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スマイル6・王様との契約
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あんな男に屈することは無いわ。たとえ結婚して私の夫となったとしても、心だけはずっと私のもの。
マサキ施設さえあれば、私は大丈夫。他に何も要らない。
生半可な覚悟だから、決心が揺らいだりするのよ。
ここまで来たのよ。覚悟決めなさい。
恭ちゃんの手を放してまでも、この施設を――私の城を守るって決めたんだから。
――命、懸けるんでしょ! やり遂げるのよ、真崎美羽!!
『花井、約束が違うじゃないか! お前、この契約をした時、一度きりだとあれほど約束をしたのに! どういうつもりだ!!』
『俺だ、開けろ』
王雅の声だ。面倒な男がやって来た。
余計話がややこしくなりそうね。ただでさえ痛い頭が、余計痛くなった。
鍵がかけられていたから、応接室からガチャガチャと鍵が開錠される音がして、王雅が中に入って話に加わった。
よく聞こえなかったけど、花井と何やらゴチャゴチャ話していた。
『卑怯だぞ! 花井、僕達に約束しただろう!? 契約を交わしたあの時、僕達、いや、美羽は大きな・・・・とてつもなく大きな犠牲を払ったんだ!! 今更それを忘れて、地代の値上げなんて、契約違反だ!!』
『契約違反といわれましても、その書面がない事には・・・・ねえ』
『僕はちゃんと保管していたんだ! それなのに、契約書が別のものにすり替わっていた! お前がやったんだろう!?』
『証拠もないのに、そんな事を言われますと、名誉毀損で訴えますよ? 真崎さん』
『くっ・・・・くそおおおッ!!』
ガシャ、とテーブルを殴りつけるような音が聞こえた。きっと、恭ちゃんだ。
私の為に、怒ってくれているのね。ありがとう。
本当に、悔しいよね! まんまと花井にしてやられたんだもの。
『さあ。ご決断くださいな。地代の百万円毎月払うか、今ご提示した条件で契約更新するか、立ち退きするか』
『百万円なんてとても無理だ! 前の条件の時に提示してた五十万円なら何とかする。僕が必ず払う。だから・・・・』
『あの条件はだめ、百万円は払えない、じゃあ、立ち退きしかないですねえ』
恭ちゃんの声が聞こえなくなった。
きっと今、怒りを堪えてどうするか考えているんだろう。
私が恭ちゃんの立場だったら、花井にふざけるな、って怒鳴ってビンタしてるわ。きっと。
それで、もっと話がややこしい事になってそうな気がする。
『・・・・一日、時間をくれ』
長い間沈黙を保っていた恭ちゃんが、ようやく声を絞り出した。
『解りました。良い知らせ、お待ちしておりますよ。では王雅坊ちゃん、帰りましょうか。真崎さんからの返事は明日になるようですから』
『ああ。悪いが花井は先に行って、リムジンで待っててくれ。ちょっと、真崎さん――この人と話があるから』
王雅がそう言うと、花井は素直に応接室を後にしたようだ。
扉が開閉する音が聞こえた。
『な? 俺の言ったとおりだろ。書面契約してたって、偽造されてるのがオチだって。アイツはそーゆーヤツなんだよ』
二人きりになった途端、王雅が恭ちゃんに向かって言った。
アイツの勝ち誇ったような顔、目に浮かぶわ。
高らかに笑って、恭ちゃんをバカにしてるわ、きっと。
『なあ、それよりアイツが提示した条件って? 何て言われたんだ?』
『君には関係ない』
『随分ナメた口きくなあ。俺様に向かって。条件によっちゃあ、助けてやらなくもないけど?』
『助ける? ・・・・だったら、あの花井(オトコ)殺してくれ――』
『殺すなんて穏やかじゃねーなぁ。何言われたんだよ?』
『君には関係ないって言ってるだろ!!』
その後、ドン、という鈍い音がした。
マサキ施設さえあれば、私は大丈夫。他に何も要らない。
生半可な覚悟だから、決心が揺らいだりするのよ。
ここまで来たのよ。覚悟決めなさい。
恭ちゃんの手を放してまでも、この施設を――私の城を守るって決めたんだから。
――命、懸けるんでしょ! やり遂げるのよ、真崎美羽!!
『花井、約束が違うじゃないか! お前、この契約をした時、一度きりだとあれほど約束をしたのに! どういうつもりだ!!』
『俺だ、開けろ』
王雅の声だ。面倒な男がやって来た。
余計話がややこしくなりそうね。ただでさえ痛い頭が、余計痛くなった。
鍵がかけられていたから、応接室からガチャガチャと鍵が開錠される音がして、王雅が中に入って話に加わった。
よく聞こえなかったけど、花井と何やらゴチャゴチャ話していた。
『卑怯だぞ! 花井、僕達に約束しただろう!? 契約を交わしたあの時、僕達、いや、美羽は大きな・・・・とてつもなく大きな犠牲を払ったんだ!! 今更それを忘れて、地代の値上げなんて、契約違反だ!!』
『契約違反といわれましても、その書面がない事には・・・・ねえ』
『僕はちゃんと保管していたんだ! それなのに、契約書が別のものにすり替わっていた! お前がやったんだろう!?』
『証拠もないのに、そんな事を言われますと、名誉毀損で訴えますよ? 真崎さん』
『くっ・・・・くそおおおッ!!』
ガシャ、とテーブルを殴りつけるような音が聞こえた。きっと、恭ちゃんだ。
私の為に、怒ってくれているのね。ありがとう。
本当に、悔しいよね! まんまと花井にしてやられたんだもの。
『さあ。ご決断くださいな。地代の百万円毎月払うか、今ご提示した条件で契約更新するか、立ち退きするか』
『百万円なんてとても無理だ! 前の条件の時に提示してた五十万円なら何とかする。僕が必ず払う。だから・・・・』
『あの条件はだめ、百万円は払えない、じゃあ、立ち退きしかないですねえ』
恭ちゃんの声が聞こえなくなった。
きっと今、怒りを堪えてどうするか考えているんだろう。
私が恭ちゃんの立場だったら、花井にふざけるな、って怒鳴ってビンタしてるわ。きっと。
それで、もっと話がややこしい事になってそうな気がする。
『・・・・一日、時間をくれ』
長い間沈黙を保っていた恭ちゃんが、ようやく声を絞り出した。
『解りました。良い知らせ、お待ちしておりますよ。では王雅坊ちゃん、帰りましょうか。真崎さんからの返事は明日になるようですから』
『ああ。悪いが花井は先に行って、リムジンで待っててくれ。ちょっと、真崎さん――この人と話があるから』
王雅がそう言うと、花井は素直に応接室を後にしたようだ。
扉が開閉する音が聞こえた。
『な? 俺の言ったとおりだろ。書面契約してたって、偽造されてるのがオチだって。アイツはそーゆーヤツなんだよ』
二人きりになった途端、王雅が恭ちゃんに向かって言った。
アイツの勝ち誇ったような顔、目に浮かぶわ。
高らかに笑って、恭ちゃんをバカにしてるわ、きっと。
『なあ、それよりアイツが提示した条件って? 何て言われたんだ?』
『君には関係ない』
『随分ナメた口きくなあ。俺様に向かって。条件によっちゃあ、助けてやらなくもないけど?』
『助ける? ・・・・だったら、あの花井(オトコ)殺してくれ――』
『殺すなんて穏やかじゃねーなぁ。何言われたんだよ?』
『君には関係ないって言ってるだろ!!』
その後、ドン、という鈍い音がした。
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