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スマイル12・王様がバースデーパーティーを企画
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しおりを挟む「何が可笑しいんだよ!」
「だってその頭・・・・ぷぷっ。そんな礼装までしてカッコつけてる割に、ホント、アンタって面白いわね!」
「今のはちょっとしたアクシデントがあったんだ」
紙ふぶき用の小さな紙を払い、紙テープを取り除いて床に捨て、再度極上の笑みを浮かべた王様が私に詰め寄った。
「俺からのプレゼントだ。受け取ってくれるな? 美羽」
ポーズを決め、花束を渡そうと王様が更に近づいて――・・・・
「ミュー先生! それよりこっち来て!! みんなでケーキ作ったんだよ!!」
サトル君が王雅を押しのけ、私の手を引っ張った。
「コラっ! まだ俺が喋ってる途中だろ!」
王雅が文句言ったけど、誰も聞いてない。
子供たちが王様と一緒に作ってくれたケーキの前に連れてこられた。
すごい。こんな立派なケーキが作れるなんて。
見た目はお世辞にもキレイとは言えないし、イビツだけど、凄く嬉しい。
みんなが一生懸命、私の為に作ってくれた事が、本当に嬉しくて心が温まった。
感激していると、食堂の電気が消され、蝋燭に火が点り、ハッピーバースデーの歌を歌ってもらった。
蝋燭を吹き消すと、拍手とおめでとうの嵐が巻き起こった。
「これ、皆で作ってくれたの?」
「そうだよっ!! 僕フルーツ洗ったんだ!」
「私はクリーム塗ったの!!」
口々にまくし立ててお喋りしてくれるみんなに、心からのお礼を伝えた。
「みんな、ありがとう。こんな素敵な誕生日プレゼント、本当に嬉しいわ!」
本当にありがとう。
最高のお誕生日だわ。
みんなが私の傍にいてくれるだけで、私は十分幸せなのに。
ありがとう、みんな。
ありがとう、王様――・・・・
暫く子供たちに囲まれて王様に近寄れなかったから、落ち着いたところで傍に行った。
王雅は隅の方でケーキを食べていたので、彼の隣に腰を下ろした。
「今日は、ありがとう。私のパーティー、王雅が企画してやってくれたんでしょ?」
「あ、うん。まあな」
「偽の施設の話し合いをさせる為に、私を追い出したりして」
「あ、うん、まあな・・・・・えっ!?」
私の言葉に、目を開いて王様が驚いた。
「ふふっ。子供の面倒見るのが初めてだろうから、王雅の事が心配で、さっさと話を切り上げて私が帰ろう、帰ろうとするもんだから、使いの人に頭下げられちゃった。それで、全部聞いたの。王雅様が必死になって施設で企画している事があるから、どうか四時になるまでは帰らないでくれ、ってね」
バラすのもどうかと思ったけど、まあ別にいいでしょ。
私だって色々振り回されたんだから。
王雅が怒った顔をしているから、水口さん達が怒られないようにちゃんとクギは刺しておくけどね。
「でも、今日の使いの人の事、怒ないでね。どうしても帰るって言う私を引き留める為に仕方なく言ってしまったんだし、それに、そんな風に私の事考えてくれて、嬉しかったから」
「あ、うん。わかった」
あら、今日はとっても素直ね。
いつもそうなら、普通の女性だったら貴方の事、好きになるんじゃない?
残念ながら、私は普通の女じゃないから好きにはならないけど。
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