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スマイル15・王様をお泊り保育に誘う

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「じゃあお兄さんに電話は、リョウ君にお願いするわね。お泊り保育の説明と、今週の土曜日、朝九時に施設に集合。お泊りだから、着替えなんかの荷物の準備することと、次の日の日曜日も予定空けておいてって、お兄さんに言ってくれる?」

「はーい、わかったぁー」

 リョウ君が張り切って電話口に走って行って、受話器を上げて壁を見ながら王雅の番号のボタンを押している。
 この前、王雅が困ったら俺に電話しろよ、って電話口の前の壁に、子供たちでも電話ができるように、プライベートの携帯番号を大きく紙に書いて貼ってくれたのよね。


「あ、王雅お兄さん? 僕、リョウだよ! あのねー・・・・」


 王雅が電話に出たみたいで、リョウ君は嬉しそうに話しかけている。
 ふふっ。リョウ君、かわいい。そんなに王雅に会いたかったのね。

 リョウ君が少し話したところで、突然電話が切られた。随分不十分な説明で、伝言もまだ言ってないのにもう終わりかと思っていたら、施設の電話が鳴った。あ、と思ったらリョウ君がその電話を取った。
 
「もしもし、リョウだよ。うん、お兄さんだね」

 ああ、王雅が施設の電話代がかからないように、かけ直してくれたのね。
 気が利くわね。フリーダイヤル契約もしてくれたら、もう少し電話かけられるんだけど。

 あ、違うの!
 私が用事あるんじゃないのよっ!
 そ、そう。子供たちが王雅に会いたいってウルサイから、かけなきゃいけない時もあるじゃない?
 そういう時の為よ。決して私が王雅に電話をしたいワケじゃないの。誤解しないでね。
 リョウ君も、王雅と電話できて本当に嬉しそう。

「えーっとね、何をするかは当日のお楽しみだよっ! ミュー先生からの伝言で、今週の土曜日、朝九時に施設に集合。お泊りだから、着替えなんかの荷物の準備することと、次の日の日曜日も予定空けておいてって。あ、すごく面白いから、楽しみにしててね、って。それじゃあ、待ってまーす! バイバーイ」

 ガチャン、と受話器を戻して、リョウ君が満面の笑みを浮かべて私の方に走ってきた。「お兄さん、来てくれるって!」

「そう、良かったわね。楽しみね」

 傍にいてた男の子連中は、バンザーイ、ヤッター、と大喜び。
 ふふっ。王様って子供たちからこんなに人気があったのね。知らなかった。
 多少ムチャしても、怒りもせずたっぷり遊んでくれるものね。そりゃあ、好きになるわよね。


 そっか。王雅・・・・来るんだ。
 私も子供たちと一緒で、王雅が来てくれるのが楽しみになった。



 王様に逢える――そう思うだけで、嬉しいキモチになるのは、どうしてなのかしら。
 それからあっという間にお泊り保育当日になった。
 実は、王雅だけじゃなくて、他にもゲストが増えたのよね。
 前に私がクラブの用事で施設を空けた時、留守番をお願いしたコロッケ友達の暁まりなちゃんも、子供たちが誘いたいって言うから誘ったの。それからまりなちゃんのお友達の、今井江里(いまいえり)ちゃんも来てくれる事になった。

 今井江里ちゃんは、グラビアの仕事をしている今をトキめくアイドルなの。
 人気バリバリなんだって!
 グラビアなんて、私、死んでもムリ。プロポーションに自信がある女の子って、スゴイわよね。尊敬しちゃう。


 そんな彼女がお仕事で地元のPRに貢献したお礼にって、沢山の野菜や肉をもらったんだって。食べきれないからまりなちゃんに相談したところ、それなら丁度お泊り保育でバーベキューをするから誘ってもいいか聞かれたの。勿論オーケーよ、という事になって、来てくれる事になった。
 食材がタダで確保できるなんて、最高よ。断る理由なんか、どこにもないわ。人数増えたら楽しいしね。
 お仕事の都合があるみたいだから、二人は直接現地に来てくれるみたい。


 早めに子供たちのご飯を食べさせて、食事の後片付けをして、遊戯室へ向かった。
 中に入ると、王雅の姿が目についた。既に来てくれていて、子供たちの用意をしてくれて、リュックを背負わせてくれていた。
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