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スマイル10・王様の恋病
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再び献立を考える為に机に向かったら、コンコン、とノックの音がした。「俺だ」
そりゃ、ここまで勝手に入って来るのは、王様しかいないわよね。
返事をしてもいないのに、王雅は勝手に部屋の中に入ってきた。
「よお」
「あら。また来たの」
振り向きもせずに言った。
私はアンタと違って、忙しいのよ!
「来ちゃわりーのかよ!!」
王様が突然怒り出した。冷たくあしらったのが、彼の怒りに触れたらしい。
知らないわっ。
無視していると、コホン、まあいい、と呟いて、これお前に、と何かを持ってきたようで、それを私に渡そうと近づいてきた。
「ありがとう、置いといて」
王雅の方を見向きもせずに、それだけ伝えた。
「そりゃないだろ。お前の為に選んできた花だ。見てくれよ」
「今、忙しいの」
私は節約メニューの献立を考えるのに、忙しいんだってば!
子供達も長い事放っておくわけにはいかないし、パパっと考えてまた様子見に戻らなきゃいけないんだから。
私一人しかいないから、色々大変なのよっ。
無視していると、突然後ろから抱きしめられた。
「つれないこと言うなよ、美羽」耳元で甘く囁かれた。
「アンタ、またシバかれたいの?」
勝手に胸とか触ってきたら、またビンタをお見舞いしてやるわ。
ていうかもう身体に触っているわよね!
ここでビンタしてやろうかしら。
「そんな訳ねーだろ。お前に逢いたかったんだ。なあ、キスしてもいー?」
「イ・ヤ」
「・・・・じゃ、どうしたらいいんだ? 俺、このままじゃ、夜も眠れない」
「とにかく邪魔しないで」
「ずっと何を書いてんだ? そんなに忙しいなら、俺が手伝ってやるぞ」
「家計簿の捻出が大変なの! 今月一人、新しく施設に来た子が居るし、やりくりをちゃんと考えておかなきゃいけないから、ものすごーく忙しいの! 節約メニュー(献立)も考えなきゃいけないから、邪魔しないで。私、アンタみたいにヒマじゃないから」
「・・・・俺だって忙しいんだがな、お前の為に仕方なく・・・・じゃなくて、折角時間作ってやってんだから、喜べよ。それに、金が要るんだったら、遠慮せずに相談しろよ。俺が援助してやるぞ」
「結構です」
「ボランティアだったら受け取るだろ? じゃ、俺がそのボランティアになってやる。最近善意の第三者がボランティア活動するの、流行ってるからな」
「見返りに身体よこせっていうセコイ男がくれるお金なんか、要りません」
そんなお金受け取ってしまったら、結局身体を売ることになるじゃない。
絶対にお断りよ!
王雅はショックを受けたような顔をしていたけど、まだ懲りずに話しかけて来た。「参ったな。美羽、お前俺のこと・・・・どう思ってんだよ? そんな風につれなくしないでくれよ」
「アンタの事? ・・・・別に、何とも。ていうか邪魔」
そう言うと、王雅は更にショックを受けた顔をしていた。
知-らない。
もう、さっさと帰って欲しい。
再び無視していると、王雅の方が降参したみたいで、ふっとため息を吐いた。
「解った。今日は退散しよう。また、逢いにくる。俺に逢いたくなったら、何時でもラブコールくれよ。ホラ、これ俺の名刺。ケータイ番号も載ってるから。大事に取っておいてくれ」
作業の邪魔にならないように、机の端の方に自分の名刺を置き、くるりときびすを返した。
このゴキブリ男が、この程度であっさり諦めて帰るなんて。
しかも、普段から考えられないくらい、優しい言い回し。気持ち悪いわ。
「・・・・ねえ、何のつもり?」
「何がだよ」
王雅が爽やかな笑顔を湛えて振り向いた。
何時もと全然違う。エラソーな王様の笑顔ではなかった。
こんな爽やかな笑顔、この男には似合わない。
そりゃ、ここまで勝手に入って来るのは、王様しかいないわよね。
返事をしてもいないのに、王雅は勝手に部屋の中に入ってきた。
「よお」
「あら。また来たの」
振り向きもせずに言った。
私はアンタと違って、忙しいのよ!
