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世界一の女・6

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 それより新婚旅行、ドコへ行こうかな。


 あっ、そうだ! ガキ共も全員連れて行ってやったら、メチャクチャ喜ぶんじゃねーのか!?
 よーし。二人きりも捨てがたいが、ガキ共を放っておくワケにはいかねーからな。
 うん、それがいい。そうと決まりゃ、面白い新婚ツアー考えよ―じゃねーか!


 昼間は全員で遊んで、夜は美羽と××――最高だな。
 今日早速の旅行は我慢して、後日計画建てて遂行しよう。早く実現したいな。


「それより早く施設に帰らなきゃ、恭ちゃんも来てくれてるでしょう? もうお昼もだいぶ過ぎてるわ。大丈夫かしら・・・・」

「あ、恭一郎は適当に帰っていいって言ってあるから心配ねーよ。とっくに帰ってんだろ。高田製菓も忙しくなったんだし」

「もう・・・・王雅ってば、私の知らない所で色々繋がってるんだもの。話を聞いて、驚いたわ。誰一人、私になにも教えてくれないんだもん。貴方のプロジェクトに恭ちゃんが協力していたことも、恭ちゃんの会社が大変だってことも知らなかったし」

「施設を助ける為に結婚決めたっつーのに、会社経営が傾いてるから援助がしんどい、なんてお前に言えるワケねーだろ。恭一郎のキモチ、察しろよ。それに、俺が色々繋がってるってコトは、絶対美羽に言うなって、全員に固く口止めしたからな。花井からお前を取り返す為だ。悪く思うな」


 美羽が複雑な顔を見せた。それでも、温もりを確かめるように俺の手を握ってくれた。
 
「横山さんだけじゃなくて、恭ちゃんも助けてくれていたのね。それに、真秀君や真凛ちゃんの事も、色々二人から聞いたわ。力になってくれて本当にありがとう、王雅」

「お前の大事なヤツは、俺にとっても大切だからな。ガキ共の事もそうだ。全部俺様が守ってやる。だから、お前は安心して俺の傍にいたらいいんだ。俺は絶対、お前の傍に帰って来るから」

「うん、信じてる」

「やっと俺の事信じてくれるようになったな。良かったぜ」


 繋いだ手を、しっかり握り返した。


「じゃあ、行きましょ」

「行くってドコへ? 施設に帰るんじゃねーのかよ」

「役所に決まってるでしょ。何よ、結婚はもうどうでもいいの?」

 美羽が悪戯な顔で笑っている。
 うわ、マズい。これ、美羽のペースだ。
 女王美羽になってる。昨日のブラック美羽、再来だ。

 ブラック美羽はなかなか意地悪で、何時もとは違う悪の女王の魅力があって俺は結構好きだけど、苛められるのは性に合ってないから、できれば苛められるのは遠慮したい。


 そうなんだ。お前等、聞いてくれ。昨日はマジで辛かったんだ。


 どんだけこの悪の女王に意地悪されて、寸止めされたか――


 

「行くの、行かないの、どっち?」


 昨夜の出来事を思い出して俺が黙ってしまったモンだから、女王が聞いてきた。

「あっ、行く! 行きますっ!! じゃ、役所で書類出したらその後、指輪見に行こうぜ! 美羽の一番気に入ったヤツ、お揃いで買おう! もうネックレスなんかに付けて隠したりしねーで、すぐ薬指にはめてくれよ」

「はいはい。じゃあ、選んだら王雅がはめてくれる?」

「いいぜ。幾らでもはめてやるよ」

 俺の言葉に、女王は満足そうに笑った。

「新婚旅行はさ、今すぐ行きてーんだけど、ガキ共ほったらかして行けねーだろ? だったら全員連れて行こうぜ! 今日全員で行くのは流石に無理だから、残念だけど止めとくな。俺、新婚旅行の行先は海外がいーんだけどな。でも、全員パスポート要るしな。ちょっと難しいよな。そーなりゃ日本国内しかねーか。美羽はドコがいい? ドコに行きたい?」

「どこでもいいわよ、そんなの」

「えーっ、ちょっとは真剣に考えろよ! 一生に一回しかない、大事なコトなんだぜ! 行きたいトコねーのかよっ」


 新婚旅行を『そんなの』扱いって・・・・普通、逆じゃね?
 指輪の事もそうだけど、本来なら女があれこれ考えて、男がメンドクセーから何でもいいよ、的な。

 んで、ケンカになるっつーパターン。


 ま、俺も美羽が相手じゃなかったら、メンドクセーから何でもいいって言ってたと思うけどな。
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