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スマイル13・王様プールを作る
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プールの後は、遅めの昼食を摂った。用意しておいたきつねうどんをみんなに食べさせて、プールで冷えた身体を温めた。
その後、二人がかりで遊戯室のホールに布団を敷いて、全員を寝かせた。
いつもは大抵、一人か二人は昼寝中抜け出してくる子がいるけど、今日はめいっぱい遊んだから、誰一人起きてこなかった。よほど疲れたんでしょうね。全員ぐっすりお昼寝中よ。
私達はというと、応接室でソファーに座って向かい合っていた。
今日はアイスハーブティーを淹れてあげた。施設で育てているハーブで作ったものよ。タダで沢山獲れて、しかも美味しいの。王様も、美味しいって飲んでくれた。
「王雅、今日は本当にありがとう。用意してくれたプール、本当に施設で貰ってもいいの?」
さっき、プールはプレゼントしてくれるって言ってたけど、本当にいいのかしら。
こんなにしてもらっても、何も返せないのに。
「ああ。構わねーぜ。結構楽しかったな。またやろうぜ。暇見て来るから。ガキ共と遊ぶの楽しいし」
王雅が笑った。
そうね。貴方、本当に楽しそうに子供たちと遊んでいたものね。
その姿は、嘘じゃない。私も、とっても楽しかった。
「そっか。子供たちも本当に喜んでくれたし、楽しかったから、遠慮なく貰う事にする。水が大丈夫なら、近くの子供たちも誘って、暫く遊ぶことにするわ。色々考えてくれて、本当にありがとう!」
近所の保育園もプールが無いから、子供たちを誘ってあげたら喜ぶと思う。
お世話になっている施設や、近所の子供たちにも声掛けてみよう。
プールは伝染病が怖いから、水の検査なんかもしっかりしてくれるって言ってるし、お言葉に甘えてしまいましょう。
子供たちが喜んでくれることが、本当に嬉しいわ。
それにしてもさっきから王雅の様子が変ね。
難しい顔をして黙っちゃって、一言も喋らないの。
「何黙ってるのよ、難しい顔して」
「あ、いや、別に」
「珍しいね。王雅が無口になるなんて」
「ああ。お前に見とれてたんだ」
王様が真剣な顔で私を見つめてきた。
「・・・・またそんな冗談、もう止めてよ」
思わずため息が出た。
そんなお世辞言われても、説得力無いわ。
貴方みたいな男が、私みたいな女を好きになって見とれるなんて、どう考えてもありえないでしょ。
お世辞言うにしても、もう少しマシなお世辞言えないのかしら。
「冗談じゃねーよ!!」
キレた王雅が私の傍にやって来て、そのまま応接室のソファーに押し倒された。「何度も好きだっつってんだろ! まだわかんねーのか!」
「わかんないわよっ! どうせ、今までにないタイプだから、私が珍しくてちょっかいかけてるだけっ――」
大声で叫ぶ私の口を、王雅が自分の唇で塞いできた。
また・・・・セクハラじゃない!