「来ちゃわりーのかよ!!」
王様が突然怒り出した。冷たくあしらったのが、彼の怒りに触れたらしい。
知らないわっ。
無視していると、コホン、まあいい、と呟いて、これお前に、と何かを持ってきたようで、それを私に渡そうと近づいてきた。
「ありがとう、置いといて」
王雅の方を見向きもせずに、それだけ伝えた。
「そりゃないだろ。お前の為に選んできた花だ。見てくれよ」
「今、忙しいの」
私は節約メニューの献立を考えるのに、忙しいんだってば!
子供達も長い事放っておくわけにはいかないし、パパっと考えてまた様子見に戻らなきゃいけないんだから。
私一人しかいないから、色々大変なのよっ。
無視していると、突然後ろから抱きしめられた。
「つれないこと言うなよ、美羽」耳元で甘く囁かれた。
「アンタ、またシバかれたいの?」
勝手に胸とか触ってきたら、またビンタをお見舞いしてやるわ。
ていうかもう身体に触っているわよね!
ここでビンタしてやろうかしら。
「そんな訳ねーだろ。お前に逢いたかったんだ。なあ、キスしてもいー?」
「イ・ヤ」
「・・・・じゃ、どうしたらいいんだ? 俺、このままじゃ、夜も眠れない」
「とにかく邪魔しないで」
「ずっと何を書いてんだ? そんなに忙しいなら、俺が手伝ってやるぞ」
「家計簿の捻出が大変なの! 今月一人、新しく施設に来た子が居るし、やりくりをちゃんと考えておかなきゃいけないから、ものすごーく忙しいの! 節約メニュー(献立)も考えなきゃいけないから、邪魔しないで。私、アンタみたいにヒマじゃないから」
「・・・・俺だって忙しいんだがな、お前の為に仕方なく・・・・じゃなくて、折角時間作ってやってんだから、喜べよ。それに、金が要るんだったら、遠慮せずに相談しろよ。俺が援助してやるぞ」
「結構です」
「ボランティアだったら受け取るだろ? じゃ、俺がそのボランティアになってやる。最近善意の第三者がボランティア活動するの、流行ってるからな」
「見返りに身体よこせっていうセコイ男がくれるお金なんか、要りません」
そんなお金受け取ってしまったら、結局身体を売ることになるじゃない。
絶対にお断りよ!
王雅はショックを受けたような顔をしていたけど、まだ懲りずに話しかけて来た。「参ったな。美羽、お前俺のこと・・・・どう思ってんだよ? そんな風につれなくしないでくれよ」
「アンタの事? ・・・・別に、何とも。ていうか邪魔」
そう言うと、王雅は更にショックを受けた顔をしていた。
知-らない。
もう、さっさと帰って欲しい。
再び無視していると、王雅の方が降参したみたいで、ふっとため息を吐いた。
「解った。今日は退散しよう。また、逢いにくる。俺に逢いたくなったら、何時でもラブコールくれよ。ホラ、これ俺の名刺。ケータイ番号も載ってるから。大事に取っておいてくれ」
作業の邪魔にならないように、机の端の方に自分の名刺を置き、くるりときびすを返した。
このゴキブリ男が、この程度であっさり諦めて帰るなんて。
しかも、普段から考えられないくらい、優しい言い回し。気持ち悪いわ。
「・・・・ねえ、何のつもり?」
「何がだよ」
王雅が爽やかな笑顔を湛えて振り向いた。
何時もと全然違う。エラソーな王様の笑顔ではなかった。
こんな爽やかな笑顔、この男には似合わない。
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