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スマイル17・王様の裸
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あれから片付けを終え、紙飛行機を作って飛ばす事になった。
まりなちゃんがお友達の祐樹(ゆうき)君に聞いたものを、みんなに教えてくれた。
彼女は誰にでも優しくて、誰の心でもほぐして癒してくれる。
まりなちゃんと話すと、心が温かくなるの。王雅も、そうだったのかしら。
モヤモヤを拭え切れなくて、頭を振った。
バカみたい。今はみんなと遊ぶことに集中よ!
早速まりなちゃんが持ってきてくれた折り紙を折って、飛行機を作った。
「先端を少し折るのがコツなのだー」
丁寧に折り方を教えてくれて、言われた通り少しだけ先端を折って、飛行機が水平になるようにした。ちょっと飛ばすと、驚く程向こうの方に飛んだ。
「きゃー」
「しゅー」
二歳組チームはきゃあきゃあ言いながら、飛行機を飛ばしては拾い、飛ばしては拾い、と繰り返していた。
「オラーっ!!」
掛け声を上げて、ライタ君が力いっぱい飛行機を飛ばしている。力み過ぎていて、却って飛んでいない。
「ライタ、それじゃダメなのだ。もっと優しく飛ばさないと、飛行機さん飛んでくれないのだ! あ、ココももう少し折った方がいいのだ」
ライタ君の飛行機をまりなちゃんが修正してくれた。よーし、と再び飛ばすと、すうっと空気の抵抗を受けなくなった飛行機は、かなり向こうの方まで飛んで行った。
「スッゲー!! 結構飛んだぞぉ! イエーイ!」
ジャンプしながらライタ君がはしゃいで、飛行機を取りに走って行った。
他の子も上手に飛ばしていた。王雅を見ると、上手く飛ばせていないようだ。
「王雅、ちょっと貸して。先端が曲がっているのだ」
まりなちゃんがそれに気が付いて、王雅の飛行機を修正してくれた。
その後に飛ばした飛行機は、ライタ君と同じようにかなり向こうの方まで飛んで行った。
「やったぜ! スゲー!! メチャクチャ飛ぶようになった!」
ライタ君と同じように喜んでいる。まるで子供だわ。
でも、今の貴方の笑顔、本当に輝いている。
誰にも見せたくない、王様スマイルで。
「美羽っ、ちょっと見てくれよ! ホラっ、メチャクチャ飛ぶようになったんだぜ!!」
大急ぎで私の方へやってきた王様は、得意気に飛行機をかなり向こうの方まで飛ばして、ドヤ顔を見せた。
あ、褒めろってコトかしら。
「うん、スゴイね。かなり飛ぶようになったわね」
「だろだろ!? おもしれーな、紙飛行機って! 俺初めてやったんだけどさ、スッゲー楽しい!」
褒めたら、輝く王様スマイルが返ってきた。
止めてよ。
もうこれ以上、私の心をかき乱さないで。
貴方の笑顔に、ドキドキしてしまうの。
ほら、今もドキドキしてる。
苦しくなるの。
王雅、お願い。早く夜のお相手の契約進めて、私のコトを抱いて、捨ててしまってよ。
でないと私、貴方を心から求めてしまう。
そうなる前に。
できるだけ早く。
やっぱり貴方は酷い男だったんだ、って、私に思い知らせてよ、王雅――
まりなちゃんがお友達の祐樹(ゆうき)君に聞いたものを、みんなに教えてくれた。
彼女は誰にでも優しくて、誰の心でもほぐして癒してくれる。
まりなちゃんと話すと、心が温かくなるの。王雅も、そうだったのかしら。
モヤモヤを拭え切れなくて、頭を振った。
バカみたい。今はみんなと遊ぶことに集中よ!
早速まりなちゃんが持ってきてくれた折り紙を折って、飛行機を作った。
「先端を少し折るのがコツなのだー」
丁寧に折り方を教えてくれて、言われた通り少しだけ先端を折って、飛行機が水平になるようにした。ちょっと飛ばすと、驚く程向こうの方に飛んだ。
「きゃー」
「しゅー」
二歳組チームはきゃあきゃあ言いながら、飛行機を飛ばしては拾い、飛ばしては拾い、と繰り返していた。
「オラーっ!!」
掛け声を上げて、ライタ君が力いっぱい飛行機を飛ばしている。力み過ぎていて、却って飛んでいない。
「ライタ、それじゃダメなのだ。もっと優しく飛ばさないと、飛行機さん飛んでくれないのだ! あ、ココももう少し折った方がいいのだ」
ライタ君の飛行機をまりなちゃんが修正してくれた。よーし、と再び飛ばすと、すうっと空気の抵抗を受けなくなった飛行機は、かなり向こうの方まで飛んで行った。
「スッゲー!! 結構飛んだぞぉ! イエーイ!」
ジャンプしながらライタ君がはしゃいで、飛行機を取りに走って行った。
他の子も上手に飛ばしていた。王雅を見ると、上手く飛ばせていないようだ。
「王雅、ちょっと貸して。先端が曲がっているのだ」
まりなちゃんがそれに気が付いて、王雅の飛行機を修正してくれた。
その後に飛ばした飛行機は、ライタ君と同じようにかなり向こうの方まで飛んで行った。
「やったぜ! スゲー!! メチャクチャ飛ぶようになった!」
ライタ君と同じように喜んでいる。まるで子供だわ。
でも、今の貴方の笑顔、本当に輝いている。
誰にも見せたくない、王様スマイルで。
「美羽っ、ちょっと見てくれよ! ホラっ、メチャクチャ飛ぶようになったんだぜ!!」
大急ぎで私の方へやってきた王様は、得意気に飛行機をかなり向こうの方まで飛ばして、ドヤ顔を見せた。
あ、褒めろってコトかしら。
「うん、スゴイね。かなり飛ぶようになったわね」
「だろだろ!? おもしれーな、紙飛行機って! 俺初めてやったんだけどさ、スッゲー楽しい!」
褒めたら、輝く王様スマイルが返ってきた。
止めてよ。
もうこれ以上、私の心をかき乱さないで。
貴方の笑顔に、ドキドキしてしまうの。
ほら、今もドキドキしてる。
苦しくなるの。
王雅、お願い。早く夜のお相手の契約進めて、私のコトを抱いて、捨ててしまってよ。
でないと私、貴方を心から求めてしまう。
そうなる前に。
できるだけ早く。
やっぱり貴方は酷い男だったんだ、って、私に思い知らせてよ、王雅――
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