文句言わずに身を引くから。捨てられても、泣いてすがったりして貴方を困らせたり、みっともない事は私の意地にかけても絶対にしないわ。
後腐れ無くていいでしょう。
この生活が何時まで続くかは、貴方次第よ、王雅――
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