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スマイル13・王様プールを作る
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しおりを挟む「こらっ、誰が撃ちやがった!?」
王雅に向かってリョウ君がアカンベーをしている。
「コイツー、赦さんぞ」
王雅がリョウ君を担ぎ上げ、中央のプールに力を加減して放り込んだ。
ザバーンと勢いよく音を立て、水の中に放り込まれたリョウ君は、すぐに顔を出して満面の笑みを浮かべている。
「ハッハッハ。俺様に勝とうなんて、百万年早い」
王雅は次から次へと彼の元へやってくる子供たち全員を相手にし、一緒になって遊んでくれた。
とっても楽しそうね。
思わず微笑みが零れた。
王雅を見つめていると、目があった。
ドキン、と再び心臓が高鳴る。
どういうコト?
私、どうなっちゃったの!?
この私が、王様ごときにドキドキさせられているの?
ありえない。
絶対、そんなことない。
認めないから。
そうだ。さっきリョウ君から水鉄砲を借りたんだった。
王様のクセにこの私をドキドキさせるなんて、それこそ百万年早いわよ!
ビシャア
ぼんやりしている王様の顔面めがけて、水鉄砲を撃った。私が放った水が、彼にクリティカルヒットした。
「あはははっ、やったあ! 当たったわ!!」
「やりやがったな!」
喜んでいると、怒った王雅に追いかけられた。
「キャー、王雅が来るー」
子供たちと一緒に逃げたけど、王雅は私ばかり追いかけて来た。
「ちょっと、なんで私ばっかり追いかけて来るのよっ」
「俺様の顔面にヒット飛ばしただろっ。お礼参りだ」
二丁水鉄砲で、背中を撃たれた。
「ヤダ、つめたーい」
もう、ちょっと水がかかったくらいで、こんなに必死になる?
本当に、負けず嫌いの子供みたいな男ね。
こんな男に不覚にもドキドキしたのは、きっと暑さのせいだわ。
暑さが見せた、幻覚に違いない。
逃げても逃げても追いかけて来る。
とうとう、コーナーの隅に追いやられた。
「ちょっと王雅、大人気なさすぎるわよっ」
「まだ勝負は終わっちゃいねーぞ」
ジリジリと詰め寄られていると、突然彼の背中に大量の水が降り注いだ。
「ミュー先生を守れ――!!」
「オーっ!!」
子供たちが守ってくれたんだわ!
「うわっ、コラ、フルボッコとか卑怯だろーが! わぷっ」
王雅が激しい水しぶきに襲われている隙に、逃げ出した。
今度は王様が追い詰められてるわ。傑作ね。
「あははは」
私も子供たちと一緒になって、王雅を撃った。
「こんのー、よくもやったな!! 絶対に赦さんぞ!」
王雅は目を閉じながら水鉄砲を撃ってきた。
とにかく何でもいいから撃ってやろうって算段ね。
キャー、と散り散りになって逃げた。
それからもお昼までめいっぱい、王様と一緒になって、彼が用意してくれたプールで楽しく遊んだ。
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