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スマイル4・王様とケーキ作り

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「さっ、それを食堂に持っていって。あの子達と一緒にお手伝いお願いね」


 ホールケーキを持たせて、再びキッチンを追い出した。
 王雅がケーキを持って行ってくれたから、私は飲み物用意しよう。
 大きなトレイにジュースのペットボトルや牛乳、紅茶を乗せたものを食堂に運んだ。中に入ると、既にパーティー用の飾り付けが出来上がっていた。綺麗に仕上がっている。

「あら、凄い! もう飾りつけ終わったの? 皆で出来たの?」

 子供達に聞いてみた。

「先生違うんです。お兄さんが手伝ってくれて、しかも全部やってくれたんです!」ガックンが教えてくれた。

 この飾り付け、王雅がやってくれたんだ。
 きっと子供達に頼まれて、断らずにやってくれたんだわ。
 なんだ、優しいじゃない。

「へえ、いいトコあるんだ。王雅、有難う」

 本当に不思議な男ね。憎めないというか、何と言うか・・・・。
 エラソーなセクハラ大王なのにね。変なの。

「じゃあもう準備終わったから、外で遊んでいるリョウ君とアイリちゃんとユウ君呼んで来てくれるかな? パーティ始めるわよ!」

「はーいっっ」

 子供達の何人かが、一目散にリョウ君達を呼びに行ってくれた。
 王雅は、そんな子供達の様子を感心した様子で見つめていた。ガックンが食堂に残った子供達と、王雅と私にクラッカーを配ってくれた。

「リョウ君が帰ってきたら、お兄さんも一緒に鳴らしてね」

 ガックンが丁寧に、王雅にクラッカーを使うタイミングを教えている。
 流石ね、ガックンは。感心しちゃうわ。

 暫くすると、子供達が食堂に集結した。




「リョウ君、お誕生日おめでとう――!!」




 リョウ君が食堂へ入った瞬間、パーン、と子供達がクラッカーを鳴らしたので、私も一緒に鳴らした。

「うわぁ、スゴイ!!」

 リョウが感激して大きな瞳を更に見開いて、ウルウルしている。

「みんな・・・・どうもありがとう!! 僕、すっごく嬉しいよっ!!」

 紙テープをチリチリの髪の毛に絡ませたリョウ君が、何度も頭を下げた。ケーキの前に連れて行くと、電気のスイッチの傍にいた子が、食堂の電気を消してくれた。カーテンを予めひいてあったので、電気を消しただけで部屋が薄暗くなり、蝋燭の炎がゆらゆらと揺れている。
 

「ハーッピバースデー トゥーユー」


 誰かが、ハッピーバースデーの歌を歌いだした。
 私も一緒になって歌った。

「ハッピーバースデー ディア リョウ君―」

 ハッピバースデーの合唱が終ると、リョウ君が蝋燭の火を一気に吹き消した。
 火が消えると同時に、みんなからのお祝いの言葉がリョウ君に贈られた。

 本当だったら、ラジコンプレゼントしたかったんだけどな。
 まあでも、仕方ないか。今、超財政難だし。
 私が王雅のせいで貰いそこなった二千五百円は、その分彼がタダ働きで返してくれてるから、良しとしましょう。






 それにしても幸せな歌を歌っているハズなのに、王雅が酷く淋しそうな顔をしている事が、ちょっとだけ気になった。






 
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