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スマイル19・王様ピンチに現る
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そうそう。王雅がプレゼントしてくれたプールは、ちょっと前に大雨が降ってドロドロになっちゃったから、お願いして業者の人に片づけてもらったから、もう無いの。
でも、プール設置中は近所の保育園や幼稚園だけでなく、お世話になっている近隣の施設のみんなにも使って貰えて、沢山遊ばせてもらったのよ。
本当に子供たちの楽しそうな顔を見れて、良かったわ。
またやりたいって子供たちが言っているけど、あんな大掛かりなプールは流石に作れないから、少し大きめの普通のビニールプールで今度遊ぶ事にするのよ。
えっ。王様に頼めばプール位設置してくれるだろうって?
まあ・・・・そうかも知れないけれど、あまりおんぶに抱っこもね。頼りっぱなしに慣れちゃったら、王様に捨てられた時に困るし、出来る限り誰にも頼らずやっていきたいわ。
子供たちも、望めば何でもできるっていう事に慣れられても困るしね。
それでも、今までは水道代と相談しながらじゃないとできなかったけれど、有難い事に水道代の事は気にしなくてもいいから、今年は楽しいプールがもう一回楽しめるなんて、これに関しては本当に王雅のお陰ね。
プールする時、誘ってあげようかな。
そうだ。天気予報をチェックして、今度王雅が来るときにでも一緒にプールを用意しようかと思っていると、火が付いたような泣き声が玄関の方から聞こえて来た。リョウ君の声だわ!
「うわぁあぁ――――んっ! 先生っ、せんせ・・・・ひっく、わぁ――ん!!」
「どうしたのっ!?」
切っていた野菜や包丁を放り出して、慌ててキッチンを飛び出した。
「いやぁ――っ! いやだぁあぁ――っ!! うわ――んっ!」
「やめろ――っ!! わあぁあぁあ――っ!!」
尋常じゃない泣き声が、外の方から聞こえて来た。
「リョウ君、一体どうしたの!? 誰かケガしたの!?」
「ううっ・・・・怖いおじさんが・・・・ひっく・・・・」
「怖いおじさん!? リョウ君は無事なのっ!?」
怖いおじさんってどういうコトかしら。それより、みんな大丈夫なの!?
「僕は大丈夫だけど・・・・ひっく・・・・サ、サトル・・・・くんと、あ、あの、ライちゃん、が・・・・ひっく、うわぁ――ん!!」
「サトル君とライタ君!?」
そういえばさっき三人で外で遊んでいたわね。
すぐ様子を見に行かなきゃ!!
「リョウ君、とりあえずケガは無いのね!? だったら遊戯室に行っておいて! みんなで固まって、離れないようにいて!!」
何事かと玄関の方へ近寄ろうとしている子供たちに、遊戯室に固まっている様に強く叫んで、玄関から外に飛び出した。
「ジャマじゃ、このガキ! 来いや、サトル!!」
広場の方で、サトル君の腕を引っ張ろうとしている大男が目に入った。パンチパーマに派手な花柄のピンクシャツに、白のパンツ姿。見るからにチンピラ風の男だった。背も王雅くらい高い上、かなりガタイもしっかりしている。私なんか到底勝ち目がなさそうな男だ。
そんな男が、サトル君を連れ去ろうとしているなんて――
でも、プール設置中は近所の保育園や幼稚園だけでなく、お世話になっている近隣の施設のみんなにも使って貰えて、沢山遊ばせてもらったのよ。
本当に子供たちの楽しそうな顔を見れて、良かったわ。
またやりたいって子供たちが言っているけど、あんな大掛かりなプールは流石に作れないから、少し大きめの普通のビニールプールで今度遊ぶ事にするのよ。
えっ。王様に頼めばプール位設置してくれるだろうって?
まあ・・・・そうかも知れないけれど、あまりおんぶに抱っこもね。頼りっぱなしに慣れちゃったら、王様に捨てられた時に困るし、出来る限り誰にも頼らずやっていきたいわ。
子供たちも、望めば何でもできるっていう事に慣れられても困るしね。
それでも、今までは水道代と相談しながらじゃないとできなかったけれど、有難い事に水道代の事は気にしなくてもいいから、今年は楽しいプールがもう一回楽しめるなんて、これに関しては本当に王雅のお陰ね。
プールする時、誘ってあげようかな。
そうだ。天気予報をチェックして、今度王雅が来るときにでも一緒にプールを用意しようかと思っていると、火が付いたような泣き声が玄関の方から聞こえて来た。リョウ君の声だわ!
「うわぁあぁ――――んっ! 先生っ、せんせ・・・・ひっく、わぁ――ん!!」
「どうしたのっ!?」
切っていた野菜や包丁を放り出して、慌ててキッチンを飛び出した。
「いやぁ――っ! いやだぁあぁ――っ!! うわ――んっ!」
「やめろ――っ!! わあぁあぁあ――っ!!」
尋常じゃない泣き声が、外の方から聞こえて来た。
「リョウ君、一体どうしたの!? 誰かケガしたの!?」
「ううっ・・・・怖いおじさんが・・・・ひっく・・・・」
「怖いおじさん!? リョウ君は無事なのっ!?」
怖いおじさんってどういうコトかしら。それより、みんな大丈夫なの!?
「僕は大丈夫だけど・・・・ひっく・・・・サ、サトル・・・・くんと、あ、あの、ライちゃん、が・・・・ひっく、うわぁ――ん!!」
「サトル君とライタ君!?」
そういえばさっき三人で外で遊んでいたわね。
すぐ様子を見に行かなきゃ!!
「リョウ君、とりあえずケガは無いのね!? だったら遊戯室に行っておいて! みんなで固まって、離れないようにいて!!」
何事かと玄関の方へ近寄ろうとしている子供たちに、遊戯室に固まっている様に強く叫んで、玄関から外に飛び出した。
「ジャマじゃ、このガキ! 来いや、サトル!!」
広場の方で、サトル君の腕を引っ張ろうとしている大男が目に入った。パンチパーマに派手な花柄のピンクシャツに、白のパンツ姿。見るからにチンピラ風の男だった。背も王雅くらい高い上、かなりガタイもしっかりしている。私なんか到底勝ち目がなさそうな男だ。
そんな男が、サトル君を連れ去ろうとしているなんて――
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