でも、どういうワケか前みたいにイヤじゃなかった。
それに、私が好きだって優しいキモチが込められたキスーー
「好きだ、美羽」
甘く囁かれて、少しだけドキっとした。
「前にも言ったけど、お前が、俺様の事を好きだって言うまで、何度でもやってやる。心から俺様の事を好きだって言うまで、ずっとだ」
「言うわけないでしょっ! 同意もなくこんなことして!!」
本当に止めて欲しい。
これ以上、私の心をかき乱したりしないで。
「知るか。俺様がキスしたいのに、なんでお前の同意なんかイチイチ取らなきゃいけねーんだよ。したいからするんだよ。それに、俺が好きだって言わせるったら言わせるんだ! 美羽、好きだ好きだ好きだ!! 俺は、お前が大好きなんだよ!! お前も俺を好きになれ! わかったか、バーカ」
何それ。
キスするのに相手の同意を取ることも無く、好意の確認無く、一方的にしちゃうなんて。
流石、王様ね。
「・・・・ホントに無茶苦茶ね、アンタ」
思わず、あはは、と笑った。「王雅らしい」
本当、こんな男見た事無い。
ムチャクチャなのに、何故か憎めない。
不思議な男。
その後、二人がかりで遊戯室のホールに布団を敷いて、全員を寝かせた。
いつもは大抵、一人か二人は昼寝中抜け出してくる子がいるけど、今日はめいっぱい遊んだから、誰一人起きてこなかった。よほど疲れたんでしょうね。全員ぐっすりお昼寝中よ。
私達はというと、応接室でソファーに座って向かい合っていた。
今日はアイスハーブティーを淹れてあげた。施設で育てているハーブで作ったものよ。タダで沢山獲れて、しかも美味しいの。王様も、美味しいって飲んでくれた。
「王雅、今日は本当にありがとう。用意してくれたプール、本当に施設で貰ってもいいの?」
さっき、プールはプレゼントしてくれるって言ってたけど、本当にいいのかしら。
こんなにしてもらっても、何も返せないのに。
「ああ。構わねーぜ。結構楽しかったな。またやろうぜ。暇見て来るから。ガキ共と遊ぶの楽しいし」
王雅が笑った。
そうね。貴方、本当に楽しそうに子供たちと遊んでいたものね。
その姿は、嘘じゃない。私も、とっても楽しかった。
「そっか。子供たちも本当に喜んでくれたし、楽しかったから、遠慮なく貰う事にする。水が大丈夫なら、近くの子供たちも誘って、暫く遊ぶことにするわ。色々考えてくれて、本当にありがとう!」
近所の保育園もプールが無いから、子供たちを誘ってあげたら喜ぶと思う。
お世話になっている施設や、近所の子供たちにも声掛けてみよう。
プールは伝染病が怖いから、水の検査なんかもしっかりしてくれるって言ってるし、お言葉に甘えてしまいましょう。
子供たちが喜んでくれることが、本当に嬉しいわ。
それにしてもさっきから王雅の様子が変ね。
難しい顔をして黙っちゃって、一言も喋らないの。
「何黙ってるのよ、難しい顔して」
「あ、いや、別に」
「珍しいね。王雅が無口になるなんて」
「ああ。お前に見とれてたんだ」
王様が真剣な顔で私を見つめてきた。
「・・・・またそんな冗談、もう止めてよ」
思わずため息が出た。
そんなお世辞言われても、説得力無いわ。
貴方みたいな男が、私みたいな女を好きになって見とれるなんて、どう考えてもありえないでしょ。
お世辞言うにしても、もう少しマシなお世辞言えないのかしら。
「冗談じゃねーよ!!」
キレた王雅が私の傍にやって来て、そのまま応接室のソファーに押し倒された。「何度も好きだっつってんだろ! まだわかんねーのか!」
「わかんないわよっ! どうせ、今までにないタイプだから、私が珍しくてちょっかいかけてるだけっ――」
大声で叫ぶ私の口を、王雅が自分の唇で塞いできた。
また・・・・セクハラじゃない!
でも、どういうワケか前みたいにイヤじゃなかった。
それに、私が好きだって優しいキモチが込められたキスーー
「好きだ、美羽」
甘く囁かれて、少しだけドキっとした。
「前にも言ったけど、お前が、俺様の事を好きだって言うまで、何度でもやってやる。心から俺様の事を好きだって言うまで、ずっとだ」
「言うわけないでしょっ! 同意もなくこんなことして!!」
本当に止めて欲しい。
これ以上、私の心をかき乱したりしないで。
「知るか。俺様がキスしたいのに、なんでお前の同意なんかイチイチ取らなきゃいけねーんだよ。したいからするんだよ。それに、俺が好きだって言わせるったら言わせるんだ! 美羽、好きだ好きだ好きだ!! 俺は、お前が大好きなんだよ!! お前も俺を好きになれ! わかったか、バーカ」
何それ。
キスするのに相手の同意を取ることも無く、好意の確認無く、一方的にしちゃうなんて。
流石、王様ね。
「・・・・ホントに無茶苦茶ね、アンタ」
思わず、あはは、と笑った。「王雅らしい」
本当、こんな男見た事無い。
ムチャクチャなのに、何故か憎めない。
不思議な男。
